自分のトリセツ「コーチングが行う3つの支援について」
コーチングという仕事について
前回までの記事で、仏教の「十界論(じっかいろん)」ということについて、また、わたしたちの目指すべき在り方として、「六道(ろくどう)」ではなく「四聖(ししょう)」であるという説明をしてきたのですが、記事を書きながら、少しマニアックな内容になり過ぎたと感じていました。
今日は、まったく趣向を変え、コーチングにおいて、わたしが最も大切にしている「心のブレーキ外し」について話ができればと思います。
コーチングという言葉を耳にしたことがある方は多いと思いますが、コーチングが具体的にどういった仕事なのかを理解している人は少ないのではないでしょうか?
「コーチング」という言葉を検索してみると、次のような説明がされています。
促進的アプローチ、指導的アプローチで、クライアントの学習や成長、変化を促し、相手の潜在能力を解放させ、最大限に力を発揮させること目指す能力開発法・育成方法論、クライアントを支援するための相談(コンサルテーション)の一形態。ただし、世界的に合意された明確な定義は存在しない。
ウィキペディア参照
明確な定義自体は存在していないものの、コーチからのアプローチを通じ、クライアントの変化変容、進化成長に貢献する仕事であると言えるでしょう。
達成したいゴールはどこなのか?
クライアントを支援する手段方法は様々ですが、コーチングの現場において欠かすことの出来ない3つの支援が存在します。
1つめが、「目的地を明らかにする」こと。
コーチングの現場では、クライアントが、「どこに向かうのか?」という目的地を明らかにすることが非常に重要になります。
コーチングの父的存在のトマス・レナードは、コーチングを以下のようなものとして定義づけています。
「コーチングとは、もっとも欲しい結果(ゴール)を明確にし、自分一人では絶対に行くことができないであろう速さで、ゴールに向かうことを助けること。」
コーチングというものは、クライアントそれぞれの価値観に合わせ、そのクライアントが本当に望む、心の底から欲しい結果を明らかにすることがとても大切なスタートとなります。
自分自身の価値観とは違う、いわゆるステレオタイプのゴールを設定してしまっているため、「本当は達成したくないのに頑張ってしまっている」という人が、現代社会にはとても多くいるというのが実情です。
それらは情報化社会の弊害でもあるのですが、その辺りをセッションやワークなどで丁寧に取り扱うことで、クライアントが心から達成したいと思えるゴールを明らかにすることが、コーチングのスタートとも言えます。
あなたは今どこにいるのか?
目指すゴールを明らかにするのと同時に、やらなければならないこと、明らかにしなければならないことがあります。
それが3つの支援の2つめ、「現在地を明らかにする」になります。
カーナビに例えると非常に分かりやすいと思いますが、行きたい場所が決まっていても、自分がどこにいるかが分からなければ、目的地にたどり着くことは出来ません。
箱根に行きたいとして、東京にいるのか大阪にいるのか、はたまたオレゴンにいるのかで、適した(交通)手段も、要する時間も、かかる費用も変わってくるのが当たり前です。
これはわたしたちの人生における目標達成でも同様であって、いくら心の底から達成したいと思う目的地が明らかになったとしても、今の自分がどこにいるかが(どのような状態であるか)分からなければ、目的地への到達に多くの余計な労力がかかってしまうことになるのです。
とはいえ、旅行の例えであれば、「現在地」という言葉はとても分かりやすいとは思いますが、達成したいゴールというテーマになると、これが少し複雑になります。
コーチングの現場での「現在地」とは、クライアントが今に至るまでの全ての記憶がそれに該当します。
今の自分を作りあげているのは過去の自分ですから、それ自体は当然といえば当然なのですが、過去の記憶すべてを明らかにすることがとても難しいというのもあって、「現在地」を明らかにするというのは、それなりに根気のいる取り組みだったりもします。
ですから、コーチングの現場では、達成したいゴールにとって明らかにするべき「現在地」を特定し、そのゴール達成を阻むような、記憶や前提や信念のようなものがあれば、それらを書き換えるようなことにチャレンジしてもらいます。
「心のブロック」や「心のブレーキ」などと呼ばれるものが出てくる理由は、この「現在地」と大いに関係しており、それらを外していく支援は、コーチングの大切な役割になっています。
はじめの一歩はどうする?
「目的地」と「現在地」が明らかになると、あとは「はじめの一歩」を踏み出してもらう支援をするだけです。
人は行動することによって、必ず何かしらのフィードバックを受け取ります。
何か行動したことによって得られるフィードバックは、「現在地」によっては、薬にもなり得るし、毒にもなります。
心の底から求める、達成したいゴールに向かい、現在地を明らかにした自分から踏み出した「はじめの一歩」ですから、あらゆるフィードバックは、間違いなく目的達成の薬であるのですが、「現在地」が不安定な場合、それを受け取れなかったりする場合があったりもするのです。
そんな時はコーチとして、クライアントの「継続」に支援を集中します。
「継続は力なり」という極めてシンプルな言葉が示しているものが、人間進化にとって非常に重要なことだということを、コーチングの現場では痛感させられています。
もちろん、何を続けるかということはとても重要ですが、何かを続けることによって得られるものは、非常に大きなものがあるということは間違いないと言えるでしょう。
最後に、アメリカの名コーチである、アンソニー・ロビンズの有名な言葉で今日の記事を締めさせていただきます。
「人は1年でできる事を過大評価しすぎる。そして10年でできる事を過小評価しすぎる。」
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