50周年を職員会議で祝う
皆様、ネット・テレビ・新聞などで一度は目にしているでしょう、私が愛するTHE ALFEE はこの8月25日でデビュー50周年!!!!
8月初旬にはねぶたや竿灯祭、神田明神ではメリーアン音頭で盛り上がり、先週末は2DAYSの夏イベをKアリーナで、そして今週末は有明でプレミアムメンバーズのお誕生日会、と今年の夏はアルフィーさんとその関係者、そして私たちアル中(ファン)も大忙しでなんと幸せなことだろう。
私は残念ながら日本にはおらず遠くから静かにwお祝いしているのだが、今日は思いもかけないところで推しの50周年の話が出たことを記録に残すためにこの記事を書いている。書いている間も、ちょっと胸がいっぱいで、まさにジーーーーーーーンと響いているような感覚が残っている。
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私はアメリカのとあるど田舎の私立高校で歴史の教師をしている。
全校生徒300人に足りないほどの小さい規模の学校だが、それゆえに人間関係は密であり、それぞれが”仲良くしよう”と心掛けているような雰囲気もあり、よその学校と比べると和気藹々楽しい毎日でありがたい。
毎年夏の終わりには全教師と管理職が集まる研修期間が設けられており、生徒たちが教室に戻るまでの10日間ほど、授業の準備や個人でやっている研究の発表、知識や技術向上に向けてのワークショップや外部からのスピーカーを迎えての講義、そして親睦を深めたり新しい視点を探したりするための遠足などをして過ごす。
この期間に今年の目標を決めたり、誰とチームを組んで修学旅行に行くかを話し合い、若い先生たちは自分が所属する学部以外のメンター・指導者を見つけようと経験豊富な先生方とたくさん時間を過ごしたりする。
夏休みが短くなるので割と文句ブーブーな研修期間なのだが、始まってみると皆さん楽しんでいるのが現実だ。
1日の最後は毎日30分ほどの全体職員会議でその日を締めくくる。
その日その日で校長先生がテーマを決め、彼が思っていることを話したり、ディスカッションの場を設けたり、時には短い動画を見て笑ったりすることもある。
どんなテーマであっても、校長先生が1日の最後に私たちに伝えたいメッセージや、心に留めていて欲しいこと、教師として考えなければならないことなど、が話される。1日の最後にある会議は、業務連絡の場ではなく、純粋に”コミュニケーション”する場なのだ。
今日のテーマは”輝き”だった。
”シマ先生が大好きなアルフィーってバンド、聞いた事ありますか?”
で職員会議が始まった。
そこここからクスクスと笑いが漏れるのは、何人かの教師は私が毎日アルフィーを休み時間にかけており、朝早い誰もいない教室で好き勝手に爆音でアルフィーのメタルなどを聴いていることを知っているからだ。
美術の教師は私が3人の絵を毎日練習しているのも知っている。
秘書は私がアルフィーのツアーTシャツを着ているのを何度も見ている。
校長先生と副校長は私が昨年の春ツアーに参加出来るように学年末、3日早い夏休みを許可してくれた。
”そのアルフィーが今週末、50周年を迎えるそうです。昨日シマ先生に聞いてびっくりしました。50年、誰かと一緒に何かを続けるのはアメイジングです。”
わー、50年!?と周りから驚きの声が漏れるのを聞きながら私はすでに涙ぐんでいた。
校長先生は続ける。
”そんなに長い間アメイジングでいるのは簡単ではないでしょう。50年も続けられる’愛する何か’を見つけたアルフィーは幸せでしょうね。
生徒たちがアルフィーになったら素晴らしいと思いませんか?
何かに打ち込み、努力して、信頼する誰かと共に輝き続ける人生を送る・・・私たちは彼らが何らかの才能を開花し、共に学ぶ誰かを見つけ、パッションを持ち続け、それをたくさんの人たちに分け与える・・・そんな始まりを作る手助けができる大人です。彼らも20年30年と打ち込める何かをここで見つけられるかもしれません。あなたのおかげで見つけるかもしれません。”
みんなシーンとして聞き入っている。
”彼らは高校の時の同級生だそうです。そんな時期に大切な物を見つけることが出来、50年輝き続けることが出来ている。私も生徒たちに輝きの始まりをここで見つけてほしい、彼らが見えないかもしれない輝きを見えるようにする手助けは私たち教師の役目です。”
実は、午前中の会議は問題行動がある生徒たちについてどのようなサポートが出来るのか、携帯ばかり見ていて何にも興味のない生徒たちが増えていく中、どうやったら感受性や好奇心を養う授業が出来るのかを話し合っていた。
その中で私たちは ”あの子はどうにもならない” や ”J君は何もきちんと出来ない” と輝きとは無縁な16歳や17歳についてサジを投げる発言をしていた。
”そして私はあなたたちにも輝きを絶やさないまま教師を続けてほしい。教師になりたくて、教師が楽しくて、教えるのにやりがいを見つけて教師を続けているのでしょう? 嫌なこともあるし、疲れたり面倒だと思う日もあると思う。でもあなたが毎日ハッピーでポジティブでいることで、生徒たちも自分が輝く瞬間を見つけるチャンスがあるのです。
シマ先生を見てください。アメイジングなアルフィーを毎日聴いて、彼女もキランキランに輝いています。毎日ハッピーでニコニコじゃないですか。”
どっと笑いが起き、恥ずかしさで真っ赤になってしまったが事実である。
私はアルフィーに出戻ってから毎日ニコニコなのだ。
”何でもいいですよ、仕事以外でも仕事でも、人でも人でなくてもいいです。皆さんも共にアメイジングであり続ける何かを持ってくださいね、そしてその大切さを生徒たちに見せてやってください。まだまだロックな彼らのように、毎日ロックでいましょうね!”
これでスピーチが終わったのだと思い、パチパチと拍手が起こりかけた時に、校長先生は言った。
”アメイジングなアルフィー見ます?”
私は ヒィぃぃぃっ という声をあげた気がする。何を見せるのだろう!?
ドキドキ以上にバクバクしている私をよそに、スクリーンに映し出されたのはいつかの夏イベでたくさんのペンライトが光る会場の真ん中でアカペラで星空のディスタンスを歌っているお三方だった。
会場も、ステージも、高見沢さんの衣装もギターも、何もかもキランキランだった。
わぁっと歓声が上がった後は皆無言でスクリーンを見て曲を聴いていた。
頭を振ったり、振り返って笑顔で私を見たり、小刻みに揺れている人もいた。
”それではまた明日。我々も50年アメイジングな教育者でありましょうね、Just like the ALFEE”
曲が終わり、立ち上がり会議室を出る同僚たちは、私に握手の手を差し出し ”コングラチュレーション!おめでとう!” と声をかけて部屋を出ていく。
私はアルフィーさんの50周年にはファンであること(しかも30年ブランクのある出戻りw)以外は全く関与も貢献もしておらず、お祝いの言葉を貰うことは烏滸がましいが、誇らしい気持ちでいっぱいだった。
50年続いていることがとてつもない偉業だとはわかっていたけれど、こうやってアルフィーとは関係のない人たちにお祝いの言葉を貰うとまるで自分の手柄のように(笑)嬉しくて胸がいっぱいだ。
最後に部屋を出る時に校長先生にお礼を言った。
50年アメイジングでいることを素晴らしいと言ってくれてありがとうございます。
”今年の夏はアルフィー見に日本に帰れなくてごめんね。50周年なのにね、サマースクール担当させてごめんね。”
そう言ってえへへと笑う校長先生も割と真剣にアメイジングだよ、と感動しつつ握手をして別れた。
こうしてアルフィーの50周年が我が校の職員会議で祝われるという不思議な今日が終わり、今、私はこの記事を書きながらアルフィーを聴きつつ、半世紀に渡り輝き続けアメイジングThe ALFEEで居続けているお三方を祝福しようと、3杯目のバーボンを飲んでいる。
日曜日、25日にアルフィーはデビュー50周年を迎えます。
シマフィー
P.S. 校長先生の言葉には”ーーー”(quotation mark) がついていますがもちろん一字一句同じではないです。私が覚えている限りの要約です。あしからず。