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ゲーミングちんぽ華道部の活動記録誌を物理書籍として作ってみた、の記録


前説、あるいはゲーミングちんぽ華道部の歴史を振り返る

2022年10月23日。この日に何が起こったか覚えている方はいらっしゃいますでしょうか。
そう、Twitter(現X、以下煩瑣を避けるためTwitterと表記)で「ゲーミングちんぽ華道部」がトレンドに乗り続けるという事件が起こった日です。


初期(22年10月24日)に作成した画像。念の為にモザイク処理がされています。

当時の画像生成AIといえばNovelAIが話題に上がっていた頃で、「なんだかよく分からんけどいい感じの変な画像が出る」というぐらいの感じで認識されていたと思います。二次創作でいうとラーメンを手掴みで食べる樋口円香とか、泳げないセフィロスとか、号泣しながらピザを焼くメジロマックイーンとか。
そして、画像生成AIによる一次創作として当時バズったのが「ケーキになっちゃった泣いてる女の子」「爆乳機関車」そして「ゲーミングちんぽ華道部」です。

特にゲーミングちんぽ華道部が与えたインパクトは絶大なものでした。「床に置かれた、虹色に光り輝く巨大なちんぽを正座して見つめている和装の少女」という、どうしようもなくおかしい状況であるのに何故か品格と雅を感じる画像(※個人の感想です)に、多くの人が何らかの言及を行いました。故にバズった訳ですね。ほんとどうしようもないSNSですねTwitterは。
また、この画像の不思議な魅力に憑りつかれ、同様の要素を含んだ画像を人間の手で、あるいは画像生成AIを用いて作ろうとする人々も現れました。
ええ、かく言う私がその一人です。当時作ったゲーミングちんぽ華道部の画像はあまりにも色がビビッドで、現在からみると決して褒められたものではありませんが、当時の流行りものとして過大なRTやいいねをいただき、また何故か海外サイトに転載されたりもしました。

ゲーミングちんぽ華道部が注目を集めていたのは、Twitterに限りません。画像掲示板「ふたば☆ちゃんねる」の二次元裏mayサーバー、通称「ふたばmay」でも一日に何度もスレが立ち、多くの「としあき」が様々なゲーミングちんぽ華道部の画像を投稿する盛り上がりを見せました。ゲーミングちんぽ華道部の画像に頻出する「黒髪おかっぱの少女」に「鬼頭院先輩」という名前が付けられたのもこの頃のことです。

それから約一年の時が経ち、2023年秋。
多くの人がゲーミングちんぽ華道部を一時の流行として忘れ去る中で、倦まず弛まずゲーミングちんぽを生成し続ける者たちがおりました。
私を含む、ふたばmayを活動拠点とする人々です。

瞬間的に盛り上がった後沈静化していったスレは毎週月・水・金に建てられる定期スレとなり、時間も概ね21時~24時と固定化。
テンプレやまとめWiki、Discordサーバ(これは2023年4月中旬、ふたば☆ちゃんねるでスレ立てやレスの不具合が発生したことから避難所として設置したものですが、現在では随時作品を投稿できたりふたばスレの過去ログを保存・共有したりする場所として機能しています)なども徐々に整っていき、ある程度安定した活動が続くようになってきました。
参加者それぞれに持ちキャラも出来るようになり、スレに投稿された画像ものべ数千枚と膨大な数に上ります。
そして私は思ったのです。

「ゲーミングちんぽ華道部の活動を物理書籍として後世に残したい」と。

世の中の大抵の情報は、一過性のものとして人々に共有され、そして忘れ去られていきます。
その場合、後世の人々が当時の「共有された情報」に接することは困難です。何故ならばそれが共有されているときには誰もが知っているが故に特筆すべき情報としては記録されず、また忘れ去られた後には言及されることがなくなるからです。
例えば江戸時代の黄表紙などで、当時の人々にとっては抱腹絶倒ものの爆笑面白ギャグが載っていたとしても、それを現代の我々が読んだところで何が何だかさっぱりわからない、ということはざらにあります。これは、当時の人々がこの爆笑面白ギャグを理解していた前提となる知識を我々が共有していないからです。
現代においては多くの人が自ら情報を発信する立場となっている以上、こうした「共有知識に関する記録の欠落」は起こりにくいと考える向きもあるかもしれません。しかし、現代の情報発信の多くはTwitterを含めWebサービスに依存している面が多々あります。InfoseekやYahoo!ジオシティーズのサービス終了がどれだけ情報の欠落を我々にもたらしたかを考えてみれば、インターネット上で流行したものについて、発行年月日が明らか、かつ内容があとから改変しにくい物理書籍として残しておくことは、決して意味のないことではありません。
まあ、一番の理由は「私が作りたかったから」なのですが。

そんな訳ですみません、ここまでは前説です。
本稿の主題は「袋綴じ小説コピー本程度しか作ったことがないやつが他の人も巻き込んで生成AIを利用したフルカラーオフセット本(および中綴じコピー本)作ってみた」です。
ほぼほぼ素人が試行錯誤しながらやったことの回想ですので、同じようなことをやる人がいた場合に参考になれば幸いです。

出るイベントの決定

今回出展することにしたのは、11月25日に川崎市で開催されるAI生成オンリー「AIけっと2」です。
前回は開催自体を終わってから知ったので、参加自体が初めてという形になります。

参加者の募集

今回の本は「ゲーミングちんぽ華道部の活動記録誌」ということで、まずは参加してくれる方々を募らねばなりません。
個人の活動としてではなく、ちゃんと複数人が活動しているというのが重要だと思ったからです。
幸いなことに、Discordサーバで話を出してみたところ私以外に4人の方に参加していただけることになりまして、合計5人での合同誌ということになりました。

予算ともろもろの設定

「物理書籍化」そのものが目的なので、頒布による収益とかそういうのは最初から見込んでおりません。
参加される皆さんに金銭的な負担をおかけする訳にはいかないので印刷費用なんかは私が全部負担することにしました。
出せる予算を考えるとあんまり贅沢な本は作れないかな…むむむ、と印刷会社さんの料金表とにらめっこした結果、形式としては「A5・オンデマンドフルカラー・無線綴じ20~28ページ・50部」という形をとることとしました。
これで大体25000円くらいの計算です。
本の内容としては
・「部員(キャラクター)の画像とプロフィール、部員プロンプト」で1頁
・「その部員のゲち華部画像、画像タイトル・キャプション」で1頁、上記とあわせて見開き2頁
という形で見開きを基準に組んでいき、最後の方のページで「参加者のペンネームと一言メッセージ」といった感じで考えることにしました。
当初想定していた様式は大体こんな感じです。実際の内容も各部員の紹介は概ねこれに準じる形となりました。

見開きのイメージ画像(9/30作成、note掲載にあたり左右のページ分を結合)

掲載画像の高画質化

普段ふたばで活動しているときと物理書籍にするときとで大きく異なる条件として、画像の大きさと解像度の問題があります。
例えば私が普段の活動で貼っている画像は640×640、解像度は96dpiです。モニターで見る分にはまあいいとして、同人誌で印刷するにはどれも相当に心もとない数字です。
bingチャットにどのぐらいの数字が必要か聞いてみたところ、こんな回答が返ってきました。

一般的に、オンデマンド印刷では、画像の解像度は300~350dpiが推奨されています³⁵。dpiとは、1インチ(約2.54cm)あたりのドット(画素)の数を表す単位で、解像度が高いほど画像が鮮明になります⁵。
A5サイズのページは、縦210mm×横148mmです。これをインチに換算すると、縦8.27インチ×横5.83インチになります。したがって、A5サイズのページ全体を印刷する場合の画像のピクセル数は、縦2481~2894ピクセル×横1748~2047ピクセルになります。
ただし、ページの端から数ミリは印刷されない可能性があるので、余白を考慮して画像を作成する必要があります⁵。また、ページに2枚の正方形のイラストとタイトル、解説文を載せる場合は、それぞれの要素の大きさや配置によっても画像のピクセル数が変わってきます。
例えば、ページの上下左右に10mmずつ余白を設けるとします。すると、余白を除いた印刷可能な領域は、縦190mm×横128mm(縦7.48インチ×横5.04インチ)になります。この領域に2枚の正方形のイラストとタイトル、解説文を均等に配置するとします。すると、それぞれの要素の大きさは以下のようになります。
タイトル:縦0.75インチ×横5.04インチ
イラスト1:縦3.36インチ×横3.36インチ
解説文1:縦0.75インチ×横3.36インチ
イラスト2:縦3.36インチ×横3.36インチ
解説文2:縦0.75インチ×横3.36インチ
これらの要素のピクセル数は、以下のように計算できます。
タイトル:縦225~263ピクセル×横1512~1764ピクセル
イラスト1:縦1008~1176ピクセル×横1008~1176ピクセル
解説文1:縦225~263ピクセル×横1008~1176ピクセル
イラスト2:縦1008~1176ピクセル×横1008~1176ピクセル
解説文2:縦225~263ピクセル×横1008~1176ピクセル
このようにして、各要素のピクセル数を求めることができます。ただし、これはあくまで一例であり、実際には自分の好みや印刷所の仕様に合わせて調整する必要があります。

Bing との会話 2023/9/30

なるほど、ということは正方形だと一辺あたり1000~1200ピクセルぐらいで、解像度は300~350dpiが必要ということになります。
dpiについては生成時にはどうにもならない(と思う、よく分からない。俺たちは雰囲気で画像生成をやっている)ので、問題は画像そのもののサイズですね。素直に最初から巨大なサイズの画像を生成すると破綻した画像が出てきやすくなるというのは画像生成AIを触ってる方なら容易に想像できると思いますので、普段の感じで出してる画像(512~)をhires. fixか、あるいは一度生成した画像をアップスケーリングするというというのが現実的です。
hires. fixだと設定にもよりますがどうしてもそれをかけない元画像と微妙に内容が変わってしまうので、私自身は普段と同じで一辺640で生成したものをwaifu2x-caffeで大きくするという方法を取りました。
dpiについては各ページごとの原稿データを作成する際にそのデータの解像度を350dpiに設定したので最終的にはそれが印刷に反映されていると思いますが、一応読み込む前の各作品画像もPaintGraphic4 Proで350dpiに設定はしておきました。

めちゃ余裕を見ての〆切設定

そんなこんなをしている間に半月ほど時間が経って、10月7日に印刷を頼もうと思っている印刷会社さんのサイトを確認すると11月分のスケジュールが出ていました。納品時期は一週間刻みで、11月11日~17納品分、18日~24日納品分、25日~12月1日納品分…という感じです。
11月25日のイベントに間に合うようにすると24日までに納品されれば大丈夫ですが、念のためにその1週間前、11月17日までに納品されるスケジュールを見ることにしました。
そうすると早期割で10月25日〆切、通常で11月1日〆切。
早い方にあわせて25日入稿と考えると、実際の原稿にしていく作業日数は最低限一週間くらいは欲しい……ということで、皆さんにお願いしている同人誌用の画像〆切は10月18日ということに設定させていただきました。大体10日くらいということになります。

ページ数を見直す

この辺りで一度ページの割り付けを考えてみることにしました。
ゲーミングちんぽ華道部のDiscordサーバには「部員名簿」というチャンネルがあります。各自が持ちキャラ(部員)の名前や外見などの設定、基本プロンプトなどを共有するためのチャンネルです。
で、私含め参加者の部員キャラを数えてみるとこの時点で8名。1名につき見開き2ページなので、合わせて16ページ。
ここに表紙、裏表紙とそれぞれの裏、前書きと後書き・奥付が6ページ分入ります。
足し合わせると22ページ。オンデマンド印刷の場合ページ数は8の倍数になるので、先に想定した「20ページ~28ページ」で印刷できるのは24ページということになります。空きのページが見開き2ページ分しかありません。
参加者のコメントとか複数の部員キャラが並んだ「部活の様子」的なページとかも入れたかったので、ここでページを増やすことにしました。どうせ金額的には数千円しか変わりませんし、作るなら納得できるものを作りたかったので。
先述の通りオンデマンド印刷の場合はページ数として設定できるのが8の倍数ということで、32ページということにしました。

ページ数が決まったところで進捗管理表も作りました。

掲載画像の生成と文章記述

全体のページ数と大体の割り付けが決まったところで、必要な画像数も見えてきました。
部員キャラ一人につきポートレート2枚(背景ありのスチル絵と背景無しの全身画像各1枚)、部活動中の画像2~3枚(各キャラの見開き左側用で2枚、残りは「部活の様子」のページで扱う)といった形です。
立ち絵の背景画像除去については、生成段階でsimple background, white backgroundなどのプロンプトで背景をシンプルにしたうえで、Hugging FaceのAnime Remove Backgroundデモ、あるいはSD WebUIの拡張機能であるABG Removerを利用して削除しました。今だとWindows11標準のペイントで背景除去ができるようになったので、それでもいいかもしれませんね。

個人的に(あと多分参加された皆さん的にも)意外と負担が重かったのが各画像に添えるタイトルとかキャプションです。特に部員キャラ紹介の見開き左側に配置する画像については配置の関係上「ある程度の長さのある、それでいて長すぎない」文章を添える形になっていたので、文章の推敲に結構時間がかかりました。冊子自体の大きさがそこまででもないのでフォントを小さくしすぎる訳にもいかず、かといってあまりフォントを大きくすると今度は書ける文字数が少なくなる…という感じです。結局、一部の画像については鑑賞の邪魔にならない程度に画像の上に文章をかぶせたり、あるいは一部をトリミングしたりといった形になりました。
実際に印刷された冊子を見てみるともう少しフォントが小さくてもいいかな…? という部分もあったので、ここについては次回以降の改善ポイントです。

使用フォント

フォントといえば、注意しておきたいのが「同人誌に使うフォントの使用規約をよく見ておく」こと。
一応対価をもらって頒布するものに使うということで「商用利用」になるので、商用利用が可能なフォントを使わなければなりません。
特に今回は、各部員キャラの名前見出しについてそれぞれそのキャラにあった個別のフォントを使おうとしたのでなおさらその辺りがややこしくなってしまいました。
幸い、以前から趣味の動画編集なんかを行っていた関係でセール時にフォントのパックを買っていたりフリーフォントをいろいろ見ていたりしていたので、今回はそうした蓄積を生かすことができました。
フォントはVectorさんとかデザインポケットさんとかでわりと頻繁にセールをやっているので、そういう時に買っておくといざ使いたいとなったときに便利です。買い切りのものは安い時に買っておきましょう(ダイマ)

どうやって冊子用の原稿にするか

ここまで話をしてきませんでしたが、そもそもどのソフトを使って原稿を作成するのか、という問題もありました。
冊子を作るということですわDTPか!? と早合点してソースネクストの「パーソナル編集長」を買ってしまったりもしたのですが、文章主体ならともかく画像主体となるとどうも使い勝手がコレジャナイという感じだったのでこれを使うのは諦めました。そこそこ高かったので別のところで使えれば使いたいと思います。
実際の原稿作成に使用したのはCLIP STUDIO PAINT(クリスタ)のPRO版です。AI生成画像の加筆修正に使えるということで以前購入したはいいものの塩漬け状態になってたんですが、今回の同人誌用の原稿作成には大活躍してくれました。
何がいいかというと、
①印刷所側の説明が詳しい
ぶっちゃけこれが理由としては一番大きいです。イラストや漫画の制作ソフトとして既に多くの人が利用しているので、原稿を受け付ける側の説明が手厚いんです。キャンバス設定とか解像度とかデータの書き出しとか、大体のことは調べれば出てきます。
②素材配置の自由度が高い
イラスト制作用のソフトだけあって、素材の配置が自由自在です。基本的に文字や素材を配置するごとに新しいレイヤーが自動で増えていくので、「さっき作った新しいレイヤーに貼りつけたつもりがうっかり別レイヤーに貼りつけたぁ!」がほぼありません。
③使えるブラシとかが多い
これも大変ありがたかった。今回はフルカラー本でしたが、普通に並べるだけで背景が真っ白だとちょっと寂しく見えるんですね。クリスタの場合CLIP STUDIO ASSETSという素材配布プラットフォームがあり、無料もしくは有償によるポイント消費で素材を入手することができます。同人誌を含む商用利用もOKなのでまことにありがたい…感謝…。
という訳で、みなさんクリスタは買っておいた方がいいです(ダイマ)
今回は使いませんでしたが、無料ソフトだとFireAlpacaなんかも結構使えると思います。

原稿テンプレートの作成

先述のように、今回の同人誌では
・「部員(キャラクター)の画像とプロフィール、部員プロンプト」で1頁
・「その部員のゲち華部画像、画像タイトル・キャプション」で1頁、上記とあわせて見開き2頁
をメインとして作ることにしました。同じフォーマットで部員の各画像や文章を入れ替えていくことになるので、まずは基準となるテンプレートを作成しました。
実際にはそれぞれの部員ページで文章量(特に部員の設定やプロンプト)の差がそこそこ生じたので完全にただ流し込むだけでOK!とはならなかったわけですが、それでも最初に共通のテンプレートを作っておくことで作業はかなり楽になりました。
ちなみに、テンプレート用ファイルは完成原稿とは別に保存してあります。最初に作った完成版の組原稿の.clipファイルを開いて編集して「名前を付けて保存」でもいいのですが、うっかり上書き保存とかをしてしまうと若干面倒くさいことになるので…。

ノンブル位置

これは地味に重要な部分なので共有しておきますが、クリスタのPRO版は一枚イラストを仕上げることがメインの用途として想定されているため、冊子を作るうえで必要なノンブル(ページ数を示す番号。ページの下部中央や外側に近い角に配置することが多い)を「ノンブルとして」配置する機能がありません。そのため、普通の文字と同じようにそれぞれのページ番号を配置して、もしページの移動が生じたらそれに応じて逐一数字を変えていく必要があります。
今回はテンプレートを二種類(右ページ用と左ページ用)作って、それぞれにノンブル位置を固定で入れておくようにしました。

断ち切り余白ギリで組むのはダメ、「ノド」の余裕も必要

これも初心者あるあるじゃないかと思うんですが、物理同人誌の場合は「ノド」の余裕も見ないといけません。「ノド」というのは同人誌の背表紙側、綴じてある方のことです。ここは接着されているため、ある程度(10㎜位だそうです)は余白にしておかないといざ本にした際に開かなくて文章や絵が見えねぇ…!になることがあるということだそうなんですね。
私は最初断ち落とし(印刷の後、製本する段階で裁断するライン)しか考えていなかったのでそのラインぎりぎりにまで結構みっしりと内容を詰め込んでしまっていたのですが、〆切(といっても先述の通りある程度余裕は見ていましたが)の3日前ぐらいになってこの余裕の必要性に気付いて慌て各ページの編集をし直しました。結果として完全に絵や文章が見えない!というページはなくなったと思います(文章配置の都合上、やや読みづらい部分はあるかもしれません…)。

大体こんな感じで組みました、の図。
ノドの部分とか本当はもっと余白を取った方がいいのかもしれないけど、
まあこれで完全に読めないページは出来なかったです。

おのれ刑法175条…

原稿を作成するうえで技術的な面とは別に一番気を使ったのが、今回作成する同人誌が刑法175条、つまりわいせつ物頒布等の罪に抵触しないかどうかの問題です。
ゲーミングちんぽ華道部の画像は、ゲーミングに光り輝いているちんぽとそれを扱っている人間(これは女性に限りません。初期の頃はセフィロス先生なんかも顧問として活動していました)が主題です。もしこの主題の一つであるゲーミングちんぽをモザイクなりボカシなり黒海苔なりで消すことを要求されるとすれば、それは即ちゲーミングちんぽ華道部のゲーミングちんぽ華道部たる所以の根幹を揺るがしうる事態となります。
刑法175条で規定されているのは、「わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者」に対して刑罰を科すということです。では、「わいせつな…物」とはそもそもなんでしょうか?
1957年のいわゆるチャタレー事件において、最高裁大法廷判決は以下の「わいせつの三要素」と称されるものを示しました(厳密にいえばこれは本判決において初めて示されたものではなく、1951年の最高裁第一小法廷判決の提示した要件を踏襲したものであるようですが)。

刑法第一七五条にいわゆる「猥褻文書」とは、その内容が徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反する文書をいう。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51271 (閲覧:2023年12月23日)

うーん、よくわかんねえ!(台無し)
実際の運用上どうなっているかを考えてみますと、例えばコミケ公式サイトでは「性器の露骨な描写」および「結合部分の具体的描写」を「ワイセツ」であると見なし、そうした描写のあるものを「ワイセツ図画」として持ち込みや頒布を禁止しています。修正の目安は「『商業誌』レベルのもの」とされていますが、他方で「動物、器具といったもの、性器がデフォルメされているもの、イメージ表現、ギャグタッチによるものは問題ないと思われる」ともしています。
(https://www.comiket.co.jp/info-c/LawsAndRegulations.html、2023年12月23日閲覧)

ゲーミングちんぽ華道の場合、ゲーミングちんぽは概ね明らかに人体には接続していませんし、そもそも本物のちんぽはゲーミングには発光しません。なのでディルド等の器具と同等の扱いでよいと思ったのですが、一応理論武装のために最近出た成人向けマンガ雑誌の描写を調べてみました。
結果としては、そもそも雑誌掲載の漫画でディルド等の器具を使っている作品自体がだいぶ少なかったのですが、例がないわけではありませんでした。

・桃吹リオ「淫母ペットの飼い方」(『COMIC阿呍』ヒット出版社、2023年8月号)
バイブ(ディルド)に明示的なモザイク等は入っていない。文字やコマがかぶってたりするのでそれでOKになってる可能性もありますが、性器描写が白抜きなのに比べると相当程度緩い規制といえると思います。
・おおおおありくい「浪漫研究部の非日常」(『COMIC快楽天』ワニマガジン社、2023年11月号)
バイブ類がモザイクなしで掲載されているが、元々描かれているバイブ類自体が男性器をそこまで模していないようにも見える。
・南北「スキャンダラス・ベイビー」(『COMIC快楽天』ワニマガジン社、2023年11月号)
 ディルドも白抜きになっている。

うーん、よくわかんねえ!(二度目)
手元の商業単行本やコミケ等で頒布された成人向け同人誌の内容を確認した結果、総じてこうした「単品作品」よりも雑誌掲載作品の方が修正が厳しいという状況はあるようです。まあバイブは修正不要であるということと、あとはまあフルカラーなので明らかに人体とは異なる発光をしているということで言い訳は出来るでしょう! ということで、特に修正はなしで入稿することにしました。

そして出来上がったのがこちらになります。

出来上がり。ありがとうねこのしっぽ。

無事に印刷完了! 勝ったなガハハ!
という訳で無事に印刷と頒布までこぎつけることが出来ました。
当初に設定した〆切から少しずれこんで30日に入稿しましたが、そもそもがやたらめったらに早い〆切を設定していたのでイベント5日前までの納品でも早割〆切(11月2日)まで余裕を持っての入稿という形になりました。ふふふ。
余力があったのでついでにポストカードまで作ってしまいました(予算もその分上乗せですが)。

入稿してからしばらくは「お前…お前これは…」みたいな電話がかかってくる可能性に震えてましたが、なんとか無事に物理書籍にすることができてよかったです。
今回の作業で色々と学べた所も多かったので、次回以降はよりスムーズに原稿の作成~入稿までできればいいな、と考えております。

え? もちろんゲーミングちんぽ華道部本ですがなにか。

おまけ:国立国会図書館に納本してみましたの巻

物理書籍として形になったら、次にやるべきはなんでしょうか。
そう、国立国会図書館(NDL)への納本ですね。
これはなにも私が勝手に言っていることではなく、ちゃんと法律上に定められていることです。

昭和二十三年法律第五号
国立国会図書館法
第二十四条 国の諸機関により又は国の諸機関のため、次の各号のいずれかに該当する出版物(機密扱いのもの及び書式、ひな形その他簡易なものを除く。以下同じ。)が発行されたときは、当該機関は、公用又は外国政府出版物との交換その他の国際的交換の用に供するために、館長の定めるところにより、三十部以下の部数を直ちに国立国会図書館に納入しなければならない。
一 図書
二 小冊子
三 逐次刊行物
(略)
第二十五条 前二条に規定する者以外の者は、第二十四条第一項に規定する出版物を発行したときは、前二条の規定に該当する場合を除いて、文化財の蓄積及びその利用に資するため、発行の日から三十日以内に、最良版の完全なもの一部を国立国会図書館に納入しなければならない。但し、発行者がその出版物を国立国会図書館に寄贈若しくは遺贈したとき、又は館長が特別の事由があると認めたときは、この限りでない。
(略)

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC1000000005_20231129_505AC0000000079
(閲覧:2023年12月23日)

という訳で、図書ないし小冊子にあたる出版物を発行した善良な日本国民たる私としては当然にその出版物を納入しなければならない訳なんですね。いやあ法律上に定められた義務ですからねぇ! しょうがないですよねぇ!

という訳で、行ってきましたNDL。

みんな大好きNDL。

納本の場合は通常利用する側の入り口じゃなくて、西の通用口の方から入るんですね。
受付?守衛さん?に納本ですとお伝えして、入館者バッジをつけて中へ。
納本受付で本をお渡しし、書名とか冊数とかを書類に記入します。
で、書類に受理の印を押捺してもらって受領書を貰って退出。10分くらいですかね、かなり手続きはスムーズでした。

受領書。ちなみにもう一冊『ゲーミングちんぽ華道の歴史とその流派 増補改訂版』という同人誌も収めたので冊数は2冊となっています。

担当者の方に「どのくらいでデータベースに登録されるんですか?」とお尋ねしたところ、だいたい1ヶ月から1ヶ月半くらいで行われるとのことでした。
で、現在。

無事に登録されました。

ばっちり! NDLオンライン検索で検索結果に表示されております!
生成AIで広まったミームが書籍になってこういう風に国の機関に登録されるというのは、多分歴史に残していい出来事ではないでしょうか。国の恥だよ

ちなみにこうして誰でも閲覧や遠隔複写ができるようになったゲーミングちんぽ華道部の同人誌ではありますが、まだまだ在庫は残っております。第二号以降も継続して出したいと思っていますし、とりあえずは来年の夏コミにサークル申し込みはしようかなあと考え中。
ゲーミングちんぽ華道部はこれからも活動を続けていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!

ちなみに本稿にはここまでで22回「ゲーミングちんぽ華道部」という言葉が登場しました。
ちんぽちんぽ。

※アドヴェントカレンダーの方に「ゲち華部怪文書同人誌を作るためにGPT-4やDALL-E3と格闘した話の予定です」と書きましたが、ここまでで既に1万字を越えてしまっているのでその辺の話はあとで追記するか、もしくは別記事で書こうと思います。すみません。


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