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第六章 恩返しはどこへ行く?_003

03.ニッチを社会実験する

いくつかの児童養護施設を訪問したおり、貧困による口腔崩壊が生じている子どもを紹介されることがありました。

口腔崩壊とは?

多数の虫歯が生じることによって、噛むことのできなくなる症状です。
親が歯科治療を受けさせないと言う
虐待から生じているとの報告があります
*1

この現象を放置すると、
必然的に子どもは食べることができなくなります。

このことによって子どもの成長発育は大きく影響を受けるばかりか、
その延長線の先に、学習障害(脳障害)を引き起こすと言われています。

また、これらの施設から訪れる子どもたちに共通する特徴の一つとして、
一般家庭から通院する子どもに比べ、
少なからず低身長低体重であることがあげられます。

しかもプライス博士の指摘にもあるように、上あごが狭く小さく、
不正咬合(歯並びや噛み合わせが悪い)の温床の場となっています。
貧困の中から生まれてきた特徴が垣間見えます

このことを学校歯科検診や隣接する歯科医院から指摘されたとしても、
歯科矯正の治療費は措置(税金)から工面されません。
これらの限られた子どもたちに対し、虫歯治療と同様に措置費用によって、歯科矯正治療を受けられたら良いなと希望をしています

なぜなら、これらの子どもたちをこのまま放置してしまえば、
大人となったあかつきには、
必ずや不健康問題を拡大させるきっかけにつながるからです。

大人になって対症療法を繰り返すよりも、
子ども時代に限りなくさまざまな問題を解決させてしまう方が、
社会的経済的効果は高いと(ボランティア活動を通じて)
社会実験を行っている気がしてなりません。

*1 口から見える貧困 兵庫県保健医協会編著 クリエイツかるがも

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