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第六章 恩返しはどこへ行く?_0013

013.自分の命は自分で守る


私は歯科医として、密かに
口からは死なせない」というスローガンを心に秘めて、
目の前の患者に接しています。

このため不健康問題を解決させて
健康を取り戻すという医療行為のみならず、
治療を一旦終了した患者に対して、
あらたなる視線を送るように心がけています。


それはなぜか?と申せば、
健康を促進する現象を観察する」というプロセスを、
患者から少しでも多く学びたいと考えているからです。

人間という動物は、
トライアンドエラーすることによって学びを得ることができます。
これと同時にトライアンドエラーからしか学習することができないのです。

このため年を重ねるほどに
健康を促進する」という私の仮説と、
これまでの年を重ねることによって
不健康問題を抱えることは仕方のないことだ
という世間との常識のギャップを、
どのように解決させていけば良いか?
に強い関心を抱いています。
 
ここで少し話の方向を変えてみます。

コンビニの数より多いと言われていた歯科医院が、
私の周辺からどんどんと消失しています。
しかも、この10年の間に私のオフィスにある地域での
新規開業は1つもありません。

関西でも住みたい町ランキングの一位、
二位を競う住宅街での話です。
半径300mの範囲にあった7件の全てのオフィスがなくなりました。

歯科医の高齢化、病死、
さらに経済的問題が絡んでいることが
撤退理由のようです。

このことと並行して何が生じているのか?と申せば、
長寿化に伴う高齢化です。
大きな家屋からなる閑静な住宅街が、
独居老人ばかりの居住場と変わりつつあります。
患者である不動産業者いわく、
過疎化が始まっていると語っていました。

この地はスーパーマーケットが
半径500m以内に3軒もある便利な土地です。

しかしすでに自動車免許を返納した人たちは、
徒歩でお店までたどり着けたとしても、
買い物を携えて帰りの数百メートルのために、
タクシーを使用しなければいけない体となりつつあるのです。

これに拍車をかけた現象が、新型感染症です。

移動制限により利用者を失ったタクシー運転手は
相次いで離職し、豊かな年金生活を送っている
消費者がタクシーを呼んでも
来ないという現象に見舞われているのです。

そこに少子化による人手不足がリンクしているのです。

たまたま乗ったタクシーの運転手は、
このように述べました。

あなたのような年齢の人を乗せたのは、久しぶりです。
ほとんどの利用客は医療機関との往復に
私たちを使う高齢者ばかりなのです
」と。

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