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第四章 脳はお馬鹿さん、腸は?-003
3_脳はおバカさん
何かしらの競技に集中するあまり、
周囲からの大声援が聞こえなくなる体験をしたことがありませんか?
嗅いでいた匂いが、突然感じなくなることは?
あまりの驚きに一瞬、目の前の現象が消えてしまうことは?
ビジネスを兼ねた食事中に、
味覚が飛んでしまう体験をしたことはありませんか?
共食という人類にとって、もっとも大事な仕組みを仕事にリンクさせ、
接待という場を設けたはずなのです。
私たちは貨幣経済の中で生き抜くことを大事と考え、
味覚のセンサーから発する心地よい情報さえも脳からシャットアウトさせ、お金を儲けることに集中してしまう動物のようです。
よほど注意しなければその両方の利益を取り逃がす、
身勝手で不完全な動物と言えませんか?*1
これに対し、お口の治療によって不健康問題を解いた人が、
必ずと言って良いほどにこのように述べます。
「食べて生きるための健康を守る、
センサーの存在を実感できるようになった。食事が美味しい!」と。
「もう2度と不健康問題を抱えないようにします。このセンサーの作動する不健康エリアへ足を踏み出さないように注意します」と。
しかし「このことに気づくことって、結構面倒臭いですよね」と
付け加えるのです。
健康でなければ、食べて生きることはできません。
しかし意外とこれらの何人かは治療後に、
いつの間にかいなくなる傾向があります。
治療後も不健康問題を生じさせないために、
定期的な調整は大事ですよ、とお伝えしているにも関わらず。
人間という動物は、一度作ったクセ(不健康を作る方法)を
なかなか拭い取ろうとはせず、これをまた放置したらどうなるのだろうか?という(病的な?)
トライアンドエラーの意識を働かせる傾向があるようです。
一方、若い人たちはこのセンサーが作動しても、
気のせい、もしくはまだまだ体は頑張れると、
勝手な思い込みをする傾向があります。
このため病的な環境に自分たちを落とし込むことに、
厭(いと)いを感じてはいないようです。
このため痛みや機能障害を生じたとしても、
なかなか医療機関を受診してアドバイスを求めようとはしません。
また生活習慣病が音もなく忍び寄る中、
定期検診によって気づきを与えられたとしても再び蓋をして、
年を重ねるほどに不健康問題を拡大させてしまう傾向があるのです。
*1 R. Wrangham. Catching Fire: How Cooking Made Us Human. Basic Books. (2009)「火の賜物:ヒトは料理で進化した」リチャード・ランガム著、依田卓巳訳、NTT出版(2023年)