見出し画像

第六章 恩返しはどこへ行く?_001

この章では、社会奉仕活動が本業のリカレント(学び直し)へと
結びついた話をご紹介します。

01.自然災害が発火点
02.ボランティアの連鎖の始まり
03.ニッチを社会実験する
04.社会への還元とは何かを知る
05.脳内環境を組み立ててみると
06.やれることを受け入れる
07.自分を紹介するボランティア?
08.他利をしていたつもりが
09.エリートを育てる?
010.付加価値とは何か?
011.人事が動く
012.あらたなる健康へのトライアンドエラー
013.自分の命は自分で守る
014.ボランティアの本質
015.人間という社会的動物からの学び

01.自然災害が発火点

私ごとで失礼します。
2つ目の大学での講義を受けていたときのことでした。
突然とお腹から、このような思いが湧いてきました。
いつか社会に恩返しをしたい」と。

この後、博士課程の学生時代のことでした。
阪神大震災(1995)という自然災害に遭遇しました。

突然に現れたこの現象は、電気以外のすべてのインフラを止め、
一瞬にして私たちを未だ体験したことのない
静寂な世界へと包み込みました。

近くを走っていた電車は、
怪獣映画のジオラマのワンシーンを見るかのように、
橋の上で横倒しになっていました。

これら周辺環境を観察したのち、
体の中のサバイバルのスイッチがゆっくりと切り替わることを、
自分の中で確認しました。
(脳には、絶滅の危機に対応するプログラムが用意されているようです)

このため、毎日の決まり事であった大学病院での診療や研究プログラムは、一時的にせよ中断を余儀なくされることになりました。

それにしても、このような生き残りをかけた事態の中に、
まさか共存という他利の意識が、私を強く突き動かすことになるとは
思いもよりませんでした。

妻の両親の安否確認に行きますと、強い異臭を感じました。  

どこから発生しているかは分からずとも、小高い場所に立って
昔映画で見たターザンのように、大きな雄叫(おたけ)びをあげて
ガス漏れが発生している」と、
何度も何度も周辺住民に注意を呼びかけました。

ようやく開けつつある早朝の空に、
通常なら考えられない大きな声がこだましたのです。

 
さて、実際に社会奉仕のイメージを具現化できるようになったのは、
震災復興が進み始めた数年後のこととなりました。

(思いを巡らし行動を起こすためには、相当な時間がかかるようです)

ことの始めは、国の底辺であるプラットホームの底上げをすれば、
必ずや国力を上げることができるのではないか?

という思いに至ったからです。

ここで自分に戒めたルールを、いくつかまとめてみます。
1. 誰の利益をも侵害しないボランティア活動をする。
2. 自ら投資のできない子どもや学生に対して支援をする。
3. 私の能力を直接使った奉仕をする。

当時思い描いた内容の一つに、
国のフィルター(児童相談所)を通った恵まれない子どもや学生へ、
無料の歯科矯正治療を提供することでした。

(社会的養護とは何か?)

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?