見出し画像

【ミス多発!】クレジット払い・翌月入金の売上処理の注意点

はじめに

こんにちは、島田(@mshimada_tax)です。

今回もInstagramのリールで反響があった投稿の深堀りをしていきます。

売上の計上時期は入金のタイミングではない、という話です。


90秒では収まらなかった細かい注意点も含めて解説していけたらと思います。

なぜ売上計上時期が大切なの?

まずは、なぜこのテーマを理解しておかないといけないのかをお話しします。

個人事業主であれ法人であれ、基本的に税金は

①売上ー経費=利益
②利益×税率=税額

の流れで計算されます。

そして、税金の計算単位は最長で1年です。

そこで、期末(決算)ぎりぎりに売上が増えそうだということが分かると、税金を減らすために今年度の売上ではなくて、翌年度の売上に繰り越そうという意思が芽生えてきます。


これだと、簡単に納税者が税額を調整できてしまいますよね。

なので、税金の計算で売上は「そもそも売上の金額がいくらか」と同レベルで、「いつの売上か」も重要視されます

実際、「いつの売上か」の間違いが税務調査で指摘されて修正申告になるケースは多々あります。

税務上の売上計上時期

じゃあ税務上は売上をいつ認識しなければいけないか。

これに関しては税法で膨大な規定や様々な学説があるので詳細は省略しますが、

・売上代金をもらう権利が確定した段階
・商品の引き渡しが終わった段階
・サービスの提供が終わった段階


で売上を計上する必要があります。

たとえ入金がまだ、であってもです。

入金や出金のタイミングで売上や経費を計算対象に入れる特例もありますが、原則的には現金ベースではなく上記の事実に応じて売上に入れるべき金額が決まります

【実例】クレジット売上の場合

このルールを理解するための事例として、個人事業主の美容院に来たお客さんがクレジットカードで決済した場合を想定しましょう。

そのお客さんの利用日が令和6年12月20日で、クレジットカード会社からの入金は翌年1月15日とします。

(クレジットカード会社の入金サイクルが、月末締め翌月15日払いのケースです)

この場合、サービスとしては令和6年12月20日に完了しているので、クレジット決済された売上は令和6年分の売上に含まなければいけません。

とはいえ、入金はまだなので、売上発生時と入金時の2段階に分けて会計ソフトに入力する必要があります。

このケースの記帳(仕訳)は

①令和6年12月20日
売掛金×××/売上×××

②令和7年1月15日
現預金×××/売掛金×××

となります。

これでちゃんと令和6年分の売上に反映されていますよね。

このルールは、なにもクレジットカード売上だけではなく、当月請求・翌月以降入金の売上であれば共通するものです。

【注意】二重計上に気をつけて

ついでに注意点を。

この一連の記帳(仕訳)でよくあるミスが、売上発生時と入金時の両方で売上を計上してしまうケースです。

特に、上記の②の入金時に現預金×××/売上×××としてしまうことが多いかと思います。

こうなってしまうと、税額が多く計算されてしまうため、個人事業主なら所得税、法人なら法人税を過大に支払うことになります。

加えて、消費税の納税義務者なら消費税も過大に支払うことに。

納め過ぎた税金を還してもらうには、更正の請求という手続きが別途必要になってしまうので気をつけていただければと思います。

まとめ

今回は売上の計上時期のミスに関する話でしたが、次の2点には注意です。

  • 売上は入金のタイミングではなく、売上代金をもらえることが確定したり商品サービスの提供が完了したタイミングで計上する

  • 売上発生時と入金時の二重で売上を計上しないようにする

特に、年度をまたぐ時期の処理には気をつけていただければと思います。



いいなと思ったら応援しよう!