もう『スーパー公務員』から卒業しませんか？
『スーパー公務員』
この言葉を私は使わないように心がけています。
なぜなら公務員に、「スーパー」な人と「スーパーじゃない」人なんていないから。みんなそれぞれの場所でそれぞれの分野で、異なる成果を出しているだけだから。
そして、「スーパー」という言葉を使うことで、本来はないはずの分断とあきらめをそこに生み出してしまうから。
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「この人スゴイな～」って思う公務員はたくさんいます。
でも、その人たちを『スーパー公務員』なんて呼んで過剰に崇め奉らないことを私は大切にしています。
スーパー公務員と呼ばれるような公務員の人たちは、やはり仕事の成果も仕事への姿勢もスゴイんだと思います。
正直、同じように頑張れと言われても私は真似できそうもありません。
とはいえ、彼らも私たちと同じ公務員です。
そうであれば「彼らは特別で、私たちにはできません」とは言うのはちょっと違うと思うんです。
総務課だから、そんな成果を出せるわけがない？
市民課の窓口だから、成果とかあるわけがない？
私は毎日、家屋調査なんだけれど・・・
苦情処理で一日が終わっちゃう・・・
ケースワーカーで担当する受給者が・・・
そうですよね。
そういった仕事が公務員のど真ん中ですよね。
スーパー公務員と呼ばれる人たちの活躍で目にするような大きなイベントも、イケてる官民連携も、ＩＣＴによる効率化も、実際に携わるのはごく一部の人たち。そして、そこから別格の成果を出すのは、さらに限られた人だけ。
だから総務課で、市民課で、家屋調査で苦情処理でケースワーカーで、そんな成果なんて出せないよ、そういう部署じゃないんだよって思いますか？？
そうなんですよね。その気持ちはすごく分かります。
でも、それって心のどこかで「仕事の成果」を、メディアが取り上げたり賞を獲得するような華々しい成果だと自分で勝手に決めつけていませんか？
メディアの取材を受けなくても、賞を受賞しなくても、決して華々しい成果じゃなくても、多くの公務員は毎日価値ある仕事をしています。
ローマ法王にお米を食べてもらわなくても、ブランディングで地域活性化のモデルにならなくても、私たちの仕事には確かな価値があるんだと、一人ひとりがもっと自覚的であっていいと、私は思うんです。
そう、それぞれの仕事には、それぞれに得るべき成果がありますから。
「スーパー公務員」と称される皆さんからは、学ぶことも多いし手本とすべきところもあります。
でも、彼らを自分たちとは違う特殊な公務員だと思って「スーパー公務員」の彼らと「スーパー公務員じゃない」私と思っているうちは、いつまで経っても追い付けません。
それは「スーパー公務員」という言葉が生む分断と諦めです。
その言葉があることで自分とは違うという分断を生み、自分とは違うという分断が自分に諦めることを許します。
何か貴いものでも扱うように特別視して、
話を聴くだけでもありがたいと思って、
本当に話を聴いて終わりになってたら、
分断は一層深まり、諦めを助長するばかり。
もし、この仕事において高いレベルで社会に貢献していきたいと考えるのなら、彼らを『スーパー公務員』と崇め奉るのではなく、せめてライバルだと思って「負けない！」くらいの気持ちでいたい、私はそんな風に思います。
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スーパー公務員という言葉自体は、一時期必要な概念だったと思います。
公務員は全体の奉仕者であり、組織の歯車としてルールと前例に従って仕事をすればいいのであって、個性を発揮したり目立つことはケシカラン。そんな前時代的な雰囲気の中で、時代の変化もあって、出る杭を打つばかりではなく、もはや誰にも打たれないような出過ぎた杭が求められるようになりました。
そのときに全国のたくさんの「出る杭」を勇気付けてくれて、「こういう公務員もアリなんだ」ということを業界内外に知らしめてくれたという意味で、スーパー公務員という言葉の果たした役割が大きかったと思います。
でも、その変化のフェーズはもう終わりつつあるのではないでしょうか。
もう、「出る杭」は特別なことではありません。時代も組織も正面から「出る杭」を求めてくれています。
『スーパー公務員』なんて言葉を使うメディアにも責任はありますが、きっと、もう私たち自身（特に同じ業界）がこの言葉から卒業する頃合なんですよね。
公務員をこちら側とあちら側という解像度の低い景色ではなく、満天の星空のようにあらゆるところに、色も大きさも輝きの強さも多様な星がたくさんある、そんなもう一段階解像度を高めた景色を眺められる人が増えるといいなと感じて、今日はこの記事を書かせていただきました。
皆さんは如何お考えですか？
※Facebookで投稿したところ、いろいろなご意見をいただいています。よかったら投稿を読んだ皆さんがどんなご意見を寄せてくださっているのか、併せて読んでみてください。大変興味深いと思います。
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