センパイ著者にききました#01/村川美詠さん②(全4回)
2月に初の単著『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』を出版した私、地方公務員の島田正樹が、同じ地方公務員として先に本を出版している「センパイ公務員著者」にインタビューをするシリーズ。
お一人目は、諫早市に勤める村川美詠さん。
村川さんが本を書くことになった経緯や想い、そして書くということに対する考え方などお聴きしました。
◆村川さんがいなかった状態には戻れない
― 2冊(『公務員女子のお仕事帳』(学陽書房)と『公務員女子のお仕事相談室』(学陽書房))を書き上げたわけですが、本業もあってお忙しい中で、書く時間はどのように確保したのですか。
村川さん:「1日に1項目書く」と決めていました。時間にすると1時間半~3時間位。内容によってサクサク書けるものと、“う~ん”と唸るものがあります。仕事から帰ったらまず、パソコンに向かい、目次を見て書けそうな項目を決め、ネタを考え、書き上げてから、リラックスする、という流れです。
1冊目のときはGWが10連休がありましたし、2冊目はコロナ禍で自宅にいる時間が増えたので、実は時間の確保にはあまり困りませんでした。
― コロナ禍の在宅時間を活用したんですね。
村川さん:私、コロナ禍で外出できなくても困らない人なの。出不精で人見知りだから、家でずっとコツコツしていること大好きなので。この1年間、本を執筆したりオンラインで全国の人と話ができるのを楽しめてます。
子育てはないし、夫は夜のお仕事(バーのマスター)なので自分ひとりじゃないですか。だからひとりで向き合って、1時間半とか2時間とか書いて、はー書いたーって言って風呂に入って寝るっていうのが、全然苦痛でもなんでもなかった。
― そうだったんですね。テンポがいいですよね。私は、1項目書きあげるのにもっと時間がかかりました。
村川さん:なんかね、松倉さん(担当編集者)に「村川さんがいなかった状態には戻れない」って言われたんです。私、締切りよりも早く出すし、「ここちょっと訂正してもらえますか」って言われたら、「こう書いたけれどどうですか」ってピャーって出すから、そのやりとりに慣れてしまったみたいで。「もう元に戻れないかも」って。
― えー、それはすごいですね。
村川さん:おかげで強みには気づきました。私そんな書くの速いと思っていなかったけど。
― 村川さんが目次を見て書けそうな項目を決めたときには、ネタの中身はどのくらい固まっているんですか。
村川さん:その時点ではまだ「ネタに何を持ってくるかなー」みたいなかんじ。
◆若い人ってそこでつまづいているんだな
― そのネタは、村川さんの中にストックがあるのですか?
村川さん:1冊目の『公務員女子のおしごと帳』を書くことになったときに役所内の女性職員や、オフサイトの活動で知り合った仲間に「どんな本があったらいいと思う?」「どんなことで悩んでいる?」「どんなことが不安?」と聞きました。
特にさいたま市の柳田さんが、関東近辺のお仲間に声をかけて、たくさんのエピソードを寄せてくださったのも大きな力になりました。
― そういうエピソードをどのように本に盛り込んでいったのですか?
村川さん:全部で250個くらいのネタが集まったので、目次をつくる段階でそれを項目ごとに分類しました。
― その250個のネタをご覧になってどんなふうに思いましたか。
村川さん:「あーみんな切なかったんだな」とか「そこでつまづいているのね」とか。色々思いましたね。
― つまづいている?
村川さん:結婚して、仕事と家事と両立できるかどうかが不安で「本当に結婚ってできるのかな」と思っているんですよね。でもさ「それってやってみなきゃわからんじゃん」とか思うんです。
まず先に「仕事をやる」って決めちゃったらいいんじゃない? と私なんかは簡単に思うけれど。
― そっか~、そういうことなのですね。
村川さん:あとね、「自分がお母さんにしてもらったように、自分の子にもできないんじゃないかっていう不安があるんです」とか。そりゃ専業主婦と比べたら時間的には難しいこともあるけど「なんか違う方法だってあるんじゃない」とも思いました。
若い人ってそんなところでつまづいているんだなとか、悩んでいるんだなって思った。
― そういった悩みというのは村川さんにとって意外でしたか?
村川さん:もちろん私たちと同じ世代、今市役所などで管理職に就いている世代の女性は同じような悩みを経験していますよね。女性で管理職になって、ロールモデルもいない中で、とか、そんな悩みはあるだろうって思っていたけど……。
担当編集者の松倉さんのお姉さんは公務員なんです。担当編集者としては自分のお姉さんのこととかをイメージしているので、私たちより若い世代の人がちょっとした段差でつまづいていることとかを元気にしたいという想いはあったと思います。
― そこは若い世代に寄り添って書いてくださったということでしょうか。
村川さん:私は自分が20代、30代の頃の気持ちに戻って書いていたんですよね。当時の私はそんな心配をしてたかもなとか、そんな気持ちで書いていましたね。「私もここでこけたよ」とか「私もそんとき泣きそうだったよ」みたいに思い出しながら書きましたよ。
◆恥ずかしいけど、使命をもらっているんだろうな
― 少し話題が変わるのですが「書き手としての資格」の話についてお聴きしてもよろしいでしょうか。
村川さん:それが一番の悩みでした。全国にはすごい人がいっぱいいます。九州の西の果ての、課長職の経験しかない、本業でも地域活動でもたいした成果もあげていない、私のようなものが書いてもいいのか、最後までオドオドしながら書きました。
出版後も、正直、穴があったら入りたいと思っていました。今でも思うんだけれど。
― これはものを書く人間が常に向き合う問題なんだと思うんです。私も以前note(『あなたにそれを書く資格はありますか?』)で“おまいう問題”として書きましたが、結構反響がありました。
村川さん:そうそう。だからあの島田さんのnoteが公開されたとき「言語化してくれてありがとう」とかコメントしたと思う。
― お読みいただきありがとうございます。コメントも嬉しかったです。今は心境は変わりましたか。
村川さん:いや、あんまり変わってないね。
― 変わっていないけど、なんでしょう。平気っていうと変だけれど。
村川さん:まあしょうがないよね、出たからね。
― 一番悩んでて、出版後も穴があったら入りたいぐらいの気持ちはあった。でも、今ここにこうやって元気な村川さんがいますよね。
村川さん:うん、そうね。
― それは心境は変わらないけど大丈夫ということなのでしょうか? それとも、心境が変わった結果として元気なのでしょうか?
村川さん:恥ずかしいけど、でも役割、使命をもらっているんだろうなと思っているんですよね。それは恥ずかしいよね、こういう本を出すのね。
でも、編集者の松倉さんが私に頼んだのは、私に書いてほしかったからだと思うので。それに、外野から色々言われたとしても、私も頼まれたしねって思ってて。
― そうですね、頼まれたしね。
村川さん:そう、頼まれたことだし、「私が言い出したんじゃないわ」っていうのと、やっぱりなんといっても読んでくださった方からのメッセージとかで、自己肯定感は上がるじゃないですか。
もし全部それが無視されていて、ちっとも売れなかったっていうなら別だけれど、増刷させてもらったりもして。メッセンジャーとかいただいたりすると、やっぱり役に立ったんだなって思えたことが一番ですよね。
― 「私には資格があるわ」と思えたわけではないけれども、導かれた使命だし、実際書いてみたら皆さんの反応もあるし。
村川さん:そうですね。そうかな。
― 村川さんとしては受け入れたというか、一緒に歩いていける感じになっているというか、私はそんなふうに感じ取りました。私自身はまだそこまでたどり着けていませんが。
村川さん:わかるわかる。
>>「センパイ著者にききました#01/村川美詠さん③」に続きます。
★ご報告★
おかげさまで初の著書を出させていただきました!
主に若手公務員を対象に「公務員が充実した気持ちでイキイキと働くことが、住民の幸せにつながる」という信念のもと、「自分の人生のハンドルは自分の手で握ろう」というメッセージを込めて書かせていただきました。
そのあたりのことは、こちらの記事でもお伝えしています。
よろしければお手に取っていただけたら嬉しいです。
また拙著に関連する記事はこちらのマガジンにまとめて掲載していますので、併せてご覧ください。