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センパイ著者にききました#02/牧野浩樹さん①(全4回)


2月に初の単著『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』を出版した私、島田正樹が、同じ地方公務員として先に本を出版している「センパイ公務員著者」にインタビューをするシリーズ。

二人目は、倉敷市に勤める牧野浩樹さんにお話をおうかがいしました。
初の単著として『コミュ障だった僕を激変させた 公務員の「伝え方」の技術』(学陽書房)を出された牧野さんは、倉敷市役所に勤めながら他の団体の研修で講師を務めたり、落語家に弟子入りし高座名「ジャンボ亭小なん」として落語を披露したりしています。

今回のインタビューでは、牧野さんが本を書くために編集者にアタックした経緯や本に込めた想い、そして書くということに対する考え方などお聴きしました。


◆コミュニケーションが苦手だった私の成長の物語

本日は2020年8月に『コミュ障だった僕を激変させた 公務員の「伝え方」の技術』(学陽書房)を出された牧野浩樹さんにお話をお聴きします。よろしくお願いいたします。

牧野さん:よろしくお願いします。

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さっそくですが、普段はどんなお仕事をされているんですか?

牧野さん:倉敷市役所に勤めていて、観光課で観光誘客業務を担当しています。兼務として事業継続支援室というところでコロナ対策業務、主に事業者支援の業務も担当しています。今はコロナ禍ということもあって、観光課よりも事業継続支援室での事業者支援の業務がメインになっています。(筆者注:2020年3月時点)

そんな牧野さんが書かれた著書は、どんな本でしょうか。

牧野さん:はい。『コミュ障だった僕を激変させた 公務員の「伝え方」の技術』(学陽書房)っていう本なんですけれども、伝え方の、コミュニケーションの本です。
最初に配属になった納税課で、いわゆる税金Gメンとして、滞納者と交渉して、税金を徴収する仕事をしていたんです。そこで、なかなかうまく住民の方とコミュニケーションできなかったり、上司との報連相ができなかったり。人見知りで口下手でコミュニケーションが苦手だったので、すごく苦労したんですね。

そこで、公務員としてコミュニケーションを頑張らなければと、1年間自分なりに研究しはじめて、徐々に伝えることができるようになっていったんです。
その成長の物語をベースに、経験の中で編み出した「伝え方の公式」を伝える本になりました。伝え方が得意だから書いたのではなく、苦手な人ができるようになったというコンセプトで書いた本です。

徴収のお仕事でコミュニケーションが得意じゃないと苦労しますか。

牧野さん:そうですね、言いなりになるのは簡単なんですけれど、きちっと「払ってください」とか強く言えないといけないので、やはり厳しいと思います。
毎日電話とか窓口とか、事務作業というよりコミュニケーションがメインの業務になるので、そういう意味では必須なのかなって思います。

最初配属されたときは、徴収の仕事に配属されて、大変そうだなっていう印象はあったんですね。苦手意識があったものを克服し、成長していった物語を、若手の公務員の人に読んでいただきたいということですね。

牧野さん:そうですね。対象は若手ですね。

1章から4章まで、だんだんと牧野さんが成長していく様子をそのまま追いかけていけるんですよね。

牧野さん:はい。そうなんです。

最後の4章では、相手を動かすというところまでたどり着き、コミュニケーションに苦手意識がない人にも参考になりそうですね。

牧野さん:ありがとうございます!
今回、簡単なところから積み上げていく構成を意識しました。既存のビジネス書にも書いてある内容なので、若手中堅であれば無意識にやっていることだと思うんです。

それをエピソードで意識させるような感じで書いていっているので、ああこれ使ってたって感じで、気付いてもらえるのかなって思いますけれど。

各項目の後半部分のケースの紹介もすごいわかりやすいですよね。それぞれの○☓(マル・バツ)比較で。

牧野さん:最初は単純にマルのところ、つまりいい方の実例だけ書いていたんですけれど、編集者の方と話す中で、ダメな例とイイ例を書いた方がわかりやすいかな、って。あと、LINEみたいな感じで吹き出しのようにした方がわかりやすいかなって感じで。編集者の方と話し合いながら書いていきました。

吹き出しで会話している様子みたいなのは、すごいわかりやすいですよね。バツの方は職員の顔がめっちゃ困っているみたいな。

牧野さん:そうですね。視覚的にわかるような感じで。


◆企画書を送っても返事がなくて……

どのような経緯でこの本を書くことになったのですか?

牧野さん:本を書くときは、編集者の方から声をかけられるケースが多いですよね。でも、僕はとくに実績もなかった(筆者注:地方公務員アワード受賞は本の執筆後)ので、企画書を書いて編集者の方にアタックをしたんですね。

それが『コミュ障だった僕を激変させた公務員の伝え方の技術』でも編集者を務めた学陽書房の編集者の方。

牧野さん:そう。その編集者の方とSNSでつながって、メッセンジャーで企画書を送りました。

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へええ、すごいですね! 普通、企画書を直接送ってもなかなか成功しませんよね?

牧野さん:そうです、そうです。最初は相手にされませんでした。

やっぱり、そうですよね。

牧野さん:企画書を送ってから2ヶ月返事がありませんでした。でも、どうにかアピールしたくて。自分でブログを始めてそれをSNSで発信してたんですよ。間接的に知ってもらえるように。

でも、それでも連絡がないまま数ヶ月経って……。

なんか企画書みてくださいってアタックしたものの、編集者の方もお忙しい中で「返信できないの悪いな」と思われるのもなんか申し訳なくて。それで「もう、気にされないでください、縁がなかったということで、ありがとうございました。またもし機会があれば声かけてください」ってメッセージを送ったんですよ。そしたら返事が来て!

それでお返事がきたんですか!?

牧野さん:きたんです! いわゆる「伝説の税金Gメン」みたいな企画書を出していたんですが、「牧野さん、そんなに東京に名前が届いていないです」と。

「なのでどちらかというと、挫折をした人が税金Gメンの中で成長したっていう物語だったら、ひとつ企画としてあり得るかもしれません」とメッセージでいただいて、そこからちょっとずつ進みだしたっていう感じです。

へええ、そんな物語があったんですね!

牧野さん:ふふ、そんな物語です。

最初の企画がそのまま通っているわけじゃないんですね。

牧野さん:全然ないです。

その後、編集者の方と企画を練り上げていくわけですか。

牧野さん:そうですね。まず目安となる本を編集者の方から提案されました。例えば『コピー1枚とれなかった僕を激変させた仕事術』みたいな民間の人の本で、仕事ができなかった人ができるようになった、みたいな本ですね。

それをもとに「公務員の伝え方版」をつくろうというだいたいコンセプトが定まって。僕自身も振り返ると、人みしりで口下手だったっていう経緯があるので、これだったら書けるかなって。

 すごい税金Gメンの本だった企画が、できない人が頑張って成長していく物語へと変わったんですね。

牧野さん:そうですね。まさにそういう感じです。企画書では背伸びして見せていたんですけど、そうじゃなくて、ありのままの出来なかった自分をさらけ出す方が、共感をしてもらえるのかなって。

自慢話をするよりも、失敗談とかを話したりする方が人を引き付けますよね。僕も実は前職で営業をしていたんですけれど、それも仕事ができなくて3か月でやめているんです。そういう経験をさらけ出すことにしました。

最初の企画ではさらけ出すつもりはなかった「できなかった自分」を、生まれ変わった企画ではさらけ出すことになった。あまり思い出したくないような、「できなかった自分」が本を書くうえでは武器になっている。そこの転換に、心が揺さぶられますね。

牧野さん:新人時代めちゃめちゃ悩んだんで、人事で研修担当をしていたときも、新人からの相談に本気で答えていたんですよね。アドバイスではこちらの言葉がどうやったらその人にささるのかをすごい意識しています。
だから、本を書くときにも、マイナスからプラスを描いていった方が、絶対伝わるってあらためて編集者の方に言われて、それは間違いないと思いました。

>>「センパイ著者にききました#02/牧野浩樹さん②」に続きます。




★ご報告★

おかげさまで初の著書を出させていただきました!

主に若手公務員を対象に「公務員が充実した気持ちでイキイキと働くことが、住民の幸せにつながる」という信念のもと、「自分の人生のハンドルは自分の手で握ろう」というメッセージを込めて書かせていただきました。

そのあたりのことは、こちらの記事でもお伝えしています。

よろしければお手に取っていただけたら嬉しいです。

また拙著に関連する記事はこちらのマガジンにまとめて掲載していますので、併せてご覧ください。


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