与えられた偶然の機会は、選んだ選択肢を自らの在りかたで意味あるものにする
私たち地方公務員の業界では、職員を中央省庁など国へ派遣する仕組みがあります。民間でいうところの親・小会社や海外拠点への出向みたいな感覚かもしれません。
私が勤めるさいたま市役所でも、毎年数名が総務省などに派遣されています。(最近、人数が減っていて少し心配……)
この時期、どこの団体でも佳境に入っているのが派遣者の調整。
多くは人事部門が1月中旬から2月末までに派遣者に対して意向確認をしたり、部局長をつうじて内々示(書面や掲示はなされない非公式なもの)が伝えられたりしているのではないでしょうか。
今、まさに引き受けるか迷っているひともいるかもそれませんし、一度承諾はしたけれど、本当によかったのか悩んでいるひともいるかもしれませんね。
私も2014年(平成26年)4月から2年間、内閣官房/内閣府に派遣されていました。
派遣される年の1月。意向確認に対する回答期限当日。
出張先の会津若松の飲み屋の前から、人事に電話をして「お引き受けします」と緊張しながら伝えたのを今でもはっきり憶えています。
そして、8年前の今頃、私も「本当に引き受けてよかったのかな」と悩んでいました。
「本当に引き受けてよかったのかな」
「自分が国に派遣されていいのかな」
とても悩ましいですよね。
ただ、それはいくら考えても、先輩に相談しても、本を読んでも解決しない問題です。
「国に派遣されてうまくやれるだろうか」
「自分にとってどんな価値があるのだろうか」
正直それも分かりません。
ただ、人事はあなたなら大丈夫だと思ったからお願いしています。
自分自身にとっては、慣れ親しんだ場所から飛び出して、外の空気に触れることで自分の価値観が揺さぶられます。おそらくは自分が組織問わず通用する知識やスキルを持っていることに気付けたり、格段にひととのつながりが広がるでしょう。
それらは飛び込んでみなくては分かりません。
だから、事前に正解の選択肢を探すことは手放し、選んでみて、つまりは飛び込んでから選んだ選択肢を自分にとっての正解にできるといいと思うのです。
私も含め、多くのキャリアコンサルタントが親しんでいるキャリア理論のひとつに「計画された偶発性理論」(J.クランボルツ)があります。
この理論のポイントは2つ。
偶然の機会というのは、自分で「1年後にはこんな仕事をして、5年後にはあの部署に異動して……」と計画したことではなく、急に未経験の業務を頼まれたり、想定外の部署に異動・転勤したり、この記事で書いているような思いもよらぬ外部派遣だったり、そういう機会。
偶然の機会を味方につける5つの要素は、例えば、派遣される際にこんな姿勢で向き合うということ。
もちろん、これは公務員に限ったことでも、派遣や出向という機会に限ったことでもありません。
自分の意志でそうしようと思ったものではなくて、たまたま誰かから与えられた機会って、振り返ってみると結構ありますよね。
その中には「あの機会はよく分からないまま受け入れたけど、今思うと、えいや!で受け入れてよかったな」と思えることも一つや二つあるのではないでしょうか。
好奇心/楽観性/柔軟性/継続性/冒険心の5つの要素は、さまざまな偶然の機会を「よかったな」につなげる材料。私はそんなふうに理解しています。
省庁への派遣は、地方公務員にとって、そのひとのキャリアに最も大きな影響を及ぼす機会のひとつです。(にもかかわらず、急に言い渡される)
確かにそれは計画できませんが、それを意味ある機会にする受け入れ方・向き合い方、つまりは「在りかた」は、自分の意志で用意できます。
だから、今、まさに省庁への派遣など大きな転機について引き受けるか迷っているひとも、一度承諾はしたけれど、本当によかったのか悩んでいるひとも、その選択が正解かどうかを確認することに時間や労力を割くのではなく、その派遣を「えいや!で受け入れてよかったな」(もしくは「他のひとにゆずってよかったな」)と思えるように、自分の「在りかた」を整えることに気持ちを注いではいかがでしょうか。
もし、ひとりだとグルグルと同じ考えのループにハマり悶々としてしまうようであれば、キャリアコンサルタントとして、整えるのをお手伝いさせていただきます。(私じゃなくても、それはキャリアコンサルタントならお手伝いできることです)
ちなみに、今日の記事は派遣される前の今の時期に合わせて書きましたが、派遣されてからのことなどを書いたこちらの記事も併せてお読みいただくのがおススメです。
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