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センパイ著者にききました#01/村川美詠さん④(最終話)


2月に初の単著『仕事の楽しさは自分でつくる! 公務員の働き方デザイン』を出版した私、地方公務員の島田正樹が、同じ地方公務員として先に本を出版している「センパイ公務員著者」にインタビューをするシリーズ。

お一人目は、諫早市に勤める村川美詠さん。

村川さんが本を書くことになった経緯や想い、そして書くということに対する考え方などお聴きしました。

>>前回「センパイ著者にききました/#01村川美詠さん③」


◆それでも自分がやろうと思えばできる

― インタビューも終わりが見えてきました。公務員ってどんなにすごい実績をあげていても、普通のサラリーマンですよね。そういう人たちが、自分の知見を本として出していくことについてお話していきたいと思います。村川さんはどんなふうにお考えですか。

村川さん:私の中では、佐賀県庁の円城寺さんの本(「県庁そろそろクビですか?「はみ出し公務員」の挑戦」(小学館新書))が、最初の公務員本でしたが、めちゃくちゃ勇気や元気をもらいました。

― 円城寺さんの本は特別でしたか。

村川さん:そう。自己啓発本とかビジネス書とかが大好きだからたくさん読むけれど、民間企業向けが多く、ちょっとしっくりいかない感じがしていました。公務員の本ってなかったから。でも、円城寺さんの本は具体的だから伝わりやすかったんだよね。

― 公務員独特の世界ってありますよね。それが公務員が書く本には描かれていて、私たちと地続きなかんじなんですかね。公務員向けの本と比較して、民間の人向けの本がしっくりいかないかんじってどんなところがあるのでしょうか。

村川さん:どんなところだろうね。公務員向けの本の方が、痒いところに手が届くみたいな感じ?

環境の変化とかカイゼンとかに前向きな公務員ばかりじゃないから、周りの人にイライラするやん。円城寺さんの本には、そういうのがうまく表現されてたんですよね。そこに共感したのかな。この本を読んで「それでも自分がやろうと思えばできるよ」っていう気持ちになれたんですよね。

― そういうことが公務員が書いた本だと感じられるということですね。

村川さん:そんなことまで教えてくれなかったからね。昔はOJTとかで教えてたのかもしれないけれど。

― 以前は、個人の名前で公務員が書いている本って珍しかった気がしますが、今は、現役の公務員が働きながら現場での経験に基づいて書いている本が多くて、そういう意味で共感できるところもあるのかな。

村川さん:小金井市の堤さんの本とかそんなかんじやん、異動するときはこんなことに気をつけてね、とか、課長になったらこんなことには注意してね、みたいなのはすごい具体的で、私たちの仕事の毎日にすごいぴったりくるよね。

― フィット感がありますよね。

村川さん:そう、フィット感だよね。


◆「ロールモデル」ではなく「ロールサンプル」

―― 最後にこの記事を読んでいる皆さんへメッセージをいただけますか。

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村川さん:私はずっと「普通の女性公務員のロールモデルになろう」と思ってきましたが、最近は、ロールサンプルの方がいいな~と思うようになりました。
本には、いろいろな人の考え方や生き方のヒント、知恵や工夫がつまっています。いろんな本を読んで、「この部分はこの人を見習おう」「ここはあの人を参考に」と“いいとこどり”をしながら、自分らしさを築いていけばいいのかな~と思います。

― ロールモデルとロールサンプルってどう使い分けているんですか。

村川さん:ロールモデルはその人の丸ごと村川さんみたいになりたいということ。ロールサンプルは、村川さんの仕事の部分はまねしたいけど、生活の部分はあの人を真似したいっていう感じ。

― 部分部分で、どこをまねしようかなっていうのを、その人なりに選んでもらうっていうか。

村川さん:うんうん、だって、なんか子供がいます、いません、結婚してる、してません、夫が協力的、違いますとか、実家が近くです、とか、一括りに女性と言っても人によって環境は違ってきますよね。
だから、ロールモデルと同じを目指すって言っても「私の家はそんな旦那は協力してくれんし」みたいなになるので。まだ参考になるような人が少ないうちは、ロールモデルと言われていたかもしれないけれど、これからはやっぱりロールサンプルなのかなって。

― まるごとあの人のようになるんじゃなくて、あの人のココと、この人のココとを真似するといいなっていうことですね。

村川さん:そうです。そしてそれが自分らしさになっていけばもっと良いですね。

― 自分の好きなものを組み合わせた結果が自分らしさってことですもんね。

村川さん:うん。喋り方とか、色々あると思うけれど。

― なるほどね。自分らしくいいとこどりするコツとかあるんですかね。

村川さん:ああー。若いときはわからないかもしれないね。そういう自分らしさとかね。自分が居心地が良ければいいし。
私仕事で私らしさを残したいとかすぐ思っちゃうんだけれど。私がここに来た意味、とか私だからできたみたいなとかさ。それが自信がないのかもしれない、真ん中の6の人の場合。

― 真ん中の6の人の場合、そこまでは思えない?

村川さん:「思えない」って思い込んでいるような気がする。

― 村川さんが書いた2冊の本は、そういう人たちの背中をたくさん押してきましたが、まだまだ書いてみたいことは出てきそうですか。

村川さん:いやもう私は持てるものすべて書きました。私の役目はもういいかなって思ってる。

― 今は、そういうかんじなんですね。

村川さん:今はそういうかんじ。

― お忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。


【編集後記】
著書の執筆をとおして女性公務員が抱える悩みや働きにくさに向き合い、それを言葉にしてきた村川さん。終始笑いの絶えない楽しいインタビューとなりましたが、常に「真ん中の6の人」がよりよく働くために励まし、勇気づけ、支援することに村川さんの意識が向かっているのが言葉の端々から感じられました。
一旦は「持てるものすべて書きました」と話していましたが、ご自身の言葉で多くの読者の背中を押してきた村川さんのことですから、たとえ書籍という媒体ではなかったとしても、職場でオフサイトで、これからも多くの「真ん中の6の人」を励まし続けるのではないでしょうか。
この記事を読んでくださった皆さんにも、村川さんが背中に添える手の温かさをわずかでも感じていただけたら嬉しいです。


【次回予告】
私、地方公務員の島田正樹が、同じ地方公務員として先に本を出版している「センパイ公務員著者」にインタビューをするシリーズ。

次回は、倉敷市に勤める牧野浩樹さん(予定)です。

市役所に勤めながら落語も披露し、そして『コミュ障だった僕を激変させた 公務員の「伝え方」の技術』(学陽書房)を書かれた牧野さんからお話をお聴きします。




★ご報告★

おかげさまで初の著書を出させていただきました!

主に若手公務員を対象に「公務員が充実した気持ちでイキイキと働くことが、住民の幸せにつながる」という信念のもと、「自分の人生のハンドルは自分の手で握ろう」というメッセージを込めて書かせていただきました。

そのあたりのことは、こちらの記事でもお伝えしています。

よろしければお手に取っていただけたら嬉しいです。

また拙著に関連する記事はこちらのマガジンにまとめて掲載していますので、併せてご覧ください。



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