夜の路面電車が通る街~豊橋
路面電車が通る街が好きだ。
車メインの社会の中で、客を運んで道路の真ん中をゆっくり走る路面電車、半世紀前にはどこの都市でも当たりの前にあった風景だ。
自分が住む東京も同様で、都内には網の目のように路面電車の路線が張り巡らされていた。
モータリゼーションで車社会に変貌するにあたって、道路の真ん中をのろのろ走る路面電車は目の敵にされ、大都会では相次いで姿を消したが、地方都市にはいまだに市民の脚として重宝しているところも少なくない。
路面電車の走る距離が短くなる一方で、近年では富山や札幌が逆に路線距離が伸びているし、宇都宮ではLRT(次世代型路面電車)と呼ばれる形で新たに登場した。
車社会がもたらした交通事故や交通渋滞、騒音や排ガスによる大気汚染といった公害、都市中心部の空洞化など、それらを減らす方策として路面電車は今後もますます注目されていい。
先日、18きっぷで東海道の旅をしたが、その中で愛知県豊橋市に立ち寄った。
豊橋は、東海地方で唯一路面電車が残っている街だ。
豊橋鉄道という会社が運行しているこの路面電車、地元民には「市電」という呼び名で親しまれている。
全長5キロ足らずの短い路線ながら、市民の脚として重宝されているのか、いつも車内には乗客でいっぱい。
決して速くないが、たまにはのんびり揺れながらの旅も悪くないだろう。