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ポカポカのおかゆ。

幼い頃、私はよく熱を出していた。

幼稚園の遠足や、家族でのお出かけ。
楽しみにしていたイベント前に限って熱が出るという、あるあるの子どもだった。でも子どもってのは不思議で、40℃熱があっても元気はある。体はポカポカするけれど、遊びたくてたまらないし、じっとしていることが難しい。

寝ても寝ても熱は下がらないのに、なーんにもさせてもらえない。
そんな時唯一の楽しみが、ご飯だった。もちろん風邪をひいているから、ガッツリご飯は食べられない。かといって、薄味のお粥もあまり好きじゃなかった。そんな私のためによく母が作ってくれたのが、ケチャップ味のお粥だった。

お粥にケチャップを混ぜて、粉チーズとバジルを少々。
まるでリゾットみたいな洋風お粥に変身!

ふうふう冷ましながら、ゆっくり食べる。
一口食べるごとに元気が湧いてきて、「熱が下がったのはきっとこのお粥のおかげだ!」と私は信じていた。

だからだろうか、大人になった今も少し調子が悪くなるとこのお粥が食べたくなる。全く食べられないくらい具合が悪い時も、「少し食べられるようになったら…」とあのケチャップ味を思い出す。

親元を離れてなんでも自分でやらねばならなくなってから、お粥も私流に変化した。お気に入りの粉末トマトスープをケチャップ代わりにして、少しだけお湯を足して混ぜ混ぜする。

元々胃腸が弱いから、あまり調子が良くないなと感じたら、朝ご飯はこれで済ませる。すると、お昼までにはお腹がすっきり。ベストコンディションでランチタイムを向かえられる。

母に作ってもらった、ケチャップ味のお粥。
今自分のために作る、トマト味のお粥。

この先、誰かが具合が悪くなったら。
「薄味のお粥はあまり好きじゃない」と言われたら。
私が台所に立ってこのお粥を作ります。

ケチャップ味か、トマト味かはその人のお好みで。

#元気をもらったあの食事

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志麻/shima
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