夫婦旅:vol.1 遠くの海へ
これは先月夫婦で旅をした記録です。
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Day1
朝5:30、アラームを止める。
夫ものそのそ起きてきた。
目的の新幹線に乗るには、あと一時間で家を出なくてはならない。ほぼ目が開かないまま、身支度を整える。
泊まりの荷物は、昨晩2人で整えた。
今回は一泊だけだから、夫のリュック1つに収まるくらいの荷物しかない。キャリーケースは旅の印だけど、実際に旅に出るなら、身軽なほど嬉しい。
無事支度を終え、電車にも間に合った。
今日から2日間の夫婦旅が始まる。
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駅で軽食をゲットし、新幹線のホームへ。
平日だからか、周りは出張に行くらしいサラリーマンがほとんどだ。
商談の段取り確認をしたり、どこかに電話をしている彼らをよそに、私たちの非日常感は増していく。
朝ごはんを食べて眠ったら、あっという間に名古屋に到着。でも今日はここからが長い。
快速みえに乗り換えて、終点の鳥羽駅を目指す。
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旅にはトラブルがつきものだが、ここで最初のトラブル発生。どうやらこの快速みえ、途中駅からICカードが使えなくなるらしい。車内ではその旨を伝えるアナウンスが頻りに流れていた。
普段モバイルタイプを使っている私たち。
最近の新幹線は便利だね、なんてそのまま全部タッチで通ってきてしまったが、本当は名古屋で乗り換えの際、切符を買うのが正解だったらしい。なんてこったい。
慌ててスマートフォンで情報収集すると、車内で車掌さんをつかまえれば、乗車券購入とICカード後処理用の証明書をもらえることが発覚。
ただ、この快速みえの車掌さんはとっても忙しい。
駅間を走行中に車内の見回りやアナウンス、駅に着いたら乗り降りの確認、発車音を流してまたアナウンス。何駅かそうやってタイミングを逃しているうちに、発車して最初の巡回で声をかけるのがよいとわかった。そして、ついに車掌さんをつかまえた。
「今日新幹線で来て、ICでここまできてしまって……」
事情を説明すると、よくあるんですよと言わんばかりに慣れた手つきで切符と証明書を発行してくれた。さらには「この車両途中で切り離されちゃうんで、あとで1〜2号車に乗り換えてください、アナウンスもしますんで」と親切情報も。
快速みえは名古屋から4両編成で出発するが、伊勢市駅で後ろ2両が切り離されるということで、私たちはその一つ前の駅に止まったタイミングで、2両目に移動した。
車両に人は少なくなり、席にも余裕がある。
この先に進むのは、おそらく私達と同じ目的の旅行客がほとんどだろう。勝手に同士のような気持ちで周りを見渡した。
2両目の一番後ろの席についた私達は、伊勢市駅での車両の切り離しを間近でみた。夫はグイッと体を乗り出していて、大きな子どもみたいで面白かった。
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終点の鳥羽駅は海がすぐ近くだ。
駅近には、磯焼きの店が複数並ぶ。
一緒に降り立ったカップルは海沿いの方へ歩いていった。
ゆったりカーブの道を日傘をさした私たちはペタペタ歩く。気温35℃、それでもいつもより暑く感じないのは、海風のおかげか、それとも人が少ないからか、心なしか爽やかな汗に感じた。
そして、ようやく辿り着いたのが今回の目的地「鳥羽水族館」。SNSや動画サイトでも度々話題になっている、人気の水族館だ。
この旅行最大の目的である水族館のアイドル、ラッコのメイちゃん・キラちゃんは、愛らしい姿と飼育員さんとの微笑ましいやり取りが人気を集めていて、私たち夫婦の推しでもある。
ラッコのお食事タイムは13時からということで、先に人間たちのお食事タイム。
館内のレストランで大人気のカレーは、ほぼ全てのテーブルに運ばれていて、みんな一様にどこから食べようか悩んでいる様が可愛らしい。
食後はアザラシやイルカの優雅な泳ぎに癒されつつ、メイちゃんたちの元へ。
すでに見学エリアは満員!
人垣の隙間から、ようやくその姿を捉えることができた。平日でこの混雑ということは、休日にはもっと人がすごいに違いない。しばらく隙間から現れるラッコに一喜一憂して時を過ごし、いよいよお食事タイムが始まった。
バケツを持った飼育員さんが現れ、2頭はすい〜っと近くに寄っていく。
貝をもらってカンカンカン!小気味いい音が水槽に響く。取り出した貝の食べ方はなかなかにワイルドだったが、短いおててでおねだりしたり、何かをもらったりする姿はやっぱりかわいい。
食事を終えると、今度はおもちゃ遊び。
様々な形のおもちゃをもらっては脇へ、もらっては脇へしまっていく。ラッコにはポケットがあるわけではなく、脇の下に皮がたるんだ箇所があり、そこに溜め込んでいるらしい。それにしてもなかなかの収納力だ。
その後もどんどん人が増えていき、満員電車のようになってきたので、良い頃合いでバイバイした。
その後は近くのエリアから順に、海の動物たちにご挨拶。以下、怒涛の写真ラッシュをご覧あれ。
今日はとばすいだけ。
そう思って他に予定は入れていなかったけれど、本当によかった。まさか4時間もここいるなんて。これは過去最高かもしれない。隅から隅まで楽しかった。
施設が綺麗だったり、見栄えがしたり。
そんな有名水族館は何度か行ったことがあるけれど、そこに比べれば決して派手さはない。それでも各所に飼育員さんのおもてなしと愛が詰まっていて、「とばすいってこんなに楽しいよ♪」が溢れていた。
ちょっとしたキャプションの説明や、動物たちとのたわいないやりとり。飼育員さん、動物たち、そしてそこに集う人々もみんな自然体で、そこに鳥羽湾からの爽やかな風が吹き抜けていた。
推しはラッコ!
なんてミーハー心でやってきたのに、すっかり他の子達にも惚れてしまった。いわゆるこれが、他担狩りというやつだろうか?
間違いなく、今もう一度行きたい水族館No.1だ。
そんな満たされた心でホテルに向かった私たちは、この夜容赦なく、魚介を食す。それはまた続きの話で。
<つづく>