ひとますHalloween🎃✨
あったかいスープが恋しい季節ですね。
皆さんいかがお過ごしでしょうか?
ついにやってきました、秋の大きなイベント!
✨Halloween✨
街の装いがオレンジ一色になった今。
ひとます雑貨家さんもハロウィンしますよ〜👻
…と意気込んだものの。
アイディアが浮かばず、なかなか作業は進みません。
「はぁ、どうしたものかなぁ〜」
ため息をついては、同じところばかり掃くお手伝いのらみちゃん。ゴミは減っても、心配事は増えてばかりです。
と、そこに。
「あら、らみちゃん。こんなところでどうしたの?」
声をかけてくれたのは、ラムお姉ちゃん。
昔からよく面倒を見てくれる近所のお姉ちゃんです。
「ひとます家のオーナーがね、なーんにも思い浮かばないんだって。」
「何にも?」
「そう、何にも」
「もう今週末がハロウィンだっていうのに。無理だ〜って言って、寝ちゃったり、どっか出かけたり。」
「ははは、そういうことあるよね。」
「あんな感じで、間に合うのかな?」
心配そうならみちゃんとは対照的に、楽しそうにラムちゃんは言います。
「大丈夫よ。みんなに楽しんでもらえること、ちゃーんと考えてるはず。」
うかない顔のらみちゃんをよそに、「じゃあ今週末、楽しみにしているね♪」とラムちゃん。
足取り軽くどこかへ行ってしまいました。
残されたらみちゃんは、また箒をにぎります。
心配ごとはなかなか減りません。
***
迎えたハロウィン当日。
直前になってようやく本気モードに入ったオーナー。「当日はゲストとして楽しんで欲しいから」とらみちゃんを追い出して、しばらくお店にこもりっきり。
中の様子は全くわかりません。
「太陽が真上にのぼるころ、お店に来てね♫」
と言ったオーナーの言葉通り、らみちゃんは太陽が真上に来る少し前に、おうちを出ました。
すれ違う街の人は、皆思い思いの仮装をして👻
街はキラキラ、ワクワク、ドキドキでいっぱいです。
お店に到着すると、外には1つのテーブル。
色んなお菓子がてんこ盛り🍫🍭🍪
ジュースや紅茶、コーヒーも並んでいます。
"さぁ、皆さん。
美味しいお菓子をたんと召し上がれ"
"今日はハロウィン🎃ひとますハロウィン♪"
"お菓子を食べないと悪戯しちゃうぞ"
いやいや。
お菓子をくれないと悪戯しちゃうぞ、でしょ?
思わずクスッと笑いながら、らみちゃんはお菓子の山から、チョコチップクッキーをひとつ取りました。
🍪🍪🍪
さて、お店の中はどうなっているのでしょうか?
期待を胸に扉を開けると、
そこは暗く怪しく、愉快な音楽が流れるおばけ達のパーティー会場👻…
ではなく。
そこは昼下がりの広場のような空間。
みんな思い思いに楽しんでいる声が聞こえてきます。
仲良しのくるみ姉妹は、ラムちゃんにそっくりな魔女さんに夢中の様子。
「ラムちゃんだ!」「ラムちゃんだね」
「かわいいね」「すごくかわいいね」
そこに本物のラムちゃんもやってきました。
Happy Halloween〜🎃✨
「わぁ、ラムちゃん!本物の魔女さんだ!」
「そう、今日はハロウィンだからね♫
ほぉら、魔法をかけちゃうぞ🪄」
いつもはお姉ちゃんのラムちゃんも、
今日は小さい子みたいにはしゃいでいます。
「そういえば、入った時からすごく気になってるんだけど、あのワンピース素敵じゃない?」
そういうラムちゃんの指差す方を見ると、
そこには可愛らしいワンピースが1つ。
わぁ…素敵…✨
思わずうっとりしていると、オーナーが奥からやってきました。
「2人ともようこそ!
このワンピース、気に入ってくれた?」
「うん、すっごくかわいい!」
大きな襟に、パフスリーブのワンピース。
赤いおさげがよく似合っています。
「これはね、オズの魔法使いのドロシーをイメージして、私がデザインしたの。」
職人さんが形にしてくれたというそのワンピース。
ハロウィンらしい茶目っ気のある可愛さがたっぷり詰まっています。
「ところでらみちゃん、気が付いた?」
「え、なにが?」
キョトンとしてると、オーナーが壁を指さします。
「あれ、まだ見てなかったかな?ほら、あそこあそこ!」
オーナーが指差すその先をみると…
なんとそこにはらみちゃんがいるではありませんか。
「え、わたし?らみちゃんだ!」
「わぁ本当だ、らみちゃんだ!かわいい〜💓」
額から飛び出したらみちゃん。
おててには金のかぼちゃを抱えています。
「らみちゃんいつも沢山お手伝いしてくれるから、
今日はサプライズで飾ってみたの✨」
「わぁ…嬉しい…」
よかったと、オーナーは胸を撫で下ろします。
なんせらみちゃんにバレないようにするのは大変でしたから😅
オーナーのことを心配していたらみちゃん。
今日はすっかり楽しんでくれたみたいです🐰
“ハロウィン、ハロウィン🎃
ひとますハロウィン♫
街は踊るよ、ハロ、ハロウィン♫"
楽しい時間はあっという間。
お日様はすっかり落ちてきて、街をハロウィン色に染めています。
ハロウィン、ハロウィン🎃
楽しいハロウィン♫
魔法が解けても、消えないよ、
楽しい時間は消えないよ♫
誰もいなくなったお店の前。
そう1人、口ずさみながら、オーナーは静かに看板を下げました。
【おしまい】
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