見出し画像

電車で異様にもたれかかってくる人を許してあげてほしい

 皆様きっと一度は、電車で異様にもたれかかってくる人を目撃したことがあるだろう。
 奴等は一様に口をあんぐりと開け、この世のものとは思えないブサイクな寝顔を披露しながら肩にもたれかかってくる。公共の場においてシンプルにマナー違反であり、実に不快で迷惑極まりない行為である。断罪されて然るべきだ。

 ここまで文章を打ち込んだところで、心が痛くなった。
 何故なら、私自身がブサイクフェイスで隣の人の肩にもたれかかる輩の一構成要素であり、かつ電車内睡眠の常習犯だからだ。
 かつては京王線の終電で乗り過ごして高尾にいたこともあったし、山手線を3周したこともある。浅草橋で働いていた頃、総武線に乗って新宿で降りるつもりのはずが寝過ごし、中野で折り返したことすら気付かず津田沼で目が覚めるという失態を2度犯したことがある。ここまでくると、きっと何らかの病気であろう。

 隣の人の肩にもたれかかることも数多あった。
 繰り返しもたれかかってくる私に嫌気が差した男性が、結構強めのエルボーをこめかみに食らわせてきたので、思わず舌打ちをして一触即発になったことがあった。
 酷いときは吊り革につかまり立ちしながら寝てしまい、前に座っていた人に幾度となく膝で攻撃してしまった。相手が怪訝な表情をしたのでこちらも睨み返したところ、ありえないほど険悪なムードになったこともあった。こう書いたら私、ただのヤバい奴じゃん。
 とにかく電車の乗り過ごし、または隣の人へのもたれかかりをカウントしたら、おそらく前科数十犯は下らないだろう。

「これだけ失敗を繰り返し、他人に迷惑をかけ、苦い経験をしているのなら、いい加減電車で寝るのを止められないものか」というご指摘、まぁ一理ある。
 だけど、これだけは強く言える。

 電車の中で眠る心地良さは、何物にも代えがたいぞ。

 しかし何故、電車の中で眠るという行為はあれほどまでに心地が良いものなのだろうか。
 脳のメカニズムによると、電車の揺れによって脳波が睡眠時の状態に近づき、眠くなってしまうとのこと。また電車の揺れは胎動に近いらしく、それ故に睡眠が誘発されるという説もある。
 そして短時間でも電車内で眠ることによって脳がリフレッシュされ、何事も結果を残す「できる人」になれる可能性もあるのだ。
 ほら、いいことずくめじゃないか。

 そうは言っても電車で隣の人にもたれかかる行為は相手に実害を与えてしまっているので、これからはもたれかかりを防ぐことを課題としながら、電車内ウトウトライフを満喫していきたいと思う。
 そしてあなたが誰かにもたれかかられた時は、できる人ができる人であるための必要経費を投じているのだと、寛大な心で受け入れていただきたい。

 それでは皆様も、レッツエンジョイ電車内ウトウト!!

いいなと思ったら応援しよう!