うちの擬人化QBと時女一族たちで「皇国の守護者」パロ
登場人物
久兵衛様
インキュベーター。この世界のインキュベータ―は人間に近い姿をしており、白い肌と髪、赤い瞳。そして、魔法少女やその素質を持つ者だけに見える耳と尻尾が特徴。無数にいる個体の一人で静香や ちはる と契約したのとは別の個体。肉体年齢は19歳(歳は人間と同じで普通にとる)。今回は、特別任務としてちはると涼子たち巫の指揮を執る。
広江ちはる
時女一族の《巫》(魔法少女)。新米だが、本家の娘である時女静香との仲は良好。幼いところが目立つが、正義感は厚く仲間想い。今回は、静香から特別に分家の巫たちの部たち長に任命され、久兵衛様の一人の指揮下に入り”Promised Blood”(以下P.B)の勢力圏に潜入する。
南涼子
時女一族のレギュラーの中では比較的に経験を積んでいる。今回は、その点を評価され部隊の先任下士官的な役回りとなる。
分家の巫たち
10名前後、(原作におけるモブキャラ)ちはる、涼子そして久兵衛の指揮下に入った時女一族分家の息女たち。原作と違い、時女一族は自分たちに最も協力的かつ信頼のおける一派と見なされ、神子柴の死後その傾向は強まった。久兵衛たちにより訓練されており、自動小銃(AKのクローン)や短機関銃(MP-5)で武装している。
本編
工匠区にて潜伏中のP.B本隊を発見するも、潜入が露見。迅速に離脱しなければならなかった。
広い通りに出た。工匠区から外との境界線となっている線路、その踏切を越えればこうh痩躯の外に出る。つまり、ここを突っ切ればP.Bの勢力圏を離脱できる。しかし、そううまくは行きそうにない。
通の真ん中には、樹里率いる追撃隊が先回りして待ち構えていた。
久兵衛「前方の路地まで走り抜るんだ、振り返るな!交戦は同胞を救う場合を除いて一切を禁ずる。いいね?」
ちはる達は「はい!」もしくは「了解」と小さく返事をするかもしくは頷いて理解したことをしめした。
「畜生!ふざけやがってっ」
閃光音響手榴弾の一撃から何とか立ち直ろうとしている樹里がふらつきながらもこちらに火炎放射器を向けた。
彼女以外にも、同じように立ち直ろうとしているP.Bの魔法少女たちの姿が見えた。
数は五人ほど、頭を押さえながら樹里は命じた。
「追え!ぜってぇ逃がすんじゃねえぞっ!!」
返事をする間もなく、5人は飛び出した。
久兵衛は一瞬振り返って追撃を確認した。そしてもう一度、前を見る。踏切まであと34.5m魔法処女の脚力で全力疾走すれば一気に離脱できる。
妨害さえなければ一気に。
キュゥべぇはその場で足を止めたかと思うと、カラシニコフの槓桿を引き薬室に7.62mm×39弾を装填した。
そして反転。
「久兵衛様!?」
様子がおかしいことに気付いたちはるが声を上げた。
全員がそれにつられて足を止め、振り返る。
『止まるな』
そう一言テレパシーで全員に呼びかけるとともに一人のインキュベーターは駆けだした。
一般的な人間の感覚で見るならばこの行為は客観的に見てもある種の勇気のと自己犠牲の発露と見なせるだろう。しかし、当のキュゥべぇにはそのようなものは一かけらも無かった。すべては自己という個体すらも一種の消耗品と考える極度の合理主義に基づく判断の結果だった。
もし、このまま彼女らがP.Bに補足されれば確実に今ここでソウルジェムを砕かれる。将来魔女を産む可能性を持つちはる達を失うことは極めて非合理的であり、避けなければならない結果だ。
もちろん、真に合理的なのは全てを運に任せて自分一人が離脱することだろう。ちはる達が欠けても、魔法少女はいくらでもいる。彼女らが死んでも今目の前にいるP.Bに魔女を産んでもらえばいい。むしろ、P.Bを抹殺することこそ合理性に欠ける。何もかも放っておけばいいのだ。
しかし、それはできない相談だった。
鹿目まどかの願いは、僕たちに人の肉体と魔法少女を救う使命を与えることだった。
文字通りに解釈するならば、僕らは魔法少女と争うことは出来ない。本能的に契約を守ることは絶対だ。しかし、有史においてその例外もあった。
フランスの魔法少女にして王妃イザベルの暴走がそれだ。
だが、それでも僕らが指名から解放されることは無かった。何が違うのか?最近になって契約に際してその願いの真意やニュアンスを理解できるようになってきた。
自分がまどかと契約した時間軸、その時間軸における運命の日より数日前、インキュベーターと人類の歴史を知った彼女はこう言った。
『皆な裏切られたの!あなたを信じていたのに!』
要は、魔法少女たちが自分たちインキュベーターに寄せた信頼もしくは信仰を裏切りさえしなければいいのだ。魔法少女たちの信頼に対し。自分たちは彼女らに自分たちなりの誠意を示し続ければいい。もちろん、信頼に応えているかどうかは主観によるので、場合によってP.Bのように一方的に「裏切られた」と見なされることがある。どういうわけか最近はそうしたケースが多い。むしろマジョリティとなった。
しかし、今インキュベータ―に協力している時女一族は現在ではかなり少数派の高度な信頼を寄せてくれる魔法少女たちだ。当然、契約上裏切るわけにはいかず、そうした条件を考慮すると彼女らを見捨てるよりも、ここは勝手な主観で自分たちを《敵》とみなしすでに察処分が決定済みのP.Bを相手する方が理にかなっている。
ここで戦っても勝ち目はない、自分という個体はここで死ぬだろう。しかし、それが何だというのだろうか?人間は一人一人が自我を持ち、それ故にその喪失=《死》として恐れる。
だが自分たちインキュベーターは意志を持たない端末に過ぎない。そんな自分たちにとって全体の統一意識こそが一つの《自我》であり1個体の死が自我の消失を意味するわけでは無い。
もともと、感情を持たない自分たちは『恐怖』を感じない。
また、ここで自分が死ぬことは決して無意味に殺されることを意味しない。
将来有望な《魔女》を産むであろう魔法少女たちを安全に離脱させられるのだ。実に体のいい勘定ではないか。