IDタグ(コンマギ/魔法少女規制法)
魔法少女は登録された段階で体内に、日本国内各所に設置されたセンサーに反応するIDタグを埋め込まれる。このシステムは本来、富裕層の飼い主が、自分の飼っている犬や猫に埋め込み迷子になっても探しやすくするためのものだった。
人間に使われたのは、魔法少女が初めてだ。魔法少女の存在が知られる前は重犯罪刑務所の囚人に埋め込まれることが検討されていたが、人権問題に発展し反対が殺到した。しかし、魔法少女に関してはこれがスムーズにいったのである。
魔法少女の中にはこの処置を嫌がる者もいる、むしろ大半は嫌悪感を示すが最終的には納得して受け入れてしまうのだ。理由は簡単、彼女たちは多くの人や大人たちに自分の存在もしくは生存を把握していてほしいと感じているからである。魔法少女は実質孤独だった。その存在が周知された今でも変わらない。彼女らの理解者はほとんどが同じ魔法少女同士であり、例え戦いの中で死んでも、その生存や末路を知る者は限られてくる。
IDタグを埋め込まれていれば、最後にどこにいて、どこで行方が途絶えたか=すなわち、どこで戦って死んだかを把握してもらえるのだ。
魔女の存在が明らかになっても、普通の人間はその存在を認識できない以上、人々はそれに対して無関心だ。そんな状況でIDタグを埋め込まれるのは魔法少女たちが数少ない社会とのつながりを文字通り、体に刻み込む手段だった。