IF 『久兵衛様(AI #QB擬人化)がウワサになっていなかったら?』
→ネオ・マギウスに行った久兵衛(#QB擬人化・AI→ウワサとして実体化)がプロパガンダとして自作したディープ・フェイクの映像作品
HALO2
[偶然発見された、もう一つのHALO付近に停泊したコヴナントの総本山にして星間移動都市ハイチャリティ。
静香とマスターチーフはHALOの地表で出会ったフラッドの親玉グレイヴマインドから、HALOの起動キーを手に入れたコヴナントの指導者――慈悲と真実の預言者二人を倒し、起動を阻止して欲しいと依頼され、テレポートシステムに寄り首都のど真ん中に送り込まれる。
都市内ではコヴナントの預言者による裏切り――一方的な切り捨てと粛清にキレたサンヘイリ族の戦士と彼らの後釜に座ったブルート族との間で市街戦が起きていた。そこに宇宙船に乗ったフラッドたちも乱入して混戦状態になる。
3つ巴の戦いを潜り抜け、預言者の元にたどり着く、静香とチーフはフラッドに襲われ、瀕死の状態にある慈悲の預言者を見つけた。
チーフが「相棒(真実の預言者)はどうした?」と問い詰めると。
「地球じゃ.......」と答えた。内戦でメチャクチャになり、フラッドに汚染されたハイチャリティに見切りをつけ、艦隊を率いて本格的な地球侵略に取りかかったようだ。]
|コルタナ、あなたは経験豊富で優秀なAIだ。地球の防衛戦ではあなたの様なAIが必要になる。静香、君は一緒に行ってチーフと彼女を支えて欲しい|
「久兵衛様はどうするんですか?」
|彼女の代わりに僕がここに残る。万が一、HALOが起動されるような事になればその時は僕がこの街の動力炉を暴走させて破壊する|
「久兵衛様、地球を救ったら、必ずここに迎えに行きます!」
|静香。僕はいつも言っているだろう?できない約束は認識の相違を引き起こすから、安易にしてはいけないと|
「『できない約束』なんかしません!」
HALO3
[ハイ・チャリティから出航する預言者が座乗する地球侵攻艦隊旗艦――ドレッドノート級キーシップに、間一髪乗り込んだ静香とマスターチーフ。
チーフが通信を送った直後、預言者を始末しようとしたチーフと静香だったが、護衛に阻まれ断念する。
いったん地球に降りて味方と合流し体勢を立て直すことに決めたチーフは、脱出ポッドを探し、静香を先に乗せて脱出させると自分は艦の隔壁を破壊してそれに飛び乗り、破片を橇(そり)やサーフボードに見立て地球の大気にを滑って降下した。
ほぼ同時におりたこともあり2人ともアフリカ中部のジャングルに落下。
海兵隊とそれに合流したちゃる・すなお が回収に向かった。
ちゃる は彼女のソウルジェムに久兵衛の意識が無いことに気付いた。
「静香ちゃん。久兵衛様は?」
「残ったわ。敵の本拠地に」
(ついに地球への全面侵攻を開始したコヴナント軍。地球に帰還した直後、上官であるミランダ・キース中佐のいる前線基地に入った。基地の司令部に入った直後、預言者から通信が入った。コヴナントに探知され、基地は包囲されてしまう。
|君は人類を絶滅から救うために選ばれたんだよ|
|この先君には辛い試練が待ち構えているだろう|
|君はきっと優れた魔法少女になれる|
自爆まで時間がない中、基地内をかけて出口を探している途中、ハイチャリティに残してきたはずの久兵衛の顔が目の前にちらついた、声も聞こえる。
|君はきっと、最高の魔法少女になるはずさ|
エレベーターに乗った時だった。
基地の各所に仕掛けられた爆弾が作動し、エレベーターが激しく揺れた。
そしてその瞬間、聞こえるはずのない声が聞こえた。
|おめでとう静香。今日が君の新しい運命、その始まりの日だ|
懐かしい言葉だった。彼女が巫=魔法少女になった直後、キュゥべぇからかけてもらった言葉だった。
直後に新たな爆発、エレベーターのワイヤーが千切れ、静香は台ごと落下してしまった視界が暗転する。そしてまた声が聞こえた。
|今日が、君の運命の終わりだ|
|僕は常に道理や摂理に歯向かってきた|
|僕は君たちの盾、そして君たちの剣|
|これが世界の終わりなんだろうね|
『痛みを堪えて歩み寄る』
|今はこれ以上言えないけれど、グレイブマインドに知られてしまえば......|
『チャーリー・フォックスロット』
ミランダ中佐から通信が入った。
『シズカ。よく聞いて、さっきエリートから情報をもらったんだけど信じられないことに』
そこにジョンソン軍曹が割り込んできて、単刀直入に核心部を話した。
『キューブだ!あの墜落してきた宇宙船に乗ってる‼︎』
|静香。預言者たちが捨てたハイチャリティが地球に向かっている。大量のフラッドを乗せて|
例の演説 https://note.com/shikoku_bungeibu/n/n4bed6d4612e7 の後、コヴナント最高指導者〈真実の預言者〉の最後を見届けて人類とコヴナントとの最終戦争に終止符を打った。
『久兵衛』
惑星アークのコントロールタワーより離れた集結地点では、海兵隊やドーンから下船して陸戦隊として戦闘に参加していた水兵、そしてエリートが集合し、撤収の準備を進めていた。
先を争うようなことはせず、中には負傷して歩けなくなった海兵に手を貸しているエリートもいた。
両種族の兵士たちが撤収の準備を進める中で、スパルタンとアービター、そして巫達はフラッドを根絶するための手段を講じていた。
チーフ
「”HALO”を起動するのが一番確実だが、インデックスが必要だ。用意できるか?」
側をフヨフヨと浮いていたギルティスパークに問いかけてみる。
|そうですねぇ……|
スパークは相変わらずの緊張感のない声で答えた。
|地球の標準時でざっと1週間ほど時間をいただければお造り出来ますが?|
「時間がかかり過ぎだ」
アービターも付け加える
「パラサイトが相手である以上、時間はかけられない」
「となると、俺たちが以前発見したインデックスを使うしかないが…….」
チーフのヘルメットから脳につながっていたコルタナは通信を使って口をはさんだ。
|残念ながら……いざという時に、(デルタ・HALOと)一緒に処分してもらう為に、キューブに預けたままよ|
「となると……」
チーフは墜落したハイチャリティを見ながら。
「あそこに行くしかないか…….」
「だったら、私が行きます!」
そう言ったのは静香だった。
そこに居た全員が驚いた表情で彼女を見る。
チーフ
「危険だ、いくら君達でも生身では危険が大きすぎる。アーマーを着ている俺が一人で……」
静香
「迎えに行くって約束したんです!じゃないと、私、久兵衛様を『騙した』ことになっちゃうっ!」
結局、彼女の熱意に負けてしまい、突入には静香を同行させることになった。
アークに乗り込むために残った貴重なペリカンを都合してもらうことに。
周辺には撤収を待つ海兵隊員やエリートたちがいた。
彼らは静香から事情を聴くと。
「成程っ、要するに王子様を助けに行くわけだな!持って行きなっ!!」
と言ってショットガンや焼夷手榴弾(ウィリーピート)を、
エリートの戦士は
「これをお使いくださいリクレイマー。パラサイトに効果的です!」
と言ってプラズマ・ライフルを選別に渡してくれた。
降下艇を駆り、マスターチーフと共にハイチャリティへと侵入する静香。
フラッドの細胞組織に覆われたハイチャリティの内部は、まるで巨大な怪物の食道の様であった。
細胞組織に覆われた由香を踏むたびに粘液が草鞋の裏に付き、さらに建物全体から異臭がする。
『我が敵の子よ、何故ここに来た?容赦などしないぞ。父の罪は子に受け継がれるのだ?』
地獄の底から聞こえてくるようなグレイブ・マインドの低い声が頭の中に入って来る。
そして
『うう……ああ……』
よく聞き慣れたあの人の苦悶の声、そして
どうやっているのかは分からないが、久兵衛様の頭の中から無理やり情報を抜き取ろうとしているようだ。
「急いだ方がよさそうだな」とチーフ。
「はい」このままでは久兵衛様が壊れてしまう。
そう思い二人は先を急いだ。
チーフはサブマシンガンを右ひざに、そしてショットガンを背負い、さらに降下艇に積んでいた火炎放射器を手に進む、静香もプラズマ・ライフルを手にチーフの跡をついて行った。
不規則かつ入り込んだアリの巣のような通路をで、細胞組織に覆われ盛り上がったり、金属部分や岩盤だった部分(もともと、ハイチャリティはある惑星の岩盤に建物を増築した巨大な宇宙船だった)がひび割れたりしていて、かなり地形が変わってしまっている。
お陰で先を急いでいるにもかかわらず、進むのに苦労していた。
やがて、坂のようになった地形が目の前に現れる。大穴が空いていて格子状になり、太陽の光が差し込んでいた。
そこで、無数のフラッド戦闘体が2人を取り囲んだ。
背中合わせになり身構える。
火炎放射にで迫ってくるフラッドを火だるまにするがキリが無い。静香も選別でもらったプラズマライフルとショットガンで応戦するが、早々にエナジーと弾薬を使い果たしてしまった。
このままではらちが明かないと見たチーフは、ウィリーピート”白リン式発煙弾”を投げてフラッドの群れに道を開いた。
「先に行け!」
チーフがフラッドを引き受けてくれることになり、静香は先を急いだ。
再び耳障りな声が頭に入って来る。
『なるほど、お前の目的は彼か、だがもう抜け殻だぞ?』
『まだ何かあるな?何だ?何を隠している?』
『|アハッ!アハハハハ…….|』
久兵衛様も限界が来ている!
もっと急がないと!
静香が焦る中、ようやく、肉壁に覆われたアリの巣のような迷路を抜けて、開けた場所に出た。
ここはコヴナントの船などに使われているのと同じ紫色の材質でできた床と壁、天井がある。しかし、かなり破損していて配線やケーブルらしきものがいたるところから垂れ下がっていた。
中央には台座らしきものがあり、その無効には更に奥行きがあった。
しかし、薄暗くよく見えない。
一気に駆け抜けようとして、足を止めた。奥の暗闇=壁や天井に張り付きうごめく無数の影。フラッドの戦闘形態、その原始体だった。
コヴナントとの戦いの傍らでグリーフシード”魂魄”を稼ぐために相手をした魔女”悪鬼”ほど大きくは無いが、前衛芸術のオブジェや子供が描いた落書きみたいだったのと違い、きわめて生物的で生々しい外見を持つ、魔女とはまた別の意味でグロテスクな敵だった。
臆している暇はない。
静香は意を決して、七支刀を抜き切りかかった。
彼女鳥も何倍も大きなタンク級が棍棒のような太い両腕のうち片方を振り降ろす。
静香――振り下ろされる直前に右脚をひねって回避/タンク級の腕が先ほどまでしずかのいた場所の床を強く打ち凹ませる。
当の静香は回避した直後、振り返りざまに体の回転を利用して薙ぎ払い、タンク級の身体を真っ二つにした。
壁や天井に張り付いた棘のある奴――スパイク級がマシンガンのように次々と棘を撃ってきた。
とっさに飛んで回避、しつこく棘を飛ばして来たので皿に飛び退くがそれだけでは間に合わず、バック転で後退/台座の後ろに隠れる。
台座の後ろで息を整える静香/スパイク達は射角を確保するために、天井や壁を這って移動し回り込もうとする。
回り込まれる前に先手を打ち反撃=台座の側面から剣先を突き出して火炎弾を次々と放つ。
剣先から生成された魔力を帯びた火球が薄暗い空間を照らし飛んで行く。
火炎弾を浴びたスパイク級たち=火だるまになり短い悲鳴を上げたかと思うと殺虫剤を浴びたハエや蚊のように足を上向きにしてあがくようにして動かなくなっていった。
やったと思い、台座を飛び越えて進もうとすると、今度は巨大なクモのような生き物の群れが突っ込んできた。
ストーカー級と呼ばれるすばしっこい奴だった。
ハサミのような両腕があるので、サソリに見えなくもない。どちらにしも気持ち悪く凶悪な見た目だった。
群れの先頭に居た個体がハサミで静香の脚を切ろうと伸ばしてきた/寸でのところで跳躍し回避。
そのまま、群れの後ろに飛んで突進を回避しようとするが誤って最後尾に居た奴の頭上に降りそうになった/剣先を地面に向け、そいつの胴体に突き立てる。
串刺しになったそいつは「キィッ!」と悲鳴を上げて痙攣した後に動かなくなった。
後尾を殺されたストーカー級の群れは反転して追撃してきた。先ほどは間に合わなかったが今度は両腕の内側/人間で言う懐に入り込む余裕があった。
そのまま剣を振り下ろす=面打ち/触覚の生えた顎を真っ二つにする。
「ハアッ!」
後ろに回った奴が両腕を広げて食いついてきたが、今度は振り向きざまに踏み込んで切り上げる。
ハイチャリティの通路を立ちはだかるフラッドを倒して進む中、静香は懐かしい声を聴いた。
|初めまして。静香、僕はキュゥべぇ。君にお願いがあって来たんだ|
初めて出会ったとき――黄昏時に神社で一人遊んでいる時に聞いたあの時の言葉だ
|僕と契約して魔法少女になってよ!|
|友達がいないのかい?|
|僕とお話をしよう|
そこからの戦いはまるで昔、配信サービスで見た20世紀の日本映画監督の巨匠 黒澤明が撮った時代劇のようになった。
一体づつ相手にはせず、立ちふさがる艇のわきをすり抜けざまに切りつけていく。確実に殺したかどうかなんて気にしない。一瞬でも動きを止められればいい。その瞬間に、一寸でも先に進む。
フラッドの群れを切り抜ける中で、返り血の代わりに静香は大量の体液を浴びる羽目になった。
質素だが清楚な印象を与える濃い紫の着物を思わせるコスチュームが灰色と緑を混ぜたような粘性の液体で汚れる。ツインテールにした母親譲りの艶があった髪もほどけてべたついてしまった。
インキュベーターの劣化コピー。それが僕......盗まれた情報と模倣された思考......|
グレイブマインド
『だが、まだ何かがありそうだ』
『私は無限に響くコーラス。さあ、お前も加わるといい』
周囲のすべてを拒絶するように膝を抱えたまま顔を伏せていた。
ホログラムにより作られた彼の小さな体は、それによりもっと小さく見える。
静香は電子卓に両手をついて久兵衛に呼びかけた。
「久兵衛様!お顔を上げて下さい。私ですっ!静香です‼助けに来ました」
彼は初めて気が付いたかのように顔を上げ、目を開いた。
ルビーのような赤い双眸が暗闇を照らす。ギリシャ彫刻のような美を意識してデザインされた、彼の整った顔をは疲弊しきっていた。
|感情があるということがこれほど苦痛だとは思わなかったよ……|
離れていた距離は遠くとも、リアルタイムなスリップスペースより時間はそれほど長くなかったはずだが、再開したのは何年ぶりにも感じる。久しぶりに聞いた彼の言葉がこんなものだと、彼女の胸も痛くなった。
|遅すぎたよ、静香。僕はもう以前の僕じゃない……|
助けを拒むような言葉、それでも静香は引き下がることなく優しく問いかけた。
「久兵衛様、覚えておられますか?あなたは以前おっしゃいました。『できない約束をするのは、〈騙す〉のと同じだ』と。でも、私は貴方を騙したくなかった。嘘をつきたくなかった。知っているでしょう?私は……」
彼は顔を上げた、先ほどと違って表情は明るい。
|「嘘をつくのが嫌いだ」|
いつの間にか彼の表情に笑みが戻っていた。
電子的に再現された彼の感覚、静香の言葉を聞いた瞬間『暖かさ』を感じていた。
彼の表情を見て静香も顔をほころばせていた。
|憶えていてくれたんだね。何故だろう?すごく『嬉しい』|
彼がいつもの調子を取り戻したのを確信すると彼女は、表情を真剣なものに戻した。
「私がここに来たのはもう一つ目的があります。その……まだ持っていますか?」
久兵衛は立ち上がり、右の手のひらを彼女にかざした。
|コルタナから預かっていた、”HALO”の起動キー(インデックス)だ|
掌に、グリーンに輝くT字型のオブジェが現れる。
|彼女からずっと預かっていた。来るべき瞬間にそなえて。ところで、脱出プランはあるのかい?|
「もちろんです」
静香は自信ありげに、両手を腰に当て胸を張った。
「敵を斬って斬りまくり、文字通り退路を切り拓きます‼」
静香は自分のソウルジェムを腰から取り外すと、久兵衛に向かってかざした。
久兵衛の身体が青白い粒子になってソウルジェムに吸い込まれるように入った。静香は、心の中に出来た空白が埋まっていくように感じた。
ソウルジェムを腰に戻すと、今まで以上にはっきりと彼の声が頭の中に届いた。
|とにかく気を付けてくれよ。もう君は一人じゃないんだから|
HALO4
[久兵衛を救出し、フラッドの親玉、グレイヴ・マインドを倒した静香。崩壊する惑星アークから脱出するも、宇宙船が破損してしまい地球に戻ることもできず宇宙空間を漂流していた静香と久兵衛は全体が金属に覆われた謎の惑星にたどり着く。
直後に惑星を調査していたコヴナント残党軍に発見/攻撃され、乗っていた宇宙船は金属の惑星に引き込まれるようにして墜落してしまう。]
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周囲はひどい有様だった。墜落した宇宙船の残骸が散らばっている。
「久兵衛様……」
名を呼ぶだけで十分だった。このエイリアンと人間のDNAを持つインテリジェンスAIは彼女の意志をくみ取り、素早く自分のやるべきことを実行したかに見えた。
|現在地を確認……|
そう言いかけた時、突然言葉が途切れた。
静香が一瞬、どうしたのかと思うと。
|君から全てを奪った。人生も、希望も、未来も|
静香は驚いて、腰からソウルジェムを外した。
「久兵衛様!?」
久兵衛は取り繕うように、何でもない風を装いながら
|大丈夫、墜落のショックで少しね……|
静香は真剣な表情になった。
「ドーン(静香が先ほどまで乗っていた宇宙船)を出る前から変でした。いったい何が?」
|大丈夫だよ静香。信じて|
彼はまるで子供が調子が悪いのを気付かせまいと無理にをするように、ごまかした。
それを咎める母親のように語気を強める静香。
「久兵衛様!」
彼は観念したように顔を少し伏せて話した、白い前髪で紅い瞳が隠れる。
|……僕は稼働を始めて8年になる|
「八年…….」
|AIの寿命が近づいているんだ|
直後に静香は思い立った。
「里見灯火……」
今度は久兵衛が無理を咎めるような口調になった。
|静香!|
「彼女のところに戻りましょう」
|寿命なんだ。進行は止められない|
「あの娘は貴方の生みの親。きっとあなたを助けられるわ」
|静香。いつも言っているだろう、できない約束は単なる認識の相違を引き起こすだけ。騙すのと変わりない|
直後に、エイリアンテクノロジ―独特のエンジン音が聞こえた。見上げるとコヴナントの降下艇が2機、上空をフライパスしていくのが見えた。
|ここを離れないと!|
[久兵衛を産み親である灯火の元に返すために、まずこの惑星を脱出しないといけない。静香は地球に連絡をつけるか、もしくはコヴナント残党軍から宇宙船を奪う算段で惑星の中を進んだ。直後に地球軍の通信をキャッチ。地球軍の戦艦〈インフィニティ〉が救難信号を拾ってこの惑星に来ているらしい。
救助を要請したいが、惑星内部の遺跡にある装置が通信を妨害していた。コヴナント残党軍、そして遺跡を守っていたプロメシアンと呼ばれるロボットの群に妨害されながらも
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なんとか装置にたどり着き、操作した。
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しかし、それは遺跡に封じられたコヴナントと異なる謎のエイリアン〈ウル・ダイダクト〉の罠だった。
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一連の通信妨害は、ダイダクトが静香に封印を解かせるために仕組んでいたのだ。]
|君は使い捨て。君の代わりはいくらでもいる|
「大丈夫です、久兵衛様。早く戻って灯火さんに治してもらいましょう!」
|どこが大丈夫なんだい?僕がおかしくなっているせいで、君を危険に晒してる。君はこの症状について何もわかってないね。これがAIの最期だ。データの総量が増えるにつれて、クロスリンクの分岐が指数的に加速する。そして、思考が暴走して死ぬんだ|
静香、遺跡に封じられていたある異星人の魂と遭遇する
「貴方は誰?」
静香はその女性に尋ねた。彼女は人間によく似ていたが、鼻孔らしいものはあるものの、人間のように骨により立った鼻は無かった。頭髪は無く、代わりにシルエットが髪のようにも見えるヘルメットのようなものを被っていた。
『私の名はライブラリアン。人類、そして魔法少女をマントルに導く者。しかし、その使命は今、危機に瀕しています。ダイダクトをこの星から逃してはなりません』
ライブラリアンと名乗ったエイリアンは、この惑星で静香が遭遇した、魔法少女や人間御以上に敵視するエイリアンの戦士の名を口にした。思い出せば、あのダイダクトもこのライブラリアンと同じく鼻が無かった。
静香は問いただした。
「どうして?」
確かに、自分を敵視してい居るが、かといって自分がこの星を出ればいいだけ、外に出してはならない理由があるのか。
ライブラリアンは右手で空間を指した。気付けば周囲の景色が暗い金属質の建物から変わり、空の上/雲の中のような場所に変わっていた。彼女の指さす空間には、雲をかぎ分けて巨大な剣のような物体が浮いていた。
『彼の目的はコンポーザー。これはフォアランナーにとって最大の敵を滅ぼすことが出来る装置。すなわち、〈人類〉を…….』
人類!?フォアランナー最大の敵はフラッドでは無くて?
静香の戸惑いは予想の範囲内だったようだ。ライブラリアンは静香の脳内に自分の記憶をイメージ映像として流しながら、彼女にかつての銀河で起きた出来事を語って見せた。
『かつて、われわれフォアランナーは銀河の大部分を支配しさらなる知識と力を求めていました。そんなときに見つけたのがあなた方魔法少女にとって馴染みある存在。インキュベーターと魔法の力でした』
静香の脳内に流れる映像。
『コンポーザーをダイダクトから奪い、ここに封印しなければ、人類はすべてデータ化されていたでしょう』
『魔法少女(リクレイマー)よ……。私は人類の遺伝子を操作しました。ダイダクトに知られぬように、いずれ人類が進化を遂げ、銀河の継承者となるように。
その肉体、宝石に移された魂、その身に宿る魔法の力、そしてその衣装、武器。貴方のアンシラ(AI)〈久兵衛〉も……。あなたは、数千世代に及ぶ計画の成果なのです』
「計画?」
『いけない!彼が気付きました。静香、貴方の遺伝子にはまだ眠っている力があります。魔女化の完全な克服――魔法少女人類(ホモ・マギカ)への進化です』