陽月菜稚(ヒヅキナチ)

ナチにはヘイハチという弟がいた。

ナチは弟に過干渉で執着していた。この点においては、同じく弟に執着していたアルスに似ているが、執着の性質は異なる。
アルスが双子の弟を自己と同一視していたのに対し、ナチは、自分より格下の、か弱い存在を支配することによる優越感に浸りたいが故の執着であった。

ナチが弟に執着するようになった原因は、幼少期の虐待にある。ナチは小さい頃から親とその従者から虐待を受けていて、自尊心を踏みにじられていた。
しかし、ある時弟を虐待から庇った時、ナチは自身の自尊心が満たされていくのを感じ、弟を保護することに執着する様になったが、それに嫌気がさした弟は、ある日家を飛び出した。

ナチはその日以降、胸に空いた穴を埋めるように家(カルト教団)が行う研究に没頭する様になる。研究内容は、科学的に解脱をする技術の開発である。

それからしばらく経って、研究員の男と恋に落ち、双子の子供を産む。その子らがアルスとホロである。

幸福の道を辿り始めたかに思えたが、ある時、「ご神託」によって教祖の従者らが死亡した。その中には夫がいた。

神託の内容は、ナチの双子の子を生贄にし、信者を集団解脱させるというものだったが、これが夫を生き返らせることにつながると考えたナチは、率先して神託に従うことになる。

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