式森 SHIKIMORI

▶式森といいます。不思議な小説や写真を記録しております。 ■

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  • ▶小説の記録

    〈電話機〉で聞いた話を小説や詩に書き換え、この記録にまとめております。

  • ▶写真の記録

    〈電話機〉の横のFAXにも不思議な写真が送られてくるようになったため、 記録としてまとめておきます。題名はわたしが勝手につけております。

最近の記事

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▶【短編小説】 色彩侵蝕症

1.診断 “……色彩侵蝕症ですね” 医者の熊谷は宮内まりの眼球を照らすのを止め、喉を鈍く震わせた低音の声で言った。 “色彩侵蝕症……?初めて聞きました。それはどういった病気なんでしょうか?” 宮内まりの身体は椅子に座ったまま硬直していた。 “言葉通りの病気です。あなたの視界が徐々にとある色に侵蝕されていくんです” “とある色というのは、この視界の隅に映っている肌色ということでしょうか?” “宮内さんの場合はそういうことになります。ただし、何色によって視界が侵蝕

    • 【写真】 灰色の遠近法

      • ▶【短編小説】 もしかして:

        もしかして: 橋本大也という彼の名前はそれほど珍しくない。 世間には橋本大也という名前の人間がきっと何百人かぐらい存在しているはずだ。そして他の橋本大也もそれぞれの生活を謳歌しているだろう。 だから、彼がふと自分の名前でエゴサーチをしようと思ったのも、それほど深い理由があるわけではない。単なる思いつきだ。 この世界で生活している他の橋本大也がどんな風な人間なのか少し知りたかったのである。 彼は大学から帰宅すると、部屋の明かりをつけ、ベッドに寝転がりスマホをポケットから取

        • 【写真】 daily life

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        ▶【短編小説】 色彩侵蝕症

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          27本
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          16本

        記事

          ▶【短編小説】 銃、標識、違反者

          “これは去年とある街で起こった話です……。人伝いに聞いた話なんですが――” ① 知らない標識 それは唐突だった。 その日の朝、起床すると通勤のためにいつも通り身支度を整え、外に出て自転車を置いてある駐輪場へ向かった。 朝の淡い光と秋の始まりのやや乾いた空気にまつ毛が怯えてしまったため、私は目を細めながら歩いた。 そして駐輪場の前に着くと、 昨日まではなかった標識が立っているのを発見した。 新品の傷一つない標識には「駐輪禁止」と書かれてあった。 その標識の有効範囲

          ▶【短編小説】 銃、標識、違反者

          ▶【短編小説】 変化盲

          “私は変わってしまったのでしょうか……” と、彼は言った。 1.帰宅すると、妻は別人になっていた。 いや、全くの別人がその日から妻になっていたのかもしれない。 私はそのとき、動揺を隠しきれずに言い放った。 “っ!だ、誰ですか?” 唾が前方に飛び散り、身体の重心は後ろに移動した。視点は低くなり、尻に強い衝撃が走った。 妻は廊下の奥へと逃げていた。そしてこう言った。 “あ、あなたこそ、どちら様ですか?” その声は分かりやすく震えていた。 彼女は携帯電話をポケットから

          ▶【短編小説】 変化盲

          【写真】 ᗰᗩIᗰᗩI

          【写真】 ᗰᗩIᗰᗩI

          ▶【短編小説】 華氏1832度

          近所の住宅で火事が起きました。 火の粉と黒い煙が夜空へと舞い上がっていました。 私はためらいもなく例の赤い薬を飲み、窓ぎわで静かに炎を眺めておりました。 サイレンが私の体内で鳴り始めました。 窓の向こうでは炎がさらに勢いを増し、容赦なく建物を包み込んでいました。 どうやらその家は全焼したとのことです。 私の体も無事に全部燃えたかな。 ■ 【record.20】

          ▶【短編小説】 華氏1832度

          【写真】 電柱の生態

          【写真】 電柱の生態

          ▶【短編小説】 友人は電気たくあんの夢を見るか?

          ▶同窓会 大学2年生の夏休みに高校の同窓会の連絡が来た。 大学に進学してから、だいたいの高校時代の友人とはめっきり会わなくなってしまった。 おれが地元から上京して大学に行ってしまったせいもあり、帰省したとしても実際に会うのはせいぜい片手で数える程度の数の友だちだ。 おれは久しぶりに話してみたい同級生もいたため、特に深く考えることもなく出席すると幹事の山崎に伝えた。 それから冬になり、おれは地元に帰省した。 同窓会当日は多少そわそわした気持ちで迎えることとなった。

          ▶【短編小説】 友人は電気たくあんの夢を見るか?

          【写真】 青は幼すぎました

          【写真】 青は幼すぎました

          【写真】 宝石

          【写真】 宝石

          ▶【短編小説】 桃の侵略

          “僕はもう駄目かもしれません……僕の生活は桃に支配されているんです……” と、彼は言いました。 ▶まず速やかに水道が侵された  いつもの朝と同じように、彼はベッドから起き上がり、不器用なタップを踏みながら、キッチンシンクの前に立った。 浄水器を装着させられた蛇口をひねり、水を絞り出す。透き通った水の柱がぬるりと這い出てきて、シンクに打ちつけられると砕けていった。 何の変哲もない光景だ。 ガラスコップに水を入れ、思いっきり飲み干そうとする。 だが、彼は意識と無意識のは

          ▶【短編小説】 桃の侵略

          【写真】 光と影

          【写真】 光と影

          ▶【自己紹介】 わたしってだれ?

          はじめまして、わたしは式森といいます。 普段は、小説や詩、写真などを載せています。  今回はこのクリエイターについて簡単な自己紹介を行おうと思います。 結論から言いますと、 わたしは〈電話機〉で聞いた話やFAXに送られてくる写真を記録として残すためにこのページを開いています。 しかし、これだけでは何を言っているのかさっぱり分かりません。 ですので、〈電話機〉についての回想に、少しばかり付き合っていただきたいのです。 そして、〈電話機〉の記録の中に、あなたにとっての

          ▶【自己紹介】 わたしってだれ?

          ▶鏡恐怖症とは鏡に映る自分を怖がったり、鏡に何か映ってはいけないものが映ってしまうのではないかと不安を感じたりすることらしいです。 鏡の世界は現実世界の模倣ではなく、新しく作り出された別の世界です。その世界にわたしたちの知らないものが映っていても何もおかしくはないのでしょうね。■

          ▶鏡恐怖症とは鏡に映る自分を怖がったり、鏡に何か映ってはいけないものが映ってしまうのではないかと不安を感じたりすることらしいです。 鏡の世界は現実世界の模倣ではなく、新しく作り出された別の世界です。その世界にわたしたちの知らないものが映っていても何もおかしくはないのでしょうね。■