京都府の田舎住み女会社員。 元オタク、というか今も若干足は突っ込んでいる。 16パーソ…

京都府の田舎住み女会社員。 元オタク、というか今も若干足は突っ込んでいる。 16パーソナリティ性格タイプ:論理学者 (INTP-A) 読書と猫をこよなく愛する。

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自己紹介|はじめてのnote

初めまして。 樒【シキミ】と申します。 noteの記事は閲覧や購入を時折していたのですが、投稿をするのは初めてとなります。 学生時代、HPやブログで書き手(と言っても若気の至りだったのでしょうもないレベル)をしていたのですが、就職して早十数年経った今は読み手に回ることすら出来ていませんでした。 ただコロナ禍に突入し、しかも勤め先がもろにダメージを受ける業種だったこともあり、余った時間で何かすることはないかと考えていると、ふと趣味であった読書を再開しようと思い立ちました。

    • 【読書感想文】殺人勤務医/大石圭 ※ネタバレ注意

      本日の読書感想文はこちら。 読む前からどす黒い雰囲気漂う大石さん節全開の作品。 慕われている医師に隠された過去と闇とは。 患者に寄り添う語り手の仕事は『合法的な殺人』 古河リョウは湘南の産婦人科病院に勤める医者。しかし彼が3年前から行っているのは、人工中絶の手術を一手に引き受けることでした。古河が『合法的な殺人』と称するように大変な仕事であり、同僚たちは誰もやりたがらないし、時には心無い言葉を掛けられることもある他、中絶反対派の人間に殺されそうになることも。しかし古河は

      • 【読書感想文】密室殺人ゲーム王手飛車取り/歌野晶午 ※ネタバレ注意

        本日の読書感想文はこちら。 AVチャット上に集まる人たち。 彼らがやっているのは、究極とも言える推理ゲームだった。 素性も知らぬ5人の人物。彼らが出し合うのは常識を逸脱した倫理観ゼロの推理クイズである AVチャットに集結した『頭狂人』『044APD』『axe』『ザンギャ君』『伴道全教授』というニックネームの5名。彼らは1人が出題者となり、他のメンバーが推理をするというゲームを行っています。 しかし、ただの推理クイズではありません。実は彼らが推理するのは、出題者が実際に行

        • 【読書感想文】倒錯のロンド/折原一 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 『叙述トリックの名手』として知られる折原さんの作品。 ぐるんぐるんにひっくり返されっぱなしの物語の遥か斜め上の真実とは。 推理小説家を志す男性が傑作と自負する【幻の女】 山本安雄は推理小説家を目指し、大きな目標として【月刊推理大賞】の受賞を掲げていた。これまで何度か応募していたものの落選続きで、今度こそはと意気込みも十分だった。【幻の女】というタイトルも決まっており、後はプロットを組み立て書き出すだけであった。 しかし、遅々として筆は進まず、

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        • 【読書感想文】殺人勤務医/大石圭 ※ネタバレ注意

        • 【読書感想文】密室殺人ゲーム王手飛車取り/歌野晶午 ※ネタバレ注意

        • 【読書感想文】倒錯のロンド/折原一 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】吐きたいほど愛してる。/新堂冬樹 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 ただの胸糞悪い話が詰め込まれた短編集。 本当にタイトル通りなので、食事前後でなくても読むのは細心の注意をお払いください。 ただただ、気分が悪くなる。人間の闇を惜しげもなく表現する4つの話 吐きたいなんて大袈裟な…と思う方は多いでしょうが、勇気を出して読めばわかります。決して誇張表現ではないということが。 新堂さんは感動するお話や純愛のお話も書いているのに、こういう胸糞悪いお話が何故こうも上手いのか。上手すぎて、想像したくないのに頭で勝手に映像

          【読書感想文】吐きたいほど愛してる。/新堂冬樹 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】悪魔のいる天国/星新一 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 ブラックユーモア多めの36編が収録されたショートショート集。 発展していく世界、その行く末は本当の天国ばかりではなさそうです。 現代にも通じるテーマも書かれた作品がずらり 星さんお得意のSFはもちろん、先ほども書いたブラックユーモアやちょっとしたホラーもあるバラエティ豊かな作品集。 その中でも好きな作品をピックアップします。 ◇合理主義者 エフ博士は、若くして優秀な金属学者だった。その反面、徹底した合理主義者であり、金属の研究以外にほとんど

          【読書感想文】悪魔のいる天国/星新一 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】かぎろいの島/緒音百 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 『最恐小説大賞』を受賞しているという、間違いなく面白いホラー作品。 九州の孤島に伝わる民話『異人殺し』に絡め取られた主人公の運命は。 小説家の青年の元に届いた手紙に書かれていたのは『陽炎島』という孤島の名前 主人公の津雲佳人は、処女作がヒットし映像化までされたベストセラー作家。しかし彼は天涯孤独の身で、母親の記憶はなく父親は割腹で自殺という壮絶な人生を送っていました。 ある日、編集者から手紙を受け取った佳人でしたが、その差出人は父親の姉・つま

          【読書感想文】かぎろいの島/緒音百 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】墓地を見おろす家/小池真理子 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 不穏な場所に囲まれた家を舞台にしたホラー作品。 あなたは、この家に住むと決意できますか? 都心の超優良物件は同時に闇も抱えた物件だった 加納家は妻の美沙緒と夫の哲平、娘の玉緒の三人家族。 日当たりの悪い家を引き払い、引っ越したマンションはかなりの優良物件。南向き、8階建てで1フロア2部屋のみ、築8ヶ月、最寄り駅まで徒歩約7,8分、ペット可。しかも地下には部屋毎に専用の倉庫まで設置されている。これだけ聞くとさぞかし高価なのかと思いきや、破格の値

          【読書感想文】墓地を見おろす家/小池真理子 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】『アリス・ミラー城』殺人事件/北山猛邦 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 城のクローズドサークルの名手・北山さんの作品。 孤島に聳える城で起こる凄惨な事件とは。 『アリス・ミラー城』に集められた探偵たちは一癖も二癖もある人たちだった 軍の基地があったのではないかと言われている江利ヵ島。そこに建てられたアリス・ミラー城の所有者の姪であるルディという女性が呼び集めたのは、探偵を生業としている8名の男女たちでした。若い青年の鷲羽を始め、財力で物を言わせる観月や元刑事で豪快な海上、少し艶っぽい山根など、癖が強く個性的な探偵

          【読書感想文】『アリス・ミラー城』殺人事件/北山猛邦 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】おやすみ人面瘡/白井智之 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 白井さん節が炸裂しまくっている特殊ミステリー。 奇病が蔓延する都市で発生した殺人事件の真相とは。 稀代の奇病【人瘤病】それは戦慄の非致死病だった 『人瘤病』は数年前に海外から持ち込まれ、瞬く間に感染が広がった奇病。症状は感染すると醜い人の顔をした10cmほどの『脳瘤』が身体に出来てしまうという、想像するだけでも恐ろしいもの。手足や背中はもちろん、時には顔や生殖器にも出てしまうことがあるのだとか。しかも厄介なのが、致死の病気ではなくずっと蝕み続

          【読書感想文】おやすみ人面瘡/白井智之 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】眠りの牢獄/浦賀和宏 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 どんでん返しが見事に決まりながら、哀しい気持ちにさせられる作品。 痴情のもつれ、なんて邪な言葉が似合わないほど、複雑な感情が絡み合ったミステリーです。 作家志望の語り手に起きた悲運とそれを巡る人物たち 語り手の浦賀には、亜矢子という恋人がいました。作家になりたい浦賀の背中を後押しする亜矢子でしたが、思いもよらぬ事件が起きてしまいます。何者かに階段から突き落とされ、浦賀は無事でしたが亜矢子は昏睡状態に。結局亜矢子は目覚めぬまま、遠くの病院へ転院

          【読書感想文】眠りの牢獄/浦賀和宏 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】法月綸太郎の功績/法月綸太郎 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 様々なミステリーが楽しめる短編集。 法月親子の掛け合いも非常に楽しいお話が満載です。 メモ帳に残された筆圧から真実を掴む【イコールYの悲劇】 マンションの一室で、若い女性の遺体が発見された。彼女はその部屋に住む夫婦の妻の妹で、外出していた夫婦の代わりに留守番をしていたところを殺害されたらしい。現場検証に立ち会った法月警視は、被害者がボールペンを握っていることに気付き、そこから電話のそばにあったメモ帳に『=Y』という筆圧痕が残されているのを発見

          【読書感想文】法月綸太郎の功績/法月綸太郎 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】わざと忌み家を建てて棲む/三津田信三 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 『どこの家にも怖いものはいる』よりも更にパワーアップした家に関するホラー作品。 幽霊屋敷の究極形態をご覧あれ。 偶然か必然か集まった家の話、それは正気の沙汰とは思えぬものだった 三津田信三の友人の編集者・三間坂の叔母の元に集まったのは、とある幽霊屋敷のお話。しかしそれは、常軌を逸した幽霊屋敷の記録でした。【烏合邸(うごうてい)】と呼ばれるその家は、なんと曰く付きの事故物件を無理矢理つぎはぎした前代未聞の家だったのです。形が歪なのはさることなが

          【読書感想文】わざと忌み家を建てて棲む/三津田信三 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】復讐は合法的に/三日市零 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 タイトル通り、法律の範囲内で復讐をしてくれるお話が掲載された短編集。 真っ黒に見えようが漆黒に見えようが、グレーゾーンを極めれば無問題(←) 【合法復讐屋】を営むエリス、その実態とは エリスは『法律探偵事務所』という聞き慣れない事務所を経営しています。弁護士資格と法律知識を生かして調査をする、というのが表向きの仕事で、ここには裏メニューが存在していました。 それは、『法律の範囲内で復讐をする』というもの。復讐したいと思っていても、法に触れてし

          【読書感想文】復讐は合法的に/三日市零 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】遺品/若竹七海 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 伝説的女優が遺した品々を巡るホラー作品。 それには決して、興味本位で触れてはいけない――― 失業中の語り手に舞い込んできたのは、遺品整理の仕事 語り手の『わたし』は美術館で働いていたが、閉館に伴い部署異動ではなく退職を選択する。酒浸りの父親からは文句を言われ、恋人とも別れたばかりということもあり鬱屈とした日々を過ごしていた。 ある日、元恋人と親しかった大学の先輩である大林孝雄から、とある仕事を持ちかけられる。それは曾根繭子という作家であり伝説

          【読書感想文】遺品/若竹七海 ※ネタバレ注意

          【読書感想文】変な家/雨穴 ※ネタバレ注意

          本日の読書感想文はこちら。 近年のホラー小説界隈を席巻した話題作。 不可解な間取りから見えてくるものは… 間取りに存在する『謎』、果たしてそれは何を意味するのか 語り手はフリーのオカルトライター。ある時知人の柳岡という人が、購入を検討している一軒家の間取りについて相談を持ち掛けてくる。かつて夫婦と子どもの三人家族が住んでいたというそれは、立地条件もいいし魅力的ではあるのだが、どうもその家の間取りに違和感を感じる。語り手がその間取りを見てみると、四方を壁に囲まれた意図不明

          【読書感想文】変な家/雨穴 ※ネタバレ注意