「杜子春」と「西遊記」
人間椅子のアルバム「苦楽」の1曲目に収録されている「杜子春」
シンプルで重厚なリフもさることながら、♪杜子春ドドドド♪杜子春ドドドド♪というサビは、一度聞いたら脳内でエンドレス再生されるほどの中毒性があるので注意が必要です。(朝聞くと一日中頭の中を回ってる😅)
ところで「杜子春」と聞いて、私は実家にあった朗読レコード付きの赤い鳥名作集を思い出しました。
子供の頃、全5巻のシリーズうち芥川龍之介の「杜子春」と「蜘蛛の糸」が収録されている第1巻が大のお気に入りで、LP盤がすり切れるほど繰り返し聞いたものです。
「杜子春」ではどういう訳か鉄冠子が空を飛びながら歌う漢詩が大好きで、意味もわからず丸暗記。
「あしたにほっかいにあそび、くれにはそうご。しゅうりのせいだ〜云々」のあれです。
今でも暗唱できますが、改めて作品読んでみるとかなり間違えて覚えてますね(笑)
朗読を担当された小池朝雄さんの声と、エキゾチックな絵柄の挿絵が小説の世界観にとてもよく合っていたと思います。
思い出したらめちゃくちゃ聴きたくなりましたが、実家を処分した際に母の他の蔵書と一緒に廃棄してしまったはずで、芥川龍之介と新美南吉の巻だけでもサルベージしておけば良かったなとちょっと後悔。
ちなみに「杜子春」には元ネタがあることをご存知ですか?
調べてみると、芥川龍之介は唐代伝奇「杜子春伝」を子供向けの童話として翻案したそうで、明治大学の教材を読むとオリジナルとは時代設定や舞台だけでなく、物語のテーマそのものも大きく変わっていることが分かります。
明治大学〜唐代伝奇「杜子春伝」と芥川龍之介「杜子春」の比較〜
これによると「杜子春伝」もさらに玄奘三蔵の見聞録「大唐西域記」に収録されているインドの説話を元にしていたようですね。
それにしても、なんであんなに「杜子春」が好きだったのかしら?
もしかすると当時日テレのドラマ「西遊記」が大ブームだったので、それと同じ唐代の物語である「杜子春」が面白く感じたのかもしれません。空飛ぶ仙人とか出てきますし。
で、「西遊記」といえばおそらく私たち世代において双璧をなすこの2作品。
「飛べ!孫悟空」は1977年から79年、日テレ「西遊記」とさらにはTVアニメ「SF西遊記スタージンガー」が1978年*から79年までの放送ですから、2年間にわたり一週間のうちに3回も西遊記関連の番組が放送されてたんですね。どんだけ日本人西遊記好きやねん😆
今思えば「飛べ!孫悟空」と日テレ「西遊記」は、どちらもキャスティングが絶妙でしたねえ。特に夏目雅子さんといかりや長介さんは、お二人とも三蔵法師役がハマリ過ぎるほどハマってました。
*時代背景として1978年は鄧小平による改革開放政策が始まった年で、同時に日中平和友好条約が調印された年でもあります。以降日本のテレビ局による中国ロケが可能になり、1980年のNHKのドキュメンタリー番組をきっかけにしたシルクロードブームに繋がります。音楽方面ではYMOの"イエロー・マジック・オーケストラ"は1978年、Japanの"Tin Drum"が1981年、デビッド・ボウイの"チャイナ・ガール"が1977年(ボウイの音源に収録されたのは1983年)にリリースされました。
※この記事は以前facebookにアップした投稿を加筆、再構成したものです。