「宮廷女官チャングムの誓い」の続編ストーリーを勝手に考えてみた [第一話]
すわ、ついに「大長今(宮廷女官チャングムの誓い)」の続編が制作決定か!?。。と思いきや、どうやら「続編」ではないらしいですね。
もともと「大長今」では「甲子士禍(生母尹氏の処刑にかかわった人々が燕山君により粛清された事件)」や「中宗反正(燕山君に反発した勢力によるクーデターと中宗の擁立)」などの史実以外は全てイ・ビョンフン監督と脚本家による創作でした。
その脚本家さんが「医女チャングム(仮)」との関連性を否定したということはつまり、ミン・ジョンホやクミョンなど「大長今」の主要登場人物は、今回のドラマには一切出てこないということになるわけです。
主人公のチャングム以外、中宗とその王妃など実在の人物に関しても「大長今」と同じ役者さんが演じることはないわけで、「続編」に大喜びしたファンとしては正直ちょっと複雑な気持ちですね😅。
あ、そうか。宇宙世紀じゃないガンダムみたいな感じなのね、きっと。(ガンダムシリーズには宇宙世紀の時系列で描かれる正史ガンダムとパラレル世界を描く作品が混在するのである)
さて、このニュースが当初「続編」とされていた時に、私が最も期待したのは、「クミョンのその後が描かれるかも」ということでした。
才能や家柄に恵まれながらも努力家であり、本来なら北島マヤと姫川亜弓のように、水刺間でチャングムと料理の腕を競う良きライバルとなるはずだったクミョン。(宮廷料理人がみな男だったという史実はこの際ちょっとおいとく)
しかしチェ一族の一員であるという運命からは逃れられず、チェ尚宮がかつてそうだったように、クミョンもまた、心ならずも悪事に加担していくことになります。
やがて一族の悪業は王の知るところとなり、チェ氏だけでなくオ・ギョモやユン氏など宮廷で暗躍した一味はみな刑に処されます。叔父のパンスルとチェ尚宮は死亡。
配流は免れたものの追放処分となり、幼い頃から思いを寄せていたミン・ジョンホに見送られながら宮廷から一人寂しく去っていくクミョン。
クミョンがその後どうなったのかはドラマでは何も語られません。
私はチャングムよりむしろそんなクミョンの行く末の方が、気になって仕方なかったんですよね。(もちろん、そもそも架空の人物なんで気にしても仕方ないのですが💦)
という訳で、「続編」が制作される可能性はなくなったのは間違ないでしょうから、「大長今」のその後を勝手に考え妄想してみたいと思います。
***
最初の舞台はチェ一族による事件の余波が収束しつつある漢城(朝鮮時代の都:現在のソウル)。
チェ家はお取り潰しとなり、叔父であるチェ・パンスルの屋敷や商会の資産も没収されてしまったため、宮廷を追われたクミョンには帰る場所がありません。
都ではかつての有力者とはいえ罪に問われたチェ一族の者である彼女の身元引き受け人となる人物は現れるはずもなく、彼女は遠い親戚に身を寄せることになります。
失意の中わずかな荷物だけを持ち、麻浦(マッポ)から舟に乗って都を離れるクミョン。
舟が漢江(ハンガン)から臨津江(イムジンガン)へ入ったところでクミョンは舟を下り、開城(ケソン)の旅籠に泊まります。
町外れにありながら多く商人が滞在し、繁盛している旅籠。しかし提供された食事の味にクミョンは違和感を覚えます。
料理に毒性のあるキノコが紛れ込んでいることに気づいたクミョンは、急ぎ旅籠の主人に知らせます。
幸い他の客に提供されることは防げたものの、まかないでキノコを食べていた料理長と数人の料理人が既に不調を訴えていました。
運良く死ぬような毒ではありませんでしたが、料理人たちはしばらく寝込むことになりそうです。
主人に数日は旅籠を閉めざるをえないと告げるクミョンですが、なんと二日後に、明(中国)からの重要な商団の宿泊予定があるというのです。
食材は仕入れ済みですが、これでは肝心の料理が作れません。。
ところで旅籠の料理長は、過去に何度か助っ人熟手(スクス:男性料理人)として宮廷の大きな宴会を手伝ったことがあり、クミョンとは顔見知りでした。
困った主人はクミョンが元宮廷料理人でしかも最高尚宮(チェゴサングン:宮廷厨房の最高位の女官)を務めた人物であること料理長から知らされるや、商団の滞在中、臨時の料理長として厨房を仕切って欲しいと彼女に懇願します。
自分が宮廷を追われた身であることから、いったんは申し出を断るクミョンですが、泣いてすがり付く主人に根負けし、しぶしぶ引き受けることに。
しかし、ここはさすがクミョンです。宮廷仕込みの料理の腕前を存分に発揮し、商団の幹部たちは彼女の料理を大絶賛。これから朝鮮との交易時には常にこの旅籠を使うことを約束して漢城へ向かっていきました。
このことをきっかけにクミョンは主人と料理長に気に入られ、そのまま旅籠で住み込みの料理人として働くことになります。
クミョンの料理は評判となり旅籠もいっそう繁盛するのでした。
そして十数年後。
クミョンは都で科挙浪人をしていたが合格できず、実家に戻って家業を継いだ主人の息子と結婚し、二人の間には男の子、ヨンスがいます。
優しいけどちょっと頼りない夫とともに、女将として旅籠を切り盛りするクミョン。
ある日、ヨンスは書堂(ソダン:寺子屋)からの帰り道、旅籠の近くで男に呼び止められます。
聞けば男(従者)の主人が怪我をしているとのこと。従者も主人(若い男)も良い身なりをしており、どうやら両班(貴族階級)のようですが、怪我の程度は重く、主人は自力では歩けない様子。
両親を呼ぶため、ヨンスが旅籠へ戻ろうと駆け出した時、道の角で年の近い女の子と出会い頭にぶつかってしまいます。
女の子は母親に頼まれて薬屋から薬草を買ってきたところでした。
ヨンスの話を聞くと、女の子は持っていた薬草で怪我の応急手当てをします。その様子を見て驚くヨンスと従者。しかも母親は医者でちょうどクミョンの旅籠に泊まっていると言うのです。
応急手当をした後、従者は主人をおぶって、ヨンス、女の子とともに旅籠に駆け込みます。
女の子「オモニ!オモニ!」
母親「どうしたの?」
女の子「怪我をしているの!診てあげて!」
怪我人を見てオロオロするクミョンの夫に、治療のためテキパキと指示をする女の子の母親。
そして騒ぎを聞きつけて厨房から出てきたクミョンは驚愕します。
怪我人を治療する女性は、なんとあのチャングムだったからです。
チャングムと娘ソホンは、ミン尚宮に頼まれて彼女の母親を往診するため、都に向かう途中だったのでした。
思わぬところでのクミョンとの再会にはもちろんチャングムも動揺しますが、すぐに気を取り直し冷静に怪我人を治療します。
そして治療がひと段落ついた後、クミョンとチャングムは旅籠の中庭で、この十数年の間それぞれの身に起きたことを話します。
二人はお互いの生きる道を認め合い、女官時代には出来なかった新たな友情を育むのでした。
(もちろん、その間にヨンスとソホンはすっかり仲良くなっちゃってます)
さて、怪我をしていた両班(と思われる若い男性)ですが、名前はおろか怪我をした経緯も話そうとしません。
実はこの男性は、徳興君(トグングン:中宗の9番目の王子。後の第14代宣祖の父となる人物)で、彼を助けたことによりクミョンとチャングムは今後様々な騒動に巻き込まれていくことになるのですが。。。
続く(笑)
***
「大長今」の続編第一回放送(妄想)はいかがでしたでしょうか?
これだと主人公は完全にクミョンですね(笑)
時代・風俗考証や地名の位置関係はWikipediaやGoogleMapで調べられる程度で、かなり適当ですが、「身分を隠した貴人」「幼い男女の運命的な出会い」「麻浦の渡場」「科挙浪人」など、韓流時代劇あるあるを盛り込んでみました。
私の構想ではクミョンとチャングムの他には、ミン尚宮、カン・ドックの家族、ヨンセンあたりを登場させる予定ですので、万一続きを読みたいという奇特な方がいらっしゃいましたらリクエストしてくださいね。
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