サラリーマン人生の成果評価と昇格レースについて思うこと-1-

僕の働く会社は1月 - 12月が年度なので、年が明けると評価の季節がやってきます。自分ももちろん評価される対象なのですが、管理職なので評価する側でもあります。会社に居る間しか、この「評価」と「昇格レース」に関わる事はないし、やっと昨年度の評価が終了したところなので、記憶が新鮮なうちに書いておきます。

昇格レースの方は、まずは「一般社員か管理職か」がひとつの区切りになりますが、「昇格したい人」と「関心のない人」に二分されます。僕自身は関心のない人で「管理職になりたいと思うほど会社と深く関わりたくない」「他人の面倒なんかみたくない」「会社に承認してもらいたい欲求などない」派でした。それより「この仕事楽しい!」や「作品を作った達成感」の方がずっと上だったのです。一般社員のまま逃げ切って辞めようと思っていたのですが、4年ほど前に義理的にどうにも逃げられない状況に追い込まれて昇格。いわゆる「部長」になってしまいました。

性格と合っていないので、なってみたら予想以上にツラいです。ゆっくり話を聞いてあげないといけないし、ある程度やさしくもしないといけない。皆のモチベーションを上げて努力もさせないといけない。昔のように「ぐだぐだ言ってないで、サッサとやる事をやれって」みたいに乱暴に言う事もできない。部長仲間が「この仕事は『生きもの係』だから」と上手い表現をしましたが、本当にその通りですね。

ただ、唯一興味深いと思ったのが「評価」と「昇格レース」です。まずは成果評価ですが、部員が思っているよりもずっと、部長って自分の部員に良い成績をつけたいんですよ。少しずつでも評価が確実に上がっていけば関係も良好だし、頑張って働いてくれる。「頑張らせる」ために時々の評価アップって、言い方は悪いですが便利なご褒美であり、部長にとってもメリットは大きいのです。(評価は人の為ならず)

評価会議では上記の理由で何人もの部員に前回よりも上の評価をつけたがる部長が多いです。ですが、「評価」=「人件費」であり、セクション内の原資には上限があります。誰かを上げれば誰かが下がる。「下げる」はお金に直結するので、フィードバックも大変です。だからひとつの部で何人も好成績をつけるなんてできるハズがない。そして評価会議は各部長のプレゼン能力に掛かってくるというのが、最初に参加した時の印象でした。

そこでこの4年間に僕が取った作戦は、部員の中で1人だけ、一番「評価会議を戦う武器を僕に持たせてくれた部員のランクアップを狙う」でした。じわじわと長期的な戦略を取ったので、定年が近くてモチベーションが下がっている人以外はほぼ全員1回はランクアップさせてあげられたのはよかったなと思います。いや、もう本当にね!「戦う武器」を持たせてくれないと、評価会議って丸腰では負け戦です。「頑張ってたから」が評価された時代は、とっくに終わってしまったので、武器を手渡されて初めて戦場に立てるのです。「やった仕事への評価」なのですから当たり前ですが、「評価上がらない」とぼやいている人は、この構造を忘れていたりします。その度に「評価会議で戦える武器を僕にください」とはっきりお願いしてきました。

唯一難しいのが、目立った成果がないバックヤードを支える業務の人です。「問題なくやって当たり前」な仕事は、武器を作ることが難しい。そんな大切だけど縁の下の力持ち業務をやってくれている人には、バックヤードのシステムや制度が替わった時や、トラブルが起きてその対応をそつなくやってくれた時がチャンスなので、そのタイミングで戦いました。

皆が大大大嫌いな(僕も)成果をレポートするシートの書き方も大事で、「どんなポイントが評価されるのか」を理解した上で書かないと、武器が錆びてて切れないのです。このレポートを戦略的に書けない人には、評価されるのはどこか、それを立たせた書き方にするにはどうしたらいいのか、これはプレゼンシートなんだよ…と解説して一緒に仕上げたりしています。

クリエーター時代に繰り返してきたプレゼンが、評価会議に対しても結構いい経験になりました。毎回、戦略をたてて、プレゼン原稿も作っています。しかもこちらの鼻息を悟られないように、淡々と事実を的確に説明するモード(演技)でやっています。なんでしょうね…この「プレゼンとなれば、万全の準備をして勝つぞ!」は、もう身に染みついた職業病みたいなものですね。でもこれが、僕が部長になって唯一楽しい&自分に合っていたと思えた仕事でした。


部員に好成績をつけられた自慢? と感じる方もいらっしゃるかと思うのですが、そういう事ではなくて、僕自身評価会議に出るまでは、あまりピンと来ていなかった「構造」と「攻略方法」についてまとめてみた次第です。「成果評価」について書いていたら長くなってしまったので、「昇格レース」についてはまた別の機会に書こうと思います。


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