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コラム/曇ったレンズで描く幻想世界。


とにかくカメラやレンズが好きで、
ようもないのに立ち寄ってしまう中古カメラ店。

特にオールドレンズが好みで、
無意識に光源にかざしてはどんな写りか想像してしまう。
当たり前のシャープネスと整ったカラーバランス、
そんなものに既に興味はなく、時の洗礼を受けても未だ陳列棚に残る、
骨董品のようなレンズにどうしようもなく魅力を感じてしまうのです。

中古店でよく見るレンズ内クモリ/カビ有り。
状態が悪い変わりに安価で購入出来る一品。
難あり、なんて表記を見ると博打とは思いつつ、
ついつい手に取ってしまいます。
ああ、これは運命の出会いなのだと・・・。

難ありレンズの大方の共通項は、
崩れたカラーバランスとコントラストや彩度の低下。
そして難儀なフレアとゴースト。
真面目に撮ろうとすると厄介な部分ではあるけれど、
それを逆手に個性だと割り切れれば、
きっとそれは唯一の色を出してくれる、
そう信じて今日も骨董品を手に取ります。

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クモリレンズの共通項かはたまた個性か、黒が締まらずソフトな描写に。
曇ったレンズは優しくソフトな描写を与えてくれます。

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敢えてフードをつけることなく、様々な光の中で撮影することで、
自分の持っているレンズのクセや魅力を知ることが出来ます。

オールド・レンズにはその一本、一本に個体差があります。
曇りの日にしか使えないレンズ、雨上がりの夜に使うレンズ、
とにかく光量がある環境で絞って使いたいレンズ、
独特のボケ味で解放で使いたいレンズなど・・・。

それぞれと向き合い、まるで画家が筆を選ぶように、
写真家の絵筆としてレンズを選ぶことが出来たなら、
それはなかなか楽しいものです。

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そして、その個性を生かすことが出来たなら、
それは世界にたったひとつ、
自分だけのもうひとつの色なのです。

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