Shikanosuke

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更科姫~信州一と謳われた女傑の生涯 あらすじ 

戦国時代、信州一と謳われた文武両道にして絶世の美女がいた。 その名を更科と言った。 その美しさ故、あまたの縁談話があったが、その姫が愛した男は、眉目秀麗にして質実剛健と称された相木森之助  しかしその男は、かつて敵国であった隣国からの人質の身であった。 二人には過酷な運命が待ち受けていた。 国を守る為、一人敵国に身を差し出す森之助。 その国から見捨てられた夫を救う為、国を捨て身重の身ながら敵国の本陣へ戦いを挑む更科。 そして信濃統一という夢を叶えたものの、次第に滅びゆく国の中

    • 更科姫~信州一と謳われた女傑の生涯 第3話

      それぞれの初陣 楽巌寺城での戦いが終わっていた。 間もなくして葛尾城の兵たちがようやく駆けつけてきた。義清も一緒であった。 九郎が迎えに出た。  「なに。敵は逃げたと。さすが井上師範と師範代達でござるな。」義清が九郎に向かって言った。  「お恥ずかしゅうござる。我々はこのような有様でござる。もう少し森之助が遅ければ危ない所で御座った。」九郎  「なに?森之助じゃと」義清  「はっ。森之助と晴介が御屋形様の馬でいち早く駆けつけてくれました。」九郎   少し遅れて右馬

      • 更科姫~信州一と謳われた女傑の生涯 第2話

        勇者・森之助 「かかれー!」号令とともに敵兵が迫って来た。 その時である。 「おおー!」 城内に響き渡る雄たけびの声が聞こえた。 城壁を高く飛び越して来た大きな馬がいた。 「ぐわー」 「うわー」敵兵の悲鳴が続く。 「なんだ?」 「どうした?」後ろから聞こえるその悲鳴に敵兵がうろたえた。  城内にいる敵兵を蹴散らしながらその馬が入って来た。 「おお。あれは森之助ではないか」九郎 その馬には森之助と晴介が乗っていた。  「うおーりゃー!」森之助の怒号がさらに響いた

        • 更科姫~信州一と謳われた女傑の生涯 第1話

          序章 天文七年(1538年)  長野県佐久郡小諸村 楽巌寺城内 奥座敷牢にて 「父上、何故ゆえ、森之助殿を罪人として武田に身柄を渡さねばならぬですか?」 牢の中から更科が泣き叫びながら聞いた。 楽巌寺右馬之助は、娘の泣き顔を見ながら、早くに亡くした妻に良く似てきたと、格子越しに、その美しい頬を、涙で濡れた頬を両手で抑えた。 この一人娘の更科の美しさは信州一と謳われ、あまたの輿入れの話があったが、この娘が愛した相手は、かつて敵国であった隣国・相木領からの人質の身であった。 「

        更科姫~信州一と謳われた女傑の生涯 あらすじ