インスタblog 「 皮を羊皮紙に変えたり、鞣したりするドラムについて」-ドラムとは何なのか、何が出来るのか -
タンナーは皮を革に変える鞣し作業をする場や会社を指す
鞣し作業をする場には99%「ドラム」と呼ぶ大きな洗濯機のような機器を有している
この中に皮を入れ薬品を投入し、塩抜き作業・洗い作業・脱毛作業・脱脂作業・鞣し作業・漂白作業・加脂作業・染色作業にph調整や温度調整等をおこなう。
これらがドラムの役割
牛の様な大きな皮を扱うドラム、豚や羊等のサイズを扱うドラム、爬虫類を扱うドラムという皮サイズの違いでドラムを分ける事が一般的
理由としては、仮に牛用のドラムに豚皮を入れて回すと、必要以上に中でバタバタと攪拌され上から下へと叩きつけられる事で必要以上に柔らかくなる、シボがつく、ギン面(皮の表面)が痛む等の良い効果を与えない
逆も同じである。またドラムには皮の必要最低限の量がおおよそ決まっているのも同じ様な理由である
鞣し方でドラムを使い分ける場合もある。クロム鞣し用のドラム、タンニン鞣し用のドラム
染め作業は、無色や白色用のドラムと有色用のドラムに分けるられる(黒やチョコの様に暗い色と明るい色で分けたりもする)
一枚目の写真奥にあるドラムは試験をおこなうドラム。温度、回転スピード、時間、回転方向、排水量等を細かくコントロールする事が出来る。30kg程入るので、鹿皮ならば1枚〜10枚弱試験が出来る(鹿皮は年齢やサイズ、性別にもよるが皮のみだと3kg弱程)
二枚目の動画のドラムは、左はイタリア製のドラムで牛のタンニン鞣し用。横長な作りが特徴的である。右は日本製のドラムで豚の白革鞣し用である
三枚目の動画はドラム内部。ダボと言う突起物が内部に固定されており、皮の攪拌を補助している。昔は木製もあったのだが、皮を攪拌し続けると削れてしまうため現在は樹脂製となった
ドラムは皮革には欠かせない機器である
鹿皮の羊皮紙作りは古典的な製法の際はドラムを使用しないが、均一に安定した品質を目指すには現在のタンナーが持つ高度な技術と古典的技術の融合が不可欠だ
現在、鹿皮の実験を進行中
高度な技術と探究心を持つ素晴らしいタンナーと力を合わせている
僕らと日本のタンナーにしか出来ないモノ作り
またご報告します
2022/3/24
鹿皮紙プロジェクト代表 カワダ シュウジ
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