デスティニーランド
今日は今年一番の暑さにさすがの夏バカも少々まいっていたのだが、勇ましい程の積乱雲の連峰を望むことができてうれしかった鹿田だ。収めた写真をここで使いたかったのだが見とれすぎて自身の目ばかりピントを調節しカメラはぶれぶれだった。うだる暑さの表現、とやさしい人ならとらえてくれるべか。
鹿田です、よろしくね。
おかげで治りかけの汗疹も再発(多分車のひじ掛けが原因だ)あっという間に1日で元の状態に戻ってしまった。その無力な結果に流す涙すらなく、せっせとまたASEMO JELLを腕に塗りたくる日々が始まる。ま、そんなこと辛くもなんともないけれどね。今が夏のど真ん中なのだから。その証拠なのだから。
夏の国があったとしたら、鹿田はその門に設置されている認証センサーに軽く腕を曲げてその右前腕外側を当てる。
ピッ 認証成功。ドウゾ、オ通リ下サイー
この汗疹の腕のおかげで、夏の国で遊び放題だやっほーい。まずはどこに行こうかな、やっぱり簗(やな)かな、簗にいこう。昼間から瓶ビールのんでおいしいアユを食おう。川のせせらぎはまた海のそれとは違い落ち着くんだよね。真夏でも風は幾分涼しいし。そのまま夜は川辺で花火鑑賞かな。全部無料なんだよ、汗疹って最高。あ、夜は気をつけないといけないよ、エアコンは程よく、布団はしっかりかけてね。いやいや、おなかの心配をしているんじゃない。
汗疹が治らないように。
汗疹がなくなったらね、強制送還されるからね。むなしいよ、そりゃ空しいに決まってるよ。「夏の国から追放」だなんて、この耳には決して聞かせたくないNGワードの1つだよ。さあ、しっかり布団にくるまって汗疹維持しなくちゃ~♪
ってなことがあったらいいのにな。
勿論認証コンピューターに搭載されているAIはアシモだろうね。あ、アシモは歩くだけだっけ?言葉は話さないか。じゃ、妥協してワシモでもいいよ。田舎の雰囲気にも一役買うかもしれないね。ワシモは縁側でお茶でも飲んでいればいい、それで通りかかったお客さんに「お茶でも飲んでけ」って声をかける。お客さんは隣に座ってずずっと茶をすする。茶畑が緑々しい。茶摘みさんもいるよ。夏もち~かづく、八十八夜っと♪常夏だけどなっ!ひゃっほーい♪
ってなことがあってもいいかもな。
そんで僕は汗疹を掻きむしるに搔きむしり、血だらけになって永住権を手に入れる。血だらけになった腕を見せればどこでもただで入れる。アトラクションも乗り放題だ。巨大すいかを半分に割って、中身をくりぬいたコーヒーカップ、打ち上げ花火式の刹那観覧車(※パラシュート必須)、休憩所はビール祭り会場になっていて一年中グラスとグラスのぶつかる音がしている。勿論24時間営業だ。
なんて。
また永久パスを持つ人には特典があり、秘密基地を作ることができる。しかもその秘密基地はグランピング使用でね、朝から晩まで快適に過ごせる。勿論己の力の身で野営したってかまわない、区画内ならテントを張ったって、土を掘って地下の秘密基地を作ったって、木を植えてツリーハウスを作ったってかまわない。
最高すぎる。
勿論自然も完備され、里山があり、虫たちも自由に生息し、小川は夏の日差しにキラキラと光っては魚たちを泳がせる。太陽に関しては長年研究の末完成してた「完璧人工太陽」があるから大丈夫。理屈なんて無駄なもんは何一ついらないよ、ちゃんと夏の太陽としてくるくる夏の国を自転してくれる。月はもともと友達だから連れて来ればいいだけだ。あいつほいほい来ると思うよ、ごめんね地球から月連れ出しちゃって。でも大丈夫、空にはいつも本物の月よりきれいな張りぼての月が浮いてるからさ。
うん、この夏の国の国名は何にしようかな。日本の夏の常夏バージョンだから、日本の夏といえば金鳥の夏、常夏だから金鳥は火の鳥にランクアップして…ああ、でもそうすると火鳥と蚊取りで紛らわしくなってしまうなぁ。うーん、いや、難しく考えるのはやめにしよう、有名どころ肖ろう。
この夏の国は鹿田の運命なんだ。ここに住むことは鹿田の宿命、夏バカの宿命!!命名しよう!
夏の国、その国名はデスティニーランドだっ!
茶畑あってよかったね、ちゃんちゃん。
おわり
【追記】ありがとうございます(^^)