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歯科医師の経験から学ぶセルフコンディショニングの必要性


歯科診療は,背中を捻って丸め,首を傾けた姿勢を長時間続けているため,筋肉や関節に負担がかかり,体に“ゆがみ”や“こり”が生じています.
そんな歯科医療従事者の体の不調や悩みを解消するために,スキマ時間でできる即効ストレッチ&エクササイズを紹介した『診療前後の1分でできる! 歯科医師・歯科衛生士のための体のゆがみセルフコンディショニング』を9月1日に発刊しました.
今回は本書の中から,「歯科医師の経験から学ぶセルフコンディショニングの必要性」をご紹介いたします.
ぜひ,歯科医院の皆さまで実践し,「毎日,健康で快適に診療をするために」お役立てください!

福岡博史/医療法人社団明徳会 福岡歯科

40代のある日,それは突然のことでした.
いつものように診療を始めようとしたら,右肩が上がりません.いわゆる五十肩です.
患者の予約状況はいつも通りフルタイムで入っています.朝から消炎鎮痛剤を飲み,何とか痛みを抑えて1日の診療を終える日々が続きました.
ようやく迎えた休日に整形外科の専門医の診察を受け,そこで日々実践すべきストレッチ体操を教えていただきました.
治したい一心で,そのストレッチ体操を毎日続けること3週間,肩の痛みは見事になくなり,診療も思うようにできるようになりました.
これが,「歯科医師という職業に就いたからには,一生このようなセルフコンディショニングをしていかなくてはいけないな」と思った,最初の経験でした.

50代になったある日,それも突然のことでした.
出勤前,いきなり“ドカーン”と腰痛が来て,その場でうつ伏せのまま24時間動けなくなってしまいました.ギックリ腰です.
「魔女の一撃」とはよく言ったもので,突然痛みに襲われ,そのまま全く動けなくなるのですから,自分自身驚きでした.私の場合,2日間全く立てないくらいの重症でしたので,これを機に,本書の著者である田口先生に習って,腰に関するセルフコンディショニングも始めました.
40代で経験した五十肩以降,上半身のセルフコンディショニングはしていたつもりでしたが,重いギックリ腰を経験して,下半身を含めたセルフコンディショニングの重要性を再認識しました.


それから数年後,またも突然のことでした.
これまた出勤前,“ガクッ”といった途端,右膝が曲がらなくなり,歩行ができなくなってしまいました.変形性膝関節症です.
その日も診療はしなくてはならないので妻に車で送ってもらい,足を引きずって何とか診療室へたどり着きました.その後,整形外科にて6回のヒアルロン酸注射による治療を受けて回復しました.
首や肩,腰まではセルフコンディショニングしていたつもりでしたが,膝~足についても考えなくてはいけないと反省しました.
ちょうどその頃,田口先生が勉強を始めていたフットケアの重要性も実感し,それまで履いていた靴や靴下も交換して,上半身・下半身・足と,全身のセルフコンディショニングを実行するようになりました.

さて,これで全身を網羅したから万全だと思っていましたが,今度は手の指に来ました.腱鞘炎です.
これも歯科医師である以上,リスクは非常に高いわけです.その上,私の趣味であるギターも弾けなくなるので,腱鞘炎が発症すると精神的にも辛くなります.
しかし,それまで薬や手術に頼らずに体の不調を治してきたので,腱鞘炎も手袋を使ったストレッチで治しました.夜間就寝時の使用も効果的でした.現在は,本書に記載されているようなセルフコンディショニングで予防しています.



歯科医師として診療を始めてから35年.
肩から始まり腰,膝そして手指と,日々の診療に大きく影響する体の不調を経験してきました.


その際,「何がそれを治したのか?」の問いに答えるならば,それは間違いなくセルフコンディショニングでした.

セルフコンディショニング_福岡先生イラスト


早く診療の現場に復帰するために,一時的に薬や注射などで症状を抑えることはしましたが,これらの不調を経験したことで「自分の体の不調は,自分の体が治す」ということを私のカラダ自身が教えてくれました.
統合医療に長く関わってきたお陰で,対症療法だけでなく,症状や疾患の原因を特定して取り除く根本治療の重要性を認識していましたが,まさに歯科医療従事者の診療時の体の歪みは,日々起こりうる不調の原因なのですから,それをリセットすることこそが根本治療になるわけです.
実は,このような不調を経験する前はこの分野に関する講演などを聴いても,自分はまだ若くて縁のない話だと聞き流し,実践するまでには至りませんでした.
この本を手に取られた諸兄姉もまた,そうかもしれません.
しかし,歯科診療に携わっている限り,また今後も長く携わっていきたいと思っているならば,早い時期から本書に書かれているセルフコンディショニングをぜひ実践していってください.
まずは,自分が自覚しているところからでもよいでしょう.
私のように,それはある日突然やってきます.
患者に迷惑がかからぬよう,日々自分自身の体をベストコンディションに維持していくことも,名医(名歯科衛生士)の条件ではないでしょうか.

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