書体のはなし(1) エレガントな書体の代表 “Optima”
書体のはなしマガジン
ビジネスに使えるデザインの話
Optima
書体名:Optima(オプティマ)
種類:サンセリフ
分類:ヒューマニスティック
デザイナー:Hermann Zapf(ヘルマン・ツァップ)
ファウンダリ:Stempel, Linotype
リリース年:1958
以下より入手可能
OptimaはHermann Zapfによってデザインされ、1958年に西ドイツのフランクフルトにあるD. Stempel AGの鋳造所からリリースされた人文主義的な(ヒューマニスティック)サンセリフ書体です。
サンセリフ書体に分類されるものの、Optimaはセリフ体のような端末の微妙な膨らみがあります。 Optimaは古典的なローマの大文字と1950年にイタリアへ休暇に行った際にツァップ氏がフィレンツェで見たルネサンス時代の墓碑の石彫りからインスピレーションを得てデザインされています。
ツァップ氏はこの書体に興味を持ち続け、80代になるまで変形や拡張のコラボレーションを行い続けていました。
歴史
カリグラフィーとイタリアの印刷・レタリングの歴史に興味を持ったツァップ氏は、1950年に初めてイタリアを訪れました。 フィレンツェ滞在中、ツァップ氏は、フィレンツェのサンタ・クローチェ聖堂の墓地にある墓碑のレタリングのデザインに特に興味を持ちました。
彼はすぐにそのデザインの初期案を1000リラ紙幣にスケッチしました。ツァップ氏はその後の10年間、Optimaの開発に取り組みます。
ツァップ氏はその著書『About Alphabets』の中で、ローマ字の大文字のモデルにヒントを得てOptimaの大文字をデザインした主な目的は、初期のサンセリフのデザインに見られるような、すべての大文字がほぼ正方形のフットプリントを持つという単調さを避けることだったとコメントしています。 ローマ大文字のように、Optimaの「E」と「R」は約半分の正方形を占め、「M」は幅が広く、側面が広がっています。
ニューヨーク近代美術館のモンロー・ウィーラーの提案で、ツァップ氏は自分の書体を書籍活字として使うことにしました。 彼は小文字のプロポーションを変え、写真撮影によって、このデザインが連続読みに適しているかどうかをテストしました。 ツァップはトラヤヌス帝の柱(西暦113年)の碑文に倣ってOptimaの大文字をデザインしました。 Optimaは標準的なベースライン配置に基づかない最初のドイツ書体でした。
ツァップはこう述べています 「このベースラインは、FrakturやTexturaのx-heightの高さに合わせてデザインされているため、ローマ字には理想的とはいえない。 そのため、多くのドイツ語タイプはアセンダーが長すぎ、ディセンダーが短すぎる。 オプティマ・ローマンのプロポーションは、小文字のXハイトが小文字と等しく、アセンダーとディセンダーの長さが大文字と等しいという、黄金分割に入った。 しかし、各文字のステムの曲線は、純粋な美的配慮というよりは、活字製造の技術的配慮から生まれたものである」。
Optima(オプティマ)の開発は1955年から1958年にかけて行われました。 Optimaは、1958年にフランクフルトのシュテンペル社(Stempel)によって鋳造版として初めて製造され、その後間もなくアメリカのマーゲンターラー社によって製造されました。 同年、デュッセルドルフで開催された展示会で一般に公開されました。 ツァップ氏自身はこの新しい書体をニューローマンと名付けたかったのですが、マーケティング担当者はOptimaと名付けるよう主張しました。
ツァップ氏は後年、他の書体よりもOptimaが好きだと書いていますが、「父親は娘の中でお気に入りを持つべきではない」とも述べています。
使用例
インターポールのロゴ
Aēsop logo, website and packaging
アストンマーチン(ロゴ)
25 years of the Federal Constitutional Court, German Federal Post Office
Penguin Collectors’ Society Newsletter, No. 22, May 1984
Pontiac Sunfire Concept Car press kit
Skyggebilleder
Skyggebilleder(「影の絵」)は、クリスチャン・ラムソがBakkehusmuseetのためにデザインした展覧会カタログ。 ハイコントラストな書体はClaus Eggers SørensenによるPlayfair Display Black Italic。
メモ
現代的なBodoniとして捉えると使いやすく、理解しやすい書体です。
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参照
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