世界でもっとも人気のある書体Futura
書体のはなしマガジン
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書体 Futura
書体名：Futura
種類：サンセリフ
分類：ジオメトリック
デザイナー：Paul Renner
ファウンダリ： Bauer Type Foundry
リリース年：1927
入手先
Futuraはポール・レナーによってデザインされ、1927年に発表された幾何学的な(ジオメトリック）サンセリフ書体です。 バウアー活字鋳造所（Bauersche Gießerei）によって、1926年のLudwig & Mayerの代表的な書体であるErbarと競合する書体として開発されました。
レナーはバウハウスとは無縁でしたが、そのイディオムの多くを共有し、モダンな書体は以前のデザインを復活させるのではなく、現代のモデルを表現すべきであると信じていました(*1）。 レナーのデザインは、サインペインティングや凝縮されたレタリング、19世紀のセリフ書体を手本としたそれまでのサンセリフ書体（現在ではしばしばグロテスク書体と呼ばれる）のアプローチを否定し、単純な幾何学的フォルム、つまり完璧に近い円、三角形、四角形を好みましました。 ほぼ均等な太さのストロークが基本で、コントラストは低い。 大文字は古典的なローマ字の大文字に似たプロポーションです。
Futuraは、ドイツ語では「die Schrift unserer Zeit」（「私たちの時代の書体」）、英語では「the typeface of today and tomorrow」（「今日と明日の書体」）というスローガンを掲げ、現代の精神を取り入れた書体として、バウアー・タイプ・ファウンドリーとそのアメリカの販売部門がパンフレットで大々的に売り出されました。以来、人気を保ち続けています。
ポール・レナーは1924年にFuturaとなる文字のスケッチを始め、その3年後にリリースされました。
Futuraは、当時多くの著名なモダニズム建築家が携わっていたドイツ・フランクフルトの先鋭的なアフォーダブル住宅プロジェクト、ニュー・フランクフルト・プロジェクトへの貢献として開発されました。 私たちの時代の書体」「ヨーロッパのアヴァンギャルドの新しいタイポグラフィを代表する書体」と評されたFuturaは、シンプルさ、モダニズム、工業化を促進するために、当時流行していたサンセリフやより精巧な手書き風の書体に対抗するためにリリースされました。
そのすっきりとした幾何学的な外観にもかかわらず、Futuraのデザイン上の選択肢のいくつかは古典的なセリフ書体を想起させます。ディスプレイを目的とした多くのサンセリフ書体とは異なり、Futuraはx-heightがかなり低く、その緊張感を緩和し、本文への適性を高めています（文章を組んでも読みやすい。比較的に）。
Futuraのデザインは装飾的なものを避け、本質的でない要素を排除していますが、純粋な幾何学的デザインからは微妙に逸脱しているため、字形のバランスが取れているように見えます。
これは、一見するとほぼ完全に丸いoのストロークが、それにもかかわらずわずかに卵形であることや、bのような文字の円形のストロークが垂直のストロークと融合する際に緩やかに細くなっていることに表れています（錯視調整などが施されています）。 レナーの伝記作家であるクリストファー・バークは、バウアー鋳造所の製造チームがこのデザインを異なるサイズのテキストに適応させる上で重要な役割を果たしたことを指摘しており、これはデジタルリリースでは見られない特徴です。
しかしレナーは、彼のデザインに先行してErbar（1926）がリリースされたり、リリースと同じ年に似たようなデザインの他の書体が登場したりしたため、デザインとリリースのプロセスが遅かったことに失望を表明しています（*1）。
レナーの当初の計画では、一般的な使用に適したよりオーソドックスなバージョンと、円と三角形を基調としたよりエキセントリックで幾何学的な小文字の2種類でした。この計画は破棄されましたが、初期の標本にはこの文字が掲載されていました。
Futuraはたちまち大成功を収め、モダニティの精神を体現するものとして大々的に売り出されました。 他の鋳造所もすぐに派生的な幾何学的サンセリフ書体を発表し、特にアメリカで人気を博した。 イギリスではFuturaが使われることもありましたが、同様の理由で人気を博し、1930年代から1940年代の印刷を定義するようになったGill Sansの影に隠れてしまいました。Gill Sansは、よりヒューマニズム的である一方、幾何学的な傾向もあり、それは特に大文字に顕著でした。
ヒトラーとナチス・ドイツのイデオロギーが台頭していた当時、書体は文化と民族のアイデンティティを示す強力な指標でした。 ローマ字書体の人気が高まり、以前はドイツ語のブラックレターがデフォルトだった印刷文書の標準テキストになりつつありました。 ドイツのアイデンティティを維持する方法として、ドイツ人はローマン体よりもブラックレター体の使用を推し進めました。
1933年にナチス政権が誕生すると、彼らはブラックレター書体を活用し、ドイツの国民的アイデンティティをさらにアピールしました。 彼らはFrakturを真のドイツ書体であるとしました。 彼らは、バウハウスやイギリスのアーツ・アンド・クラフツ運動の影響を受けて世界中に広まったFuturaのようなモダンな書体を否定しました。
By Written and photographed by Manuel Strehl - Traced from File:Schriftzug Fraktur.jpg in Inkscape, CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=12778207
しかしFuturaは、ナチス党員に関する情報ハンドブック『Organisationsbuch der NSDAP』や、ナチスが現代美術を貶めるために作成した展覧会『Entartete Kunst』（退廃芸術）の宣伝ポスターなど、ナチスの文書に登場しました。 1941年、ナチス政権は、ブラックレター書体がヘブライ語にあまりにも似ているというナチスの認識から、ユダヤ人の伝統を受け継ぐものとみなし、Frakturをはじめとするドイツの伝統的な手書き書体を禁止しました。 Futuraを含むローマン体タイポグラフィは、ブラックレター体タイポグラフィよりも読みやすさに優れていたため、新しい標準となりました。
使用例
Vermilion
via Fonts in Use
Carpet Sign
via Fonts in Use
via Fonts in Use
VW Polo Belgium Ad
via Fonts in Use
ロゴに使わるFutura
ルイ・ヴィトン
ルイ・ヴィトンはロゴにウェブサイトにもFuturaをベースとした書体を使っています。詳しくは『ルイ・ヴィトンはどんな書体を使っているのか？』。
シュプリーム
Supreme（シュプリーム）は1994年、ニューヨークでジェームズ・ジョビア（James Jebbia）氏によりスケーターのためのショップとしてスタートしたブランドです。下にFuturaのファミリーが“Heavy Oblique（太くて斜めになった）”であるものを示します。※書体には太さや斜めになっているかどうかの種類がいくつかあります。それを「ファミリー」と言います。
オメガ（Omega）
1848年創業のスイスのラグジュアリー腕時計ブランド、オメガもロゴにFutura（のMedium）を使っています。
その他にも、ドミノ・ピザ、レッドブル、ドルチェ&ガッバーナ、ペイパル、ジレット、フェデックス、カルバン・クラインなどのロゴにFuturaは使われています。業種も価格帯もバラバラですね。
Futuraの人気
挙げるときりがないのですが、映画を観ていると度々登場します。新旧を含めて。『ジョン・ウィック』にも、『オデッセイ』にも『トップガン』、『シン・エヴァンゲリオン 劇場版』、『2001年宇宙の旅』にも出てきます。
レコードショップにいってジャケットを観ていても、やっぱりよく使われています。
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参照
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