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I LOVE クロちゃん!

私は、どうにも憎めない芸能人の一人に、安田大サーカスのクロちゃんがいる。

クロちゃんはある健康番組で、医師から食事の指摘や指導を厳しく受けていた。生命の危機に迫る悪い数値が出ていたからだ。

ところが、その医師に対して、クロちゃんは別の番組で暴言を吐いたのだ。

そのテレビ番組を見ていた視聴者からクロちゃんは反感を買い、クロちゃんのTwitterは大炎上したらしい。

他にもクロちゃんが嫌われるのには、嘘つきだとか、若くて可愛い女性に対する言動がひどいとか、売れてからも親から仕送りしてもらっているとか、挙げたらキリがないので、今回は、『暴飲暴食』のみに焦点をあてたいと思う。

クロちゃんは、ドッキリをされることが多い。

どこまで台本があるのかわからないが、家の中を隠し撮りされたり、朝起きたらお花畑に寝かさられていたり、普通の人だったら、一度でもそんな経験したらトラウマになってしまうかもしれないことがよく起こる。

そんなプライバシーも身体も切り売りして、クロちゃんの年収は、数千万円(あくまで私の推定)になる。

もう一度いう。毎年、数千万円が懐に入ってくるのである。

クロちゃんは、年収数千万円の割には随分こじんまりとしたマンション(アパート?)に住んでいる。服にもギャンブルにも趣味にも、特にお金は使ってなさそうだ。

クロちゃんの興味は、“若くて可愛い女性”か“飲食”に向かう(前者は今回取り上げないんだった)。

ところで、私には食べたいけれど、自分の稼ぎがなさすぎるせいで一度も食べていないものがたくさんある。

ふぐちり・ふぐさし、ワギュウマフィアのお肉、久兵衛のお寿司、キャンティのイタリア料理、田崎真也氏が選んでくれる高級ワイン、満漢全席、……、

親友の旦那さんがおごってくれた、高級旅館の懐石料理、千疋屋のフルーツ盛り合わせ、高級ホテルのビュッフェ、叶姉妹クラスが食べてそうなアワビ、キャビア、トリュフ、……、はもう二度と食べることはできないであろう。

でも、もし、私に数千万円の年収があったら、毎日のようにそれらを食べまくるのに違いない。それを医者以外の人から指摘されようものなら、

「プライバシーもプライベートも丸裸にされて得た数千万円。他人にとやかく言われたくない!」

と怒るに違いないし、そんな大金を手に入れて、好きな食べ物や憧れの食べ物を我慢できるほど、自分は自制心が強いとも思えない。

それに、暴飲暴食するクロちゃんに文句を言う人は、ギャル曽根にも文句を言うのだろうか。

ギャル曽根は、ご存知のように仕事でもプライベートでも大食いだが、生まれもっての特異体質で、見ての通りのスレンダーボディと健康体を有している。だから、ギャル曽根のことを“大食い”とは言っても、“暴飲暴食”という人はほとんどいないし、ギャル曽根の大食い自体が炎上することもない。

炎上するかどうかの違いは、体形と検査結果の数値の違いなのだ(クロちゃんは嘘つきで、ギャル曽根は性格がいいとかいう議論は、今回割愛します)。

同じ食事をしていても、どうしても、太りやすい人、高血圧になりやすい人、糖尿病になりやすい人、……、がいる。そんな人たちを誰が責めることができようか。

でも、好きなクロちゃんをこの先ずっとテレビでみていたいから、

「クロちゃん、もう少しお医者さんの言うことを聞いてね。」

というこの私の意見も、これまた単なるエゴに過ぎないのだろうか。

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椎良麻喜|物書き(グルテンフリー/小説/エッセイ/写真)
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