不安。或いは、光
しばしば、何かに対する不安に制御が効かなくなる。
何かしらの安寧を手に入れた途端、それを手に入れた喜びをかみしめると同時に、たちまち、それを手放す可能性に対する不安の卵が生まれてしまう。
ひとつの不安が生まれてしまうのではないかという予想が頭の中に出てきた段階で、その不安がやがて訪れるということに対する不安はもう既に始まっている。
ババロアが好きだ。
スプーンで壊すことが約束されている美しさだから。
失うことをはじめから受諾できている美しさだから。
でも、少しだけ退屈だ。
暗くて狭い箱がいつも口を開けて用意されていて、僕たちは見ないふりをしている。
暗くて狭い箱の中には、安寧と退屈と閉塞がある。
箱の外の世界には不安が溢れかえっていて、その合間に少しの光がある。
初めての風を頬で感じていたい。
希望の気流に身を晒せる強さが欲しい。
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