ハリー・ポッターを作ったデザインスタジオのクリエイターエコノミー
2023年6月にとしまえん跡地に誕生した「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京‐メイキング・オブ・ハリー・ポッター」。魔法映画の世界を体験できる施設として人気だ。
その素晴らしい魔法ワールドを作った2人のクリエイターを今回は取り上げる。制作物のマネタイズ、コンテンツのファンメイキングなどクリエイターエコノミーの事例として物凄く成功しているからだ。
👫ミナリマとは
エドゥアルド・リマ(左) と ミラフォラ・ミナ(右) 。彼らは2001年にワーナー・ブラザーズ映画のハリー・ポッターシリーズの小道具やグラフィックデザインで共同作業を開始。全ての映画シリーズでグラフィックデザインを手がける。
2009年に独自のグラフィックとイラストのデザインを専門とするデザインスタジオ、MinaLima(ミナリマ)をロンドンに設立。映画制作を終えてた現在も、ウィザーディングワールドの数多くの関係機関と、ハリー・ポッターフランチャイズへの関わりを続けている。
✉️全ては1枚の手紙からはじまった
作中でハリー・ポッターに送られた魔法学校への入学許可証。これが最初に作った小道具。原作でマクゴナガル先生(魔法学校副校長の魔女)が書いたため、彼女の帽子を被りながらミラフォラが手書きをした。
また、映画1作目の仕事を終えた際にエドゥアルドが送った手紙からミラフォラと共同作業が始まったとされている。まさに奇跡の繋がりだ。
🌟映画ファンは全て分かるミナリマの仕事
日刊予言者新聞
魔法世界の情報源となっている新聞。映画シリーズを通して様々な箇所で目にする代表的な小道具のひとつ。指定された見出し以外は楽しみながら文章を書いておりエドゥアルドの家族や友人の名前がある。
この新聞にしか登場しない赤毛の魔女はファンの間でも人気だ。それを全て読むほど楽しみな俳優もいたと言う。映画世界の役作りツールになっていたようだ。
忍びの地図
第3作「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」で登場する。魔法学校の地図、誰がどこにいるのかが分かる。ポケットに収まる大きさ、その中でも認識できる地図の見た目、魔法アイテムでありながら実用性とのバランスが難しかったとされている。
ブラック家の家系図
第5作「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」に登場。壁一面に描かれた家系図のタペストリー。時代の流行に合わせて描かれる人物の帽子や髪型が変わっている。これを部屋の壁紙として再現する熱狂的なファンもいるようだ。
映画撮影に使用した本物はロンドンのワーナー・ブラザース・スタジオツアーで展示されている。
📕デザインの力でコンテンツを再発明
ミナリマが、表紙・挿絵をすべて手掛けたシリーズ本が発売中。オリジナル版の文章と150点以上のフルカラー挿絵。紙の質感もこだわり、箔押しの豪華な装丁になっている。
所々が仕掛け絵本になっており、ページをめくるのが楽しくてたまらない。英語版のAmazonストアではギフトとしてよく贈られている商品2位とのこと。デザインの資料として英語版は欲しいし、コンテンツを楽しむため日本版も欲しくなってしまう。なんてこった。
🥳クリエイターの新しいマネタイズポイント
アートプリントとして販売
ハリー・ポッター、ファンタスティック・ビーストシリーズの書籍や映画のために作成したグラフィックワークをアートプリントとして販売。誰でも購入することができる。スタンダード版とプレミアム版があり両方とも数量限定。シリアルナンバー、型押しスタンプ、鑑定書が共通でつく。
映画のグラフィックワークは設定資料種として販売されるのが定説だったが、この手法であればシリーズが続く限りクリエイターに還元される。
オーダーメイドで入学許可証の作成も
映画でハリーが受け取った魔法学校の入学許可証。そのレプリカ作成を依頼できる。実際に使用されたものと同じ品質(同じ付箋、インク)でミラフォラが手書きで再現する。宛先の名前と住所はカスタマイズできる。(アルファベット表記のみ)
価格は574,800円。こちらからオーダーできる。
🏠ファンが訪れるリアル店舗
これまでに制作した小道具の展示や、グッズの販売を行なっているストア、「ハウス・オブ・ミナリマ」も登場。多くのファンが訪れるコミュニケーションスポットになっている。
日本では大阪とワーナー・ブラザーズ・スタジオツアー東京の中に店舗がある。大阪は2019年4月から1年間限定の予定だったが、好評のため今でも営業が継続。
ロンドン本店はグラフィックを制作するスタジオ、ギャラリー、ショップが一つになった活動拠点だ。
他にニューヨークのハリー・ポッターストア内。韓国の釜山で期間限定のポップアップストアとして登場し、世界のファンとの接点を増やしている。
☕️レイワープの近況
私たちのRaywarpロゴを制作いただいた「クリエイターズクラブNEW」に所属している坂本俊太さんが23年JAGDA賞に続き、24年JAGDA賞と24年JAGDA新人賞を受賞されました。おめでとうございます。
JAGDAとは1978年に設立された日本のグラフィックデザイナー協会。初代会長を亀倉雄策が務めた後、永井一正、福田繁雄、勝井三雄、浅葉克己が歴任。現在は佐藤卓が会長を務めています。日本のグラフィックデザインの礎を築いた歴史のある協会です。全国で約3000人の会員が所属。改めて見るとすごい!
Thank You
ありがとうございました。次回の配信も楽しみにしてもらえると嬉しいです。それでは!フォースと共にあらんことを🖐️
この記事はニュースレター「レイワープ通信」のアーカイブ記事です。ポップカルチャーとデザインをテーマにお届け。最新号はニュースレターのみに配信されます。ご登録は以下からどうぞ!(一方的な営業メールは送らないので、ご安心を)
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