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和とヒップホップ サムライチャンプルーのクリエイティブ

先日、サムライチャンプルーのサブスク音源解禁が報道されました。これには多くのファンが歓喜しています。音楽シーンでも重要とされる作品だからです。

2024年は作品誕生から20周年イヤーとなり、様々な展開が予想されます。監督曰く音楽と映像を互いに競わせる作品作りとなった。そのクリエイティブを掘り下げてみます。


🇯🇵サムライチャンプルーとは?

マングローブ原作・制作によるオリジナルテレビアニメ。
2004年5月19日から9月22日まで放送された。

江戸時代が舞台とされるが、随所にストリートカルチャーがミックスされた独自の世界観が特徴。主人公のムゲンはブレイクダンスを取り入れた我流剣術で戦う。

🎥監督

監督は渡辺信一郎。前作のカウボーイビバップ(1998)のヒットを受けてサムライチャンプルーで自由に制作ができたという。そこで絵を補佐する音楽の従来のやり方から、もっと音を立てたい。音楽と映像が50:50で競い合うようにしたいと語っている。

前作とは正反対にしたい想いがサムライチャンプルーに繋がる。洋画要素の強いSFアクションのカウボーイビバップの対比として日本の時代劇をテーマに選んだ。

ARBAN

🌅オープニングから伝わる強烈な世界観

まずはオープニイングの序章から。掛け軸にグラフィックアートが描かれている。「和×ヒップホップ」のビジュアルコンセプトが一目で伝わる。

演出は後にサマーウォーズの監督となる細田守(橋本カツヨ名義)。原画は小池健、後に「LUPIN the third ~峰不二子という女~」でキャラクターデザインと作画監督、劇場版「LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標」で監督を務める。

すごい布陣である。

そして刀掛台にステッカーのようなグラフィック。これは街の電柱に貼られたステッカーのストリート文化からインスパイアされたものだろう。

🎨伊藤若冲の国宝がグラフィックエレメント

オープニングでは伊藤若冲の絵が使用されている。

作中の舞台は江戸時代中期とされている。同時期に活躍していた若冲を起用することで、より説得力のある時代感を表現したのかもしれない。

若冲の動植綵絵と菜蟲譜のシリーズは国宝指定されている。

動植綵絵-南天雄鶏図
動植綵絵-群魚図(蛸)
菜蟲譜

🎵音楽を強めた想いが伝わる

オープニンングの終盤は太陽にズームアップするシーンがある。そこから丸い形がレコード盤に変化し作品のタイトルが表示。これは音楽を強めた作品の意思表示と読み取れる。

👨‍🎤ストリートカルチャーへのリスペクト

第一話では横浜、桜木町の高架下近くでB-Boy風の男性が映し出される。ここはグラフィティの聖地。定期的に横浜市が公認で制作の場として開放されていた。このグラフィティ表現も作中の各話で登場することになる。

ターンテーブルで巻き戻す音と共に江戸時代にさかのぼり話が始まる。

CMに入る際のアイキャッチも世界観を表したものになっている。

第八話ではヒューマンビートボクサーが登場する。

👘ストリートファッションが隠れている

作中の和服には、あるストリート要素が隠れている。背中の三つの葉はアディダス、星はコンバースであろう。

線の模様が入る和服はスポーツウェアを思わせる。

🎤音楽でNujabesの起用

今でこそローファイ・ヒップホップが確立されたが当時の日本に流れを作ったのはNujabesだろう。氏は作品のオープニングとエンディングの音楽を提供。

渡辺監督は毎週、渋谷宇田川町のレコード屋に通い新譜を全てチェックしていた。かなりの音楽マニアだ。公開の昨年にNujabesのアルバムが発表されたと考えると、ものすごいトレンド感。

他にも当時を代表するヒップホップアーティストが音楽を制作している。

オープニングの一コマ。絵は伊藤若冲の鶏頭蟷螂図。

📚2004年のアニメとデザイントピック

サムライチャンプルー公開時はどんな時代だったかを振り返る。

ふたりはプリキュア

国民的アニメの記念すべき初回シリーズが生まれた。

巌窟王

テクスチャ表現が話題で、GONZOの勢いがある時代。アニメでのアート表現に挑戦する流れを作った作品でもあった。

スラムダンクの新聞広告が話題に

スラムダンクが1億冊を突破した際の広告。別々の6紙に主要キャラクターが全面に掲載。新聞広告の受け皿として特設サイトが設けられ、10万を超える反響が寄せられた。

廃校になった高校の黒板に最終回から10日後の様子を描いたり、SNSが普及していなかった時代に大きな話題を呼んだ。

新聞広告データアーカイブ

Thank You

ありがとうございました。
次回の配信も楽しみにしてもらえると嬉しいです。
それでは!フォースと共にあらんことを🖐️

この記事はニュースレター「レイワープ通信」のアーカイブ記事です。ポップカルチャーとデザインをテーマにお届け。
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