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小説を書く。その59【BL小説】
「あー……」
疲れた。
部屋に帰り着くなり、ばったりとベッドに倒れ込む。忙しい時期とはいえ、毎日午前様はさすがにキツイ。
床に投げ出した鞄の中から、電子音が鳴った。
『おつかれ。今日も残業?』
彼からのメッセージに、心が躍る。
付き合い始めて一週間。なのに仕事仕事で全然会えてない。
『今帰ってきた〜。なかなか時間できなくてごめん』
急いで返信を打つ。
なんて返ってくるかドキドキしながら画面を見つめていると、電話の呼び出し音。心臓が止まりそうになる。
「も、もしもし」
『もしもし。ごめん、こんな時間に』
「ううん、全然っ」
声が聴けて嬉しい。思わず布団の上で正座する。
『あの……』
そこで言い淀む。かすかに聞こえる息遣いすら愛おしい。
「電話、ありがと。その……すごく、嬉しい」
素直に、自分の気持ちを言葉にしてみる。
『うん……』
それならよかった、と小さくつぶやきが聞こえた。照れてるのかな。可愛い。
あの、とまたそこで止まる。今度はじっと待つことにする。
『……早く、会いたい』
耳元で強烈な台詞をくらって、俺は頭がクラクラしてまた布団にばったり倒れてしまった。