見出し画像

小説を書く。その55【BL小説】

『気持ち悪い』

 そう、はっきりと突き放された。

 こいつなら、受け入れてはくれなくても理解はしてくれると思っていた。でもそんな淡い期待は見事に打ち砕かれた。

 ――実は俺、ゲイなんだ。

 もしこいつが理解を示してくれたなら、続けたい言葉があった。

 ――俺、お前のことが――。

 すべてを拒絶するかのような冷たい物言いに、俺は口を閉ざすことしかできなかった。

 だから、俺が恋愛に対して臆病になってしまうのは仕方ないと思う。
 たとえ好意があるように見えたとしても、その実、純粋な好意――恋愛要素の欠片もない――な場合がほとんどだ。

 深入りすると自分が傷つくだけだ。
 だから、期待してはいけない。
 あの時、あんなに傷ついたじゃないか。もう二度と恋愛はしない。そう誓ったのに。

 なのに――。


 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?