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小説を書く。その11【BL小説】

 森の奥深くで瞬く光、そして振動。

「あ、外れた」
「惜しい。もうちょっと右だったね」
 
 もうすぐ十歳になる俺たちは、魔法魔術学校の試験を受けなければならない。
 幼馴染の俺とこいつ。
 俺としては、きっちり合格して、こいつと同じ学校に行きたいと思ってる。……んだけどさ。
 
 こんな簡単な的も外すようじゃ、成績優秀なこいつと同じ学校に受かるのは絶望的だ。

 はああ、と大きくため息をつくと、ぽんぽん、と背中を軽く叩かれた。

「ほら、もう一回。気がすむまで付き合うからさ」
 にっこり笑いかけられて、ドキリとする。
 やっぱり、この笑顔と離れ離れになるのは、イヤだ。

「うん……がんばる」
 ぐっと手にした杖を握りしめる。
 すると、肩に乗っていた手が俺を力強く引き寄せた。

「――僕だって、お前と離れたくないんだからな」



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