「マティアス&マキシム」
30歳になったグザヴィエ・ドランの8作目。30歳にして8作目!19歳でデビューしてから、すばらしい映画を次々に作りながら、俳優としても活躍してる、その上顔もかっこいいという、天から二物も三物も与えられた人。だいたい、Xから始まる名前ってのがまずかっこよすぎ。
「マティアス&マキシム」では、演技でキスをしたことがきっかけに、お互いを意識し始めた親友同士の片割れをドラン本人が演じている。相手役のマティアスも、2人を取り囲む幼馴染たちもドランの実際の友人が演じた。
男友達同士の軽妙な会話が飛び交うシーンが多いけど、アドリブは1つも入れていないらしい。仲良し同士で撮るなら、「あのゲームしてる時の会話はほとんどアドリブなんですよ~」とかになりそうなのに、細かいセリフも全部ちゃんと脚本に書かれたものだと知ってびっくり。とても作り込まれた、こだわりの脚本らしく、イントネーションや話し方だけじゃなく、役によって言語レベルでも差をつけているらしい。
このインタビューが面白かった。フランス語もいいけど、英語を話すドランもいいなあ。
このインタビューでも、“この映画のテーマは同性愛じゃない。愛だ”って言ってて、この記事の見出し画像に使ったのがカナダ本国のポスターだけど、ちゃんと同性愛を強調しすぎないポスターになってるのがいいなと思った。
マキシムは、ドランが演じるんだからもちろんイケメンだけど、頬に生まれつき大きなアザがあって、人の視線がちょっと気になっちゃう時もある。でも、幼馴染たちの前ではアザのことは完全に忘れられる。このアザは、ドラン自身が背が小さくていじめられていた経験から、身体的欠陥がゲイの世界では性的欠陥となってしまうことの象徴として表現されているらしい。
今回の映画でも、相変わらず母親との関係がひどかった。どうしようもない母親との機能不全家族に育ちながら、周りの人には恵まれる、みたいな話が多いのは、ある程度は実体験に基づいているんだろうなと思う。ドラン作品ではいつも、同じ俳優 アンヌ・ドルヴァルが母親役を演じている。今回は全然雰囲気が違ったから気付かなかった。もしかして彼自身の母親に雰囲気が似てたりするのかな。
30歳のドランはもう美少年ではない。役作りのためかちょっと太っていたけど、相変わらず魅力的だった。ちょっと顎を上に向けた表情が好き。