ゆく年
2020年は誰にとっても忘れられない1年だったと思うけど、私にとっても特別な年だった。
ちょうど1年前の今頃、父と母と夫と私の4人で食事をした。父が毎年、年末に行くお気に入りのお店で、父は私の夫と呑めることを喜んでいた。あの日、ホロ酔いで外に出たあと店の前で4人で写真を撮った。撮っておいてよかったと思う。
年が明けて、父の体調が悪くなってきたころ、姪っ子と私が実家で遊んでいたときのこと。向かい側に座って私たちを眺めていた父が、おもむろにスマホを取り出し、何も言わずに私と姪っ子の写真を撮った。そんなこと今までなかったから、父がその写真を見返す時のことを考えて胸が締め付けられたけど、なるべく笑顔で映ろうと思って、笑った。あの時の父を思い出すと、今も泣いてしまう。
年末年始は家族で過ごした楽しい思い出がたくさんあるので、最近特に父の不在を強く感じてしまう。時間が悲しみを癒やしてくれるはずだと思っていたけど、まだまだ時間がかかると思う。父のおかげで、生きること、死ぬこと、家族のことをたくさん考えた1年だった。このやるせない悲しみを、そばにいてくれる家族や友達への感謝と愛情に変えていきたい。