30を超えてなお、大人は遠い
30歳をとうに超えた。未だに呪い続けている。
特定の個人を呪ったりはしていない。全然、誰かを恨んでとかはない。
自分自身は嫌だ。呪いきっている。鏡の中に写る自分に何の励ましの言葉もかけてやれない。
もうかれこれ、自分自身に「死ね」と言い続けて6年は経過している。
何があったか分からないが、保育園児の頃には自分は小学生になれば死ぬものだというイメージがあった。それが、リアルに脳内に残り続けた。保育園年長の5歳のあたり。ランドセルを手に取って、背負わずに夕日の差す階段の踊り場で、ナイフで同級生に刺されるという夢を執拗に見続けた。
自分自身が気色悪くて仕方がなかった。
その頃の記憶だが、太鼓を叩いて見せる発表会のようなものが園であった。皆、同じ青色の法被を着たのだが、たまたま目に入った鏡に、皆と同じ法被を着ている5歳児くらいの自分がいた。当時、どこまで死ぬことを意識していたか分からないが、僕は死ななくていいのだと安堵した。
二十歳を超えて、二度ほど心身が崩れた。一度はODで、四日ほど記憶を無くし、気づけば大学に新しく出来た校舎の、まっさらなエスカレーターを降りていた。その足で病院に行った。胃洗浄、自殺未遂と医者に言われ、なんだかんだで父親に連絡が行った。
28歳の時に、3か月ほどろくに記憶がない時期がある。酒とODを続けていた。毎日、幻覚が見えていた。部屋の壁が綺麗な水色一色になった後、カラフルな工場が稼働し出した。鼓膜一枚隔てて、飛行機が墜落する直前のボイスレコーダーのような音声が聞こえ続けた。当時つけていた日記に「中耳が!中耳が繋がっている。」と書いてある。
今は高校の教員をしている。
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