Law PracticeⅡ民法(5版)11問

【前書き】


(1)引き続き、民法、要件事実の自学自習を進めていきます。
やはり、起案等、問題演習をしながら六法をめくっているときは無心に没頭することができ、好きな時間であると実感しました。

(2)他方で、抽象論を語ることはあまり好きではなく、特に、『説教、自慢、昔話』をしないように、細心の注意を払っています。

(3)もっとも、嬉しいことに、先日の記事を評価してくださる方が少なからずいらっしゃったこと、また、フォローしてくださる方が増えたこともあり、特に、いわゆる社会人受験生の方々にお役立ちできる内容の記事も細々ながら発信していく所存です。

(4)視点は、やはり、①コスパを上げる諸々、②誤った選択をすることで時間を失うことを防止することに資する内容(書評、おすすめできる既受講講座の紹介も含む)、③理解困難な内容(特に苦手な方が多い民法、要件事実)に関する私なりの理解の提示、これらに集約されると思います。

この、ロープラ連載の趣旨は、該当するとすれば、③の要素が強いです。
(なお、先日の記事は②がメインで、随所①というイメージでしょうか)

(5)より多くのかたに読んでいただけるよう、具体的には、ロープラ民法に取り組んでいない、書籍を持っていない方にも気軽にちらっと読んでいただけるように、下記の【本問について】で、ロープラの当該問題で習得すべき③を必要最小限、記述していきます。

繰り返し述べているように、一合格者(予備試験及び司法試験)の自習をのぞき見するくらいの感覚で読んでいただければと思います(内容の正確性については最善を尽くしていますが、保証するものではなく、間違いがあれば指摘していただけると嬉しいです)。

(6)なお、現在構想しているnoteのネタとしては、ダントツで勉強時間が少ないにもかかわらず、予備試験短答論文、司法試験短答論文で、結果として、いつも私を助けてくれた憲法の取り組みについてです。

【本問について】

(1)本問を通じて、最低限抑えなければならないのは、他人物売買が解除されたときの、使用利益に関する判例(最判昭和51年2月13日【百選Ⅱ9版-40】)の結論です。
他人物売主であっても、他人物買主に対する使用利益の返還が肯定されました。

(2)次に、上記結論を法的に説明できることが本問のメインであり、司法試験、予備試験では欠かせない理解になります。

上記結論を採用する判例の理解は、不当利得制度において、類型論に立ち、給付利得の枠組みによることと整合的であると解されています(545条をそのように理解するということ)。
解除は、双務契約による取引の清算・復元を目的とする制度であるからです。


なお、潮見先生は、解除の法的性質論(直接効果説)から上記が直ちに導かれるわけではないとしていますが、直接効果説からのほうが素直に上記結論に至ることは間違いないように思います。

これに対し、上記を前提とすると、【関連問題】で問題となるように、真所有者との関係で、他人物買主は、だれに(どちらに)使用利益を払うべきなのか問題となります。
そこで、これを最初から三者間の問題とし、侵害利得の枠組みで一回的解決を志向する有力説もあります(この立場からは、他人物売主は買主に使用利益等の返還請求をすることができないと解することになります)。

(3)上記は、545条、703条、189条の適用関係に関する理解にかかわります(苦手な受験生が多く、差がつくところです)。
本問で言えば、契約当事者であるBC間では、545条を適用します。
もっとも、545条の本質は、給付利得であるため、703条の考え方を基礎にしています。

契約関係にないAC間は、703条を適用しますが、Cが「善意」のときは、189条1項が優先適用されます。

各条文の適用場面、『善意』の対象(内容)、要件効果を正確に抑えることが非常に重要です。

(4)上記については、すでに第42問(第41問)で深く考察していますので、そちらもあわせて復習していただければと思います。

(5)【関連問題】に関しては、実体法の処理も要件事実も裏どりしきれなかった箇所が残ったので、各自で補充研究していただき、場合によってはご教授いただければ嬉しいです。

私においても、数日後に、「不当利得法(全訂第2版)」(藤原正則著、信山社)を購入し、読み込んだ上で、上記に加筆修正する場合があります。

(6)【関連問題】まで含めると、これまでで最もボリュームがありました。
論点表にあるように、共同不法行為、寄託契約における自己保管義務違反、留置権、同時履行の抗弁権なども取り扱い、例によって、問題文の事情が足りないため、論述例作成に多大な労力を要しました。

なお、潮見先生担当問題で顕著なのですが、たくさんの事項(論点)を検討させようとするがあまり、請求権発生のために必要な事実が足りず、仮定で認定せざるを得ない箇所が散見されます。

また、関連問題は事実上、メイン問題と一体なので、不必要な重複が多々あるため、【関連問題】の論述はある程度、簡略して(端折って)論述していることをご承知おきください。

さらに、繰り返しになりますが、民法答案を作成する上で注意すべき点(①条文から考える、②すべての要件検討を愚直にやる、③判例の正確な理解を示す)を強烈に意識しながら論述していますが、問題の性質と学習の目的に照らし、必ずしも実践的でない書き方(④要件事実論がやや目立つ、⑤反対説や潮見先生の考え方を付加して説明的な論述になる箇所がある)をしている点にご留意ください。

※上記につき、「新契約各論1」(潮見)109~112P(必読)、「物権法」(藤原、新世社)110~121Pを参照しました。

【論述例】

【ブロックダイアグラム(攻撃防御の構造)】

【論点表】

【参照】


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