本当に強い人
先ほど〇〇君に表彰状を手渡しました。2000メートル、つまり2キロのレースで優勝、すごいですよね。私も走るのが好きです。夏休みは〇〇君と一緒に走って、家に帰ったら子ども用のプールに水をためて飛び込む、それが楽しみでたまりません。今年久しぶりに行われるフルマラソンの大会に出ようと思っているのでこの夏はとにかく少し練習しようと思っています。
さて、フルマラソンの思い出ですが、毎年泉州国際マラソンという大会に出ていました。堺市の浜寺公園をスタートして、泉佐野のりんくうタウンがゴールの42.195キロです。その泉州国際マラソンの第1回大会は関西国際空港ができた年の開港直前に実施されました。りんくうタウンから関空にかかっているあの連絡橋を往復するというコースが最後の8キロに特別に組み込まれていました。開港前だからまだ車も通っていなかったのでできた特別なコースでした。
関空が開港した1994年の大会ですから今から28年も前のレースです。私も今よりもずっと若かった。にもかかわらず、私はこの大会での記録がこれまで完走したフルマラソンで一番悪かったのです。具体的に言うと、ラストの8キロ、コースが連絡橋に入ったとたん、たちまち走れなくなったのです。あの往復8キロの連絡橋をとぼとぼ歩いてなんとかゴールしました。さて、なぜ走れなかったと思いますか。
それはね、人間の弱さですよ。フルマラソンの大会というのはふつう沿道にたくさんの人が応援に来てくれるんです。岸和田や貝塚、泉南市に入ってからもずっと知らないおじさんやおばさんが「兄ちゃんがんばりや」っていっぱい手を振ってくれるんです。見知らぬ子どもたちがハイタッチしてくれるんです。しんどくてしんどくたまらなくてもそんな応援におされると、サボって歩くことができないんですよ。
ところがね、あの大会、関空の連絡橋はランナー以外立ち入り禁止のコースだったんですよ。つまり一番しんどいところで沿道の応援が急に一切なくなってしまうというコースだったんです。人間って弱いですよね。人が見ていないとつい力がぬけてしまうのです。サボってもいいやって思ってしまうのです。私はとたんに歩いてしまいました。
あのレースで関空連絡橋に入ってからもしっかりと走れたランナーこそがふだんからちゃんと練習をして弱さを克服したランナーだったのだと思います。私にはできませんでした。他人が見ていなくてもできる強さを持っている人、それが本当に強い人なのだと思います。
1学期、元気に学校に来てくれてありがとう。また2学期に会いましょう。