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やきもの(陶芸)の体力戦 2

前回から続き、「焼く」です。
今回は、窯焚きの流れについて書いていきます。


準備も窯焚き

昔は、「窯に火を入れたら、親の死に目に会えない」
とまで言われていました。
今は燃料が変わり電気、ガス、灯油の窯もあるので
そこまでではないかもしれません。

ですが…
紫峰窯は薪窯です。
薪窯は、やはり火を入れたら終わりまで突っ走ります。
(現実的には止めることもできますが、時間的・体力的ロスが多すぎる…)
窯に火を入れる時には、覚悟をしています。
窯焚きの最中は窯の声をしっかり聴きたいので、
ノイズになることはできるだけ消していきます。

窯に火を入れる前にやっておかなければいけないことがあります。
それは、
・どのような作品に仕上げたいのか
・どのように窯の雰囲気を持っていくのか
を決めることです。

窯詰めでは、作品の将来を決めます。(やきものの頭脳戦1
窯焚きでは、その将来へ近づけるためにどう窯を焚くのかを
考えなければいけません。
生活の中で、ふとした瞬間に思いついたことを書き留め、
それを吟味して最後に一本化します。
窯焚き前は、いつもメモ帳を持ち歩いていました(笑)

「窯焚き」とは?

一言に窯焚きといっても…

窯焚きで作品に影響をあたえるのは、
①温度
②炉内雰囲気
③時間 です。
焚いている時間によって、焚き方(薪のくべ方等)を変えていきます。
個々人でいろいろな呼び方があるようですが、
紫峰窯では窯の焚き方を変えるタイミングとして
次のように分けています。*覚書は今回の記録

  • くゆし

  • あぶり

  • せめ

  • ねらし

  • ひやし

くゆし

作品は十分に乾燥させたと思っていても、少なからず水分があります。
風雨にさらされている窯はなおさら。
そこで水分を抜く焚きをします。これがくゆしです。

くゆしでは急激な温度上昇は厳禁。
ゆっくりと時間をかけて200度近くまで窯内の温度を上げていきます。
だいたい24時間程度。
くゆしでは、薪を窯の中には入れず、
外焚き(窯の外で焚く)で煙と熱風を窯の中におくります。

あせりは禁物。一番作品が割れやすい時間です。
この頃は窯の中の温度が上がっていないので、
焚口から中を見ても真っ暗。作品の影も形も見えません。

覚書:くゆし

①200℃ ②酸化 ③24H
・150度になると煙が中に吸い込まれるようになる
・色味アケ、ロストルアケ、バカ穴トジ、ダンパーアケ

あぶり

あぶりは、900度くらいまで窯内の温度を徐々に上げていきます。
窯内では上下で温度差が生まれるため、できるだけ均一にすることが大切。
特に300℃付近と600℃付近の焚きは注意を払います。

しっかりと水分を外に出さないとブクに。
出来上がりがぶくぶくではお話にならない…ので。
窯焚きの中でも一番注意を払う時間帯です。
紫峰窯では、900℃に達すると24時間ほどねらしをします。

400℃くらいになると窯の中が明るくなってきて、
作品の姿が見えるようになります。
炎は普通の焚火の程度の赤さです。
これが温度が上昇するたびに
オレンジ、黄色へと変化していきます。

覚書:あぶり

①900℃ ②弱還元(中性) ③52H
・色味トジ、バカ穴半トジ、ダンパ―アケ、ロストルアケ
・400℃まで下口で、燠を入れる焚き
・400℃から下口薪ブタ開始
・700℃から上口げ込み追加
・900℃上口投げ込みのみ
・700℃迄バカ穴調整→900℃バカ穴全アケ

今回は、窯焚きの前半戦ともいえる
くゆし~あぶりまでのお話でした。
次回は、窯焚きの後半戦「せめ~さまし」です。

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