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あのハンバーグを食べると思い出す

はっきり言って私の出産はハードモードの部類だったと思う。

5割くらいまで来たかな…という頃から時が止まったのかと思うほど進まず、オールナイトで最終、促進剤からの鉗子分娩コースだった。しめて15時間。次があるかないか分からないけれど、あるなら無痛を選ばせていただきたいものだ。

ちなみにわたし自身は促進剤からの吸引分娩だったらしい。そんなところ似なくてよろしいのだが。

そんな怒涛の出産の前夜、というか地味に陣痛が始まってから食べた夕飯は近所の小洒落たレストランのハンバーグだった。
しばらくシャバの飯は食えん…と覚悟を決め、押し寄せる波と闘いながら食べたあの夜は忘れられない。

出産の、というか陣痛の痛みは忘れると言うが、本当に忘れてしまった。痛かったということは覚えているが、どんな痛さだったかさっぱり思い出せない。

出産からまもなく2年。今も時折あの店のハンバーグを食べに行く。そして行くたびにあの長い夜を思い出す。
きっとこの先も足を運ぶたびにしみじみと思い出し続けるのだろう。

そして子どもがもう少し大きくなったら、ハンバーグを食べながら、わたしは悠々と語り出すのだろう。

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