Shiho

細々と生きる場末の書籍編集者。夫とまもなく2歳になる娘との特に丁寧でもない日々を綴ろう…

Shiho

細々と生きる場末の書籍編集者。夫とまもなく2歳になる娘との特に丁寧でもない日々を綴ろうかな。

最近の記事

春の匂い

どこからともなく吹く風に乗る土の匂い。 突然の突風に乗る花の匂い。 もう寒くなくなった夜の匂い。 しとしと降る生ぬるい雨の匂い。 春は、風に乗ってやってくる。 風とともにやってくる。 キジバトの声を乗せてやってくる。

    • ほう、これが噂のイヤイヤ期……

      今月、子どもは2歳になった。言葉の成長、体の成長に個人差はあれど、2歳といえば真っ先に浮かび上がる言葉は「イヤイヤ期」だ。 1歳後半頃から、おや、自我が芽生えとるな? と思うことが増え、口はどんどん達者になっていく。とにかくやりたいこと、やりたくないことがはっきりしてきた。 そして迎えた2歳。 「いらない!」「だっこ!」「オムツかえない!」「こっちがいい!」「ねない!」「ママはこっちにすわる!」「やらない!」「じぶんで!」 そして伝家の宝刀、「うわぁぁぁああああん!!

      • 編集者になる気なんて微塵もなかった

        というか、出版社を志望してすらいなかった。 思い返すと、「院卒文系」という、それなりの企業から若干煙たがられる履歴を抱えた私は、就職活動に対して割と斜に構えて臨んでいたように思う。 受かるときは受かる。ダメならダメ。全てはその時考えよう。 そんなこんなで、エントリーシートを送った企業はたった3社(だったと記憶している)。いろいろひどい話だ。そんなある日、 家から近いぞ? なんか面白いかも? ここなら働けるかも? そう思って説明会に足を運び、それなりに丁寧にエントリー

        • 娘の名付けを振り返る

          いやー我ながらいい名前にしたな……と時々思い返すくらいには、娘の名前を気に入っている。 このご時世、名付けには実に様々な考え方があるので、どういう軸を持って決めるのかは各ご家庭に委ねたらいいし、他人が口出しすることではないと考えている。 ので、あくまでも「我が家の場合」ということで話を進めていきたい。(※このテキスト内に実名は出てきません) まず、名前に親の願いを込める案はハナから頭になかった。よくある「健やかに育ってほしい」「優しい子に育ってほしい」などは、なんとなく

        春の匂い

          「京都の冬って寒いんでしょう?」に対する最適解を見つけた話

          2月は逃げる、とはよく言ったもので、気がつけば3月。雛祭りも終わってしまった。 今さら真冬の話をするのも、とも思ったが、思い出した時に書いておこうと思う。 「京都の冬って寒いんでしょう?」 生まれてこのかた京都で育ってきた私は、幾度となくこの言葉を投げかけられてきた。 たしかに京都は寒い。体感として寒いと思ってきたけれど、だいたいどこも冬は寒いでしょうに。そう思っていた。 「そうですね、底冷えするって言いますからねぇ」 と、まるで主観のない、相手方の期待に応えられるか

          「京都の冬って寒いんでしょう?」に対する最適解を見つけた話

          2歳の誕生日プレゼントについての一考

          子どもがまもなく2歳を迎える。 最近のわが子を見るに、割とこちらの言うことを理解している素振りを見せているし、口も達者だ。 となると、お誕生日のなんたるかもなんとなく分かっている気がする。その上、私自身、親になってまだ2回目のイベントだ。基本的にモノを増やしたくないスタイルの私でもさすがに買い与えたくなる大イベントなのだ。 「映える」生活をSNSに上げる人でもないので、部屋の飾りつけなんていうたいそうなことはしないが、来たるべきその日に向けて、いちおうお手軽なケーキをつ

          2歳の誕生日プレゼントについての一考

          服を減らしたい

          ずっと思っている。服を減らしたい。 2020年は家にいることが増え、平日は3着ほどのローテーションでことが済んでいた。 なのに、減らせなかった。 おそらく、服はそんなに持っていない部類に入ると思う。 今の家に服はそんなに持ってきてないし、そんなに買わないはずなのに、手放す量と迎え入れる量が結局、不均衡なのだ。 メルカリに出したり、ユニクロのリサイクルに持っていったり、H&Mのリサイクルに持っていったりして、入れ替えはそこそこやっていると思うが、減らない。 子どもとワチ

          服を減らしたい

          わたしが母のお雛様を飾る理由

          少しだけ重たい腰を上げ、先日ようやくお雛様を出した。 一般的にお下がりは良くないこととされているが、我が家は私の母が、母の祖母から買ってもらったという60うん年ものの年季の入った雛人形を譲り受けた。といってもそんなたいそうなものではなく、男雛と女雛だけの実にシンプルなものだ。 私が古いもの好きだからというのもあるが、小さい頃から見慣れたお雛様で愛着があった上に、ちょっと小顔で切長の目は、上品で本当にとてもいいお顔なのだ。見れば見るほど、作り手の手仕事の美しさをひしひしと感じ

          わたしが母のお雛様を飾る理由

          あのハンバーグを食べると思い出す

          はっきり言って私の出産はハードモードの部類だったと思う。 5割くらいまで来たかな…という頃から時が止まったのかと思うほど進まず、オールナイトで最終、促進剤からの鉗子分娩コースだった。しめて15時間。次があるかないか分からないけれど、あるなら無痛を選ばせていただきたいものだ。 ちなみにわたし自身は促進剤からの吸引分娩だったらしい。そんなところ似なくてよろしいのだが。 そんな怒涛の出産の前夜、というか地味に陣痛が始まってから食べた夕飯は近所の小洒落たレストランのハンバーグだ

          あのハンバーグを食べると思い出す

          一歳児が紡ぎ出す言い間違いが愛おしい

          よくある話でよく聞く話だけど、当事者になって初めてその愛おしさを理解することになった。 言い間違いは成長の過程で必ず起こるもので、たしかその仕組みもちゃんと研究されていた気がする。だからわざわざその事象に対して、 なんでそんな器用な間違え方するの!(キャワ…) その言い間違い、面白すぎるんですけど!(キャワ…) という感動は実はそんなにない。親としてはもうちょっと感動した方がいいのかもしれないけれど。 ただそれを差し置いても、言い間違いは愛おしい。それなぜか。 私は親に

          一歳児が紡ぎ出す言い間違いが愛おしい

          わたしが文字を扱う理由

          思えば、中学受験のための模試で国語で90点台を叩き出した時、算数はその半分にも満たない数字だった。 ありがたいことに塾に通わせてもらってコツコツとそれなりに勉強をしていたが、算数はほぼついていけなかった。計算や解き方のパターンを頭に入れて、ほぼ当てずっぽうに何かしらの解法を試すしかなかった。もちろんそんなことで点は取れるはずもなかった。 一方の国語は、授業をふんふんと聞いてなんとなく時間を過ごしていても満足いく点数が取れた。とはいえ塾なので、算数や他の教科と同じように解き

          わたしが文字を扱う理由

          書くことをやめないために

          はじめまして。 細々と生きる場末の書籍編集者、shihoです。 仕事柄、自分ではない誰かが書いた文章をこねくり回すことが多く、この編集という仕事をすればするほど、自分が「書く」という行為から遠ざかっていっていることに気づいた今日この頃。 自分自身が何者かを振り返るために、自分自身が書くことをやめないために。 誰が見るでもない身の上話を書き連ねる場所として、noteを使っていきたいと思います。

          書くことをやめないために