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「京都の冬って寒いんでしょう?」に対する最適解を見つけた話

2月は逃げる、とはよく言ったもので、気がつけば3月。雛祭りも終わってしまった。
今さら真冬の話をするのも、とも思ったが、思い出した時に書いておこうと思う。

「京都の冬って寒いんでしょう?」

生まれてこのかた京都で育ってきた私は、幾度となくこの言葉を投げかけられてきた。
たしかに京都は寒い。体感として寒いと思ってきたけれど、だいたいどこも冬は寒いでしょうに。そう思っていた。

「そうですね、底冷えするって言いますからねぇ」

と、まるで主観のない、相手方の期待に応えられるかどうか分からない回答を長らくしてきた。

そんなこんなで数年前、東京で迎えた初めての冬。

「え、東京めちゃくちゃ寒くね……!?」

京都では煽られたことのない風に吹かれ、私は完全に凍え死にかけた。
その日だけではない。来る日も来る日も風に吹かれ、凍え死にかけた。

ここでついに気づいてしまった。京都と東京の寒さは全く違う。私の体は、足掛け30年で「底冷え」には対応できる仕様にはなっていたけれど、「風冷え」には未対応だったのだ(もし雪の降る地域だったら「湿気寒」となってわたしにはまた辛いのだろう)。

空気の動かない盆地の底の、足元からじわじわと滲みてくる寒さには慣れっこだったけれど、なんせ海が近くにない。海風・陸風、ましてやビル風なんて教科書の中の話だった。

それが容赦なく吹き荒ぶ街、それが東京だったのだ。

「京都の冬って寒いんでしょう?」

ひと冬の経験を経て、私はこう答えるようになった。

「東京来てから分かったんですけどね、寒さの質が違うんですよ。京都は盆地だから風が全然吹かなくて、一度気温が下がったら冷え切っちゃって、その寒さがじわじわとくるんですよね。でも東京に来たら風が冷たくて。気温は多分京都の方が低いんですけど、私は風の寒さに慣れていなかったので、ハッキリ言って東京の寒さの方がキツかったです……(ここまで一息)」

あれから数年。
たまに冬に京都に帰ると、底冷えの寒さに驚愕する。よくこんなところに30年も居たなとさえ思うほどには東京の気候にすっかり慣れてしまった。

また夏が来る頃、京都という名の灼熱の盆地の話もしてみたいと思う。

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